『Shall we ダンス?』周防監督、閉館する日劇の思い出語る

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『Shall we ダンス?』の秘話も語った周防正行監督

 2月4日をもって閉館する「TOHOシネマズ日劇」で開催中の特別上映イベント「さよなら日劇ラストショウ」で『Shall we ダンス?』(役所広司)が上映、その後の舞台あいさつに登壇した周防正行監督が日劇の思い出を語った。

【写真】『スター・ウォーズ』などの聖地として愛された日劇

 前身となる「日本劇場」時代から数えると、およそ85年もの歴史を誇る日劇。今回の特集は、長きにわたり日本の映画館をけん引してきた同劇場の、85年間の感謝の気持ちを込めて、えりすぐりの作品を上映する機会となった。

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 この日、上映された1996年の『Shall we ダンス?』を周防監督も観客と一緒に観賞していたそう。「撮影から22年くらいたちましたが、22年前の演出を60過ぎて観るというのはこういう気持ちなんだなと思いました」としみじみコメントしつつも、「今ならこういうことはしないなと思いながら観ていましたが、だからと言って今撮り直したらもっと面白くなったかというとそれはわからないですね」と笑いながら付け加えた。

 さらに「僕の映画は『シコふんじゃった。』なんかもそうでしたが、わりに出演者が事前に稽古をしなきゃいけない作品が多いんですが、この作品もそう」と続けた周防監督は、「ところが今日観ていて思ったんですが、役所さん演じる杉山は、撮影の時点で(事前に練習を進めていたので)うまく踊れるんです。だから役所さんは、踊れない演技をしているんですよね。でも映画では、全然踊れない人に見えたので、あらためて役所さんはすごいなと思いました」と感想を述べた。

 続けて司会者から、劇中にキャロル・リード監督の1972年の名作『フォロー・ミー』のポスターが貼られていたことを指摘されると、「1990年代の素行調査は、ほぼ離婚を決意した人が使うケースがほとんどだった。あんなちょっとした不信感を奥さんが抱いたというだけで、柄本明さん演じる探偵を出すのに違和感があったんです。でもあの探偵が『フォロー・ミー』の(出演者)トポルのような気のいい探偵だったらいいのかなと。ある種、自分へのエクスキューズだったという面はあります」と明かした。

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ポスターにはさまれた周防監督

 さらに日劇の思い出について質問されると、「実は『Shall we ダンス?』が日劇で公開されるタイミングで、有楽シネマという(近くの)映画館が(周防監督のデビュー作となるピンク映画)『変態家族 兄貴の嫁さん』(1984)をぶつけてきたんです」と笑いながら振り返った周防監督は、「あのとき有楽シネマのポスター越しに日劇を見上げた記憶があります。これって人が見たら、(黒澤明監督の)『天国と地獄』に出てくる山崎努さんみたいだなと。もちろん僕自身、ピンク映画の体験が地獄だったというわけではないですが、高いところのお屋敷を見上げるような気持ちで見た記憶があります」と述懐した。

 周防監督といえば記録魔としても有名で、舞台あいさつの場で、監督自身が舞台から客席を撮影することが恒例行事となっている。「日劇で思い出深いことがあります。後日、映画会社を通じて、初日に監督が撮った写真を拝見したいという連絡が来たんです」と思い出した周防監督は、「その方は、旦那さんと久々に映画を観に来ていて。それが一緒に映画を観た最後の日、最後の映画館となったそうで。もしかしたら映っているかもしれないと思い、連絡をいただいたんです。僕の写真に写っていたので差し上げました。舞台から客席を撮った写真がそうなるのかと。映画みたいだなと思いました。その場所がなくなるんだなと思ったら感慨がありますね」とポツリ。

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写真をとる周防監督

 そして最後に「フィルム上映がなくなり、デジタルになり、映画をめぐる環境は変わりましたが、そんな中、日劇がなくなるというのはピリオドという感じがします。新しい時代が来るんだなと思いました」と日劇に集まった映画ファンの前で語っていた。(取材・文:壬生智裕)

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