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仲代達矢『白い巨塔』オファー断っていた

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名優との交流を懐かしんだ仲代達矢

 俳優の仲代達矢が21日、東京・角川シネマ新宿で開催中の特集上映「大映男優祭」の記念トークイベントに出席。市川崑監督の『炎上』(1958年)や『鍵』(1959年)で大映作品に出演した仲代が、市川監督との撮影秘話や、市川雷蔵勝新太郎田宮二郎ら大映の看板俳優たちとの交遊を生き生きと語った。

当時の秘話を語った仲代達矢【写真】

 『炎上』上映後にイベントに登壇した仲代は、開口一番「うしろの席でみなさんと一緒に作品を観ましたが、『炎上』は私が26歳のときのもの。今85歳なので約60年前ですが、すごく新しい映画に出ていたなと思いました」とあいさつ。三島由紀夫の小説「金閣寺」を市川監督が映画化した本作は、主人公の青年僧を雷蔵が主演し、仲代が青年僧の友人役で共演している。

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 雷蔵について、仲代は「美剣士のイメージの雷蔵さんが、『炎上』ではコンプレックスを抱えた役をすっぴんで演じましたから、彼を見に現場に詰めかけた女学生たちが気づかず、雷さまはここですよと、私が紹介役をやりました。とても哲学的な人で、私とはよく合いましたね。京都の祇園にも連れて行ってもらった」と懐かしんだ。

 さらに「市川監督も洒落た面白い人。『仲代くん、ギャラ分はちゃんとやってね。今日まだキミ、ギャラ分、行ってない』と現場でおっしゃって、僕が台本を撮影に持ち込んだり、ほかの配役を気にすると、今さら勉強しても間に合わないぞと教育されました。現場に台本を持ち込まない(全部覚えておく)のは、当時の役者の心得でしたから。『炎上』も実験的なことをやっていますね」と当時を振り返る。

 「勝さんは、彼が俳優になる前から気があい、よく遊んだ親友でした。黒澤明監督の『影武者』で、勝さんと黒澤監督が合わず、勝さんの代役をやってくれと黒澤監督から話があり、結局僕がやったんですが、ずっと勝さんと連絡が取れず、会えたのは私の女房(宮崎恭子)が亡くなったときでした(1996年)。久しぶりに会い、抱き合って泣いたのを覚えています」と述懐。「田宮(二郎)さんもモダンな俳優。(田宮が出演した)『白い巨塔』にも実は出るはずだったんですが、芝居が入ってタイミングが合わず、仕方なくお断りしたんです」と知られざる驚きのエピソードも披露した。

 「大映という会社は、カメラや録音技術など、スタッフの力も素晴らしくて、役者としてセリフを表現するとき、安心感がありました」とも語った仲代。最後に、「役者は映画会社に所属し、その会社の映画専属で出演するのが当たり前でしたが、僕は芝居もやりたかったので専属にならず、フリーランスでやって来ました。そのおかげで、市川監督、黒澤監督、小林正樹監督、成瀬巳喜男監督と、素晴らしい監督に出会うことができ、その作品に出ることができた。今思えば幸運でした」と自身の俳優人生に思いを馳せた。

 「大映男優祭」は、映画会社・大映を代表する長谷川一夫、雷蔵、勝、田宮ら名優たちの傑作を一挙上映するもので、1942年の大映創立から75年を記念して昨年開催された「おとなの大映祭」「大映女優祭」に続くシリーズ第3弾。カンヌ国際映画祭グランプリ受賞の長谷川主演作『地獄門』(衣笠貞之助監督)、雷蔵主演『薄桜記』(森一生監督)、勝の人気シリーズ第1弾『座頭市物語』(三隅研次監督)など、45作品がラインナップされている。(取材/岸田智)

特集上映「大映男優祭」は角川シネマ新宿にて5月11日まで開催

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