世界が注目する手描きにこだわるアニメーション、水江未来監督の個展が開催

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日本・フランス合作作品『DREAMLAND』は水江監督の手描きによるアニメーション。 - (C)MIRAI MIZUE_CaRTe bLaNChe_CANAL+

 アニメーション作家・水江未来監督の個展「DREAMLAND-水江未来のアニメーションのミライ-」が7月2日~14日、東京・京橋の art space kimura ASK? で開催されている。会場では、先ごろフランスで開催された第42回アヌシー国際アニメーション映画祭のクロージング作品『DREAMLAND』の上映や原画の展示などもあり、世界が注目するアーティストの創造の世界に触れる絶好の機会となりそうだ。

 水江監督は、カラフルな色彩に彩られた細胞や幾何学模様が、音楽に合わせて変形しながら独自の世界を創り上げていくという抽象アニメーションを多く手掛けている。しかもCGでの制作が主流になっている中、手描きにこだわっている。その分労力を要するが、暖かみのある線と色彩は唯一無二の作品を生み出し、それが世界でも高く評価され、『MODERN No.2』(2011)は第68回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門、『WONDER』(2014)は第64回ベルリン国際映画祭短編コンペティション部門に選出されている。

アヌシー国際アニメーション映画祭で『DREAMLAND』がクロージング作品に選ばれた水江未来監督

 近年は活動の幅を広げ、ロックバンド「GLAY」がデビュー20周年記念で開催した「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」のマスコットキャラクター・デザインやアニメーション制作や、トクマルシューゴのミュージックビデオ「POKER」と「LIFT」、さらに復興支援ソング「花は咲く ~アニメスター・バージョン~」のアニメーション演出も手掛けている。

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 ほか母校の多摩美術大学をはじめ5校で非常勤講師・専任講師を務めるなど後進の指導にもいそしんでいる。多忙を極めているが、そんな中、ようやく完成させたのが『DREAMLAND』だ。前作『WONDER』がアヌシーでCANAL+CREATIVE AID賞を受賞し、その副賞である次回作製作支援助成金を得て制作された日本・フランス合作作品である。音楽を、17世紀の作曲家スカルラッティの楽曲をテクノにしたことで話題のスカルラッティ・ゴーズ・エレクトロが担当している。

個展では最新作『DREAMLAND』ほか旧作も上映する。

 “夢の王国”を意味する本作は、都市の栄枯盛衰を描くことで、人類の進歩とは? を問いかけている。制作にあたっては2006年に45年の歴史の幕を閉じた奈良ドリームランドも取材したという。

 「一時は栄華を極めた遊園地も、閉園し、人の気配がなくなるとあっという間に荒廃してしまった。東日本大震災以降、社会の見方が変わってきたこともあり、そんなことが作品にも反映されているのかもしれません」(水江監督)

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 クロージングでは水江監督の作品のほか、ドリームワークス制作の3Dアニメーション『ビリー(原題) / Billy』、南アフリカの『ベリー・フロップ(原題) / Belly Flop』、アメリカのアニメーションのパイオニアと称されるウィンザー・マッケイ監督が1914年に製作したものを今に蘇らせた『恐竜ガーティ』と、全く異なるタイプの4作品が上映され、世界最大級のアニメーション映画祭らしく多様なスタイルを提示した。

個展会場では体感型アニメーション作品「TATAMP -Extension-」(2012)も。インテリア・デバイス「FRAMED」の前でジェスチャーをすると、その動きに反応しさまざまな種類の生命体がサウンドと共に湧き出てくる。

 実は今回、水江監督は同作を短編コンペティション部門の方に応募していたそうで、なかなか連絡が来ず、半ば諦めていたという。

 「それがまさかクロージングでお話をいただくとは(苦笑)。アヌシーに来るのは今回で8回目。山村浩二さんが『頭山』(2002)でアヌシーのクリスタル賞(グランプリ)を受賞したニュースを聞き、1人で制作し、海外の映画祭を回っている人がいるのだと刺激を受けて自分も海外を目指すように。自分に取っても特別な場所でクロージングを飾るとは光栄です」と感慨深げに語った。

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個展会場では原画や、水江監督が表紙を手がけた書籍なども展示されている。

 『DREAMLAND』は今後もキプロス共和国で開催される第17回カントリーサイド・アニマフェスト・キプロス(7月19日~21日)、アメリカ・ニューヨークの第12回ジャパン・カッツ(7月19日~29日)での上映のほか、イメージフォーラム・フェスティバル2018(スパイラルホール8月8日~12日、シアター・イメージフォーラム8月4日~12日開催。以降京都、名古屋、横浜を巡回)では公募部門東アジア・エクスペリメンタル・コンペティションにノミネートされている。名前の通り、自らの手でアニメーション界の未来を切り拓いている。(取材・文:中山治美)

「DREAMLAND-水江未来のアニメーションのミライ-」は7月2日~7月14日東京・京橋の art space kimura ASK? にて開催(日曜休廊。入場無料)
http://www2.kb2-unet.ocn.ne.jp/ask/

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■水江未来「MIRAI FILM」公式サイト
https://miraifilm.com

■第17回カントリーサイド・アニマフェスト・キプロス
http://www.animafest.com.cy/gr/

■第12回ジャパン・カッツ
https://www.japansociety.org/page/programs/film/japan-cuts-2018

■イメージフォーラム・フェスティバル2018
http://www.imageforumfestival.com/bosyu2018/jp.html

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