アスベスト被害者に密着した話題のドキュメンタリー、監督を直撃!

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8年もの年月をかけて密着した原一男監督

 現在ニューヨークのジャパン・ソサエティーで開催されているイベント「ジャパン・カッツ!」で上映されたドキュメンタリー映画『ニッポン国VS泉南石綿村』について、原一男監督が、7月22日(現地時間)、単独インタビューに答えた。

【動画】『ニッポン国VS泉南石綿村』予告編

 本作は、明治時代より石綿(アスベスト)産業が発達した大阪・泉南地域の石綿工場の元労働者とその家族らが、国を相手に損害賠償を求める姿を8年間に渡って密着したドキュメンタリー。映画『ゆきゆきて、神軍』『全身小説家』などの名作を制作してきた原監督がメガホンを取った。

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 関西テレビから企画を持ち込まれたという今作。「話を持ちかけてきた方は、映画監督の浦山桐郎さんと組んだことがあって、ものすごく尊敬していたそうなんです。彼は、浦山さんが亡くなってから10年後に、浦山さんを描いた番組を作ろうと思い立ち、わたしが監督を引き受けました。この作品が思ったよりよくできまして、またいつか仕事をやりましょうと言われたんです。その後、こういう話はどうか、ああいう話はどうかといろいろお話を頂いたのですが、うまくいきませんでした。でもある日、その流れで『今度は、泉南(のアスベスト問題)をやってみない?』と言われて、乗ることにしたんです」。

 この訴訟は、大変話題性のあるものだが、実際に裁判所の中に入って取材はできず、アスベストの被害者の撮影も初めはできなかったそうだ。「病気による被害なので、病気で苦しんでいるところを撮影しなければいけないと思うのですが、『元気なときにね!』と言われてしまい、彼らが苦しんでいる状態がいっこうに撮れませんでした。接する泉南の人々は大好きな人たちですが、映画を構成するには物足りない内容になってしまいます。それが(製作中の)最大の悩みで、結局、これは待つしかないと、(僕の映画のために)彼らが何かやってくれると期待して、待つしかありませんでした」。その待っている間は、映画を手掛ける上で、人間の感情を描くという基本に立ち返り、感情が出てくるところを狙っていたという。結果、そのやり方が功を奏した。

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『ニッポン国VS泉南石綿村』より - (C) 疾走プロダクション

 『ゆきゆきて、神軍』では奥崎謙三さん、『全身小説家』では井上光晴さんを描いたが、二人とも個性的なキャラクターで、彼らを映すことでシーンが成り立っていた。だが、今作は焦点となる人がたくさん居るため、構成を模索しながら撮影した部分もあったようだ。「今までの作品は、わたしが欲しい映像を、かなり暴力的に奪い取っていくみたいなイメージがあるんです。もちろん、わたしが暴力をふるって撮影しているわけではありません。(今までは)強引にシチュエーションを作り、その中に主人公を入れて、面白い映像を作っていきました。ところが今回は、そういったことは通じない人たちなんです。でも待っていることで、政府の権力に対する彼らの怒りが徐々に培われてきて、それを8年間捉えていると、本来の姿(映画の構成)が現れてきた、そう思っています」。暗中模索状態の中から、最終的に確固たるものをつかんだようだ。

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 今作を通してニューヨークの人々に理解してほしいことは、日本の被害者と世界各地の被害者の交流だと語る原監督。「今作に出ている弁護団の人が、世界のアスベストの被害状況を、資料を取り寄せて勉強しています。同じアスベストの問題を抱えている世界中の国々の映画祭で上映されることを願いますし、世界各地の被害者が交流してほしいです。そこからようやくスタートだと思っています」と期待に胸を膨らませ、締めくくった。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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