日本の土地文化は消えてしまうのか…観察映画『港町』が目指したもの

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興味深い観察映画を撮り続ける想田和弘監督

 想田和弘監督の観察映画第7弾となる映画『港町』が7日に渋谷のシアター・イメージフォーラムで初日を迎え、観客から質問や感想をぶつけられた想田監督は、本作に込めた熱き思いを語った。また、想田監督の映画『選挙』シリーズに出演した盟友・山内和彦と長男・悠喜くんも初日の祝福に駆けつけた。

【写真】映画『港町』場面写真

 日本のエーゲ海と呼ばれる、岡山県・牛窓の港町を舞台に、古い町並みや失われつつある豊かな土地の文化、海辺の小さな町に暮らす人々の営みなどを映し出していく本作。映画上映後に観客の前に立った想田監督は「この映画は2013年11月に、前作『牡蠣工場』という作品と一緒に撮影していたものだったんですが、先に『牡蠣工場』を仕上げて。それをここ(シアター・イメージフォーラム)で公開したので、5、6年くらいのタイムラグが生じていますが、ついにお届けできるということで、感慨を抱いております」と晴れやかな表情を見せる。

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 モノクロの映像で展開される本作。高齢の漁師・ワイちゃんが魚をとり、その魚をおばさんが売り歩き、そして売れ残った魚は猫のエサとなる……。そんな循環の中で営まれる人々の日々の暮らしは、どこか懐かしさを感じさせる。

 この日は質問コーナーが設けられ、その懐かしさに感銘を受けた様子の観客から質問・感想が続々と寄せられた。茨城の港町で育ったと語る女性は「わたしは牛窓には行ったことがないですが、港町の風景や(映画に登場する)クミちゃんやワイちゃんがいたなと懐かしく思うんです」と感想を述べると、「こういう風景は間違いなく、これからなくなっていくと思うんです。そういう消えていく風景を、こういった形で残してもらえてうれしく思います」と思わず涙ぐむひと幕もあった。

 そんな思いを受けとめた想田監督は「おっしゃる通りで、一番のモチベーションは、これを残しておきたいという気持ちでした」と切り出すと、「牛窓は、僕の妻でプロデューサーでもある柏木規与子の故郷なんで、そこにしょっちゅう行っていたんですが、妙に懐かしいわけです。それとともに、こういう風景はもしかしたら消えていくんじゃないか。それがせつなかったし、残したいという気持ちがあった。このいとおしい世界は、映画になればずっと残ると思ったんです」と付け加えた。

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客席から現れた山内&悠喜くんと一緒に

 そして初日イベントも終盤に差し掛かり、客席後方から現れたのは山内和彦と長男の悠喜くん。山内と想田監督は大学の同級生で、気心知れた仲ということもあり、「変な人が出てきたよ」と笑う想田監督。本作は第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門でワールドプレミア上映されており、「感動するいい映画でした。本当はベルリンにも行きたかった」と語る山内に、「とってつけたように言うなぁ」と返すなど、思わず笑顔の想田監督であった。(取材・文:壬生智裕)

映画『港町』は渋谷のシアター・イメージフォーラムほかにて公開中

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