山田洋次、八千草薫さんは日本人の憧れだった

第32回東京国際映画祭

八千草薫さんをしのんだ山田洋次監督
八千草薫さんをしのんだ山田洋次監督

 山田洋次監督が28日、EXシアター六本木にて行われた第32回東京国際映画祭オープニング作品である『男はつらいよ お帰り 寅さん』の上映舞台あいさつに登壇。『男はつらいよ』シリーズ第10作目の『男はつらいよ 寅次郎夢枕』(1972)でマドンナを演じ、本作にも当時の映像として出演している八千草薫さんが24日に88歳で亡くなったことについて追悼のコメントを述べた。イベントには倍賞千恵子吉岡秀隆後藤久美子前田吟夏木マリ浅丘ルリ子も出席した。

【写真】『男はつらいよ』メンバーが勢ぞろい!

 『男はつらいよ お帰り 寅さん』は、『男はつらいよ』シリーズ50作目にして22年ぶりの最新作。渥美清さん演じる車寅次郎、通称寅さんの甥っ子の満男(吉岡)と満男の高校の後輩にあたるイズミ(後藤)が久々の再会を果たすことから起こる物語が描かれる。

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 つい先ほど八千草さんの訃報を聞いたという山田監督は「僕たち世代の日本人にとっては、八千草さんは若いころから憧れの人でした」と語ると「これから観ていただく映画のなかにも、いまから47年前の八千草さんのとても美しいクローズアップが入っています。その映像を観てみなさんもお別れを言ってください」と故人をしのぶ。

 寅さんの妹さくら役の倍賞も「先ほど話を聞いてびっくりしました」と驚きを見せると「八千草さんとお兄ちゃん(渥美さん)がくるまやの土間で話しているシーンが思い出されます。とても優しい方でした。残念です」とコメントした。

 本作では、満男やイズミ、さくらや博(前田)らが過去を懐かしむ形で若かりしころの寅さんが登場しており、山田監督は「50年かけて作った映画は、映画の歴史のなかではないでしょうね」と語ると「演出がどんなに下手でも年月の重みだけは伝わるんじゃないかと思っています。寅さんや前田くん、倍賞さんの50年前の姿を見ることができるんですよ」と期待を煽る。

男はつらいよ

 倍賞も「わたしはこの映画のなかで、社会や世間、演じることを学ばせていただきました。お兄ちゃんからも、お芝居以外のいろいろなことを教わりました」と懐かしそうな表情を浮かべると「人としての大切さを教えてくれる人でした。お兄ちゃんはいなくなっちゃいましたが、撮影中はいつもお兄ちゃんが見てくれていると感じていました」と撮影を振り返った。

 前田もこれまで105本の映画に出演しているというと「半分は山田監督の作品で、ほとんどが脇役でした」と笑う。しかし「バイプレイヤーというのは難しく、特に『男はつらいよ』の博は難しかった。そんな役を楽しく演じられたのは、寅さんのおかげでした」と渥美さんに感謝を述べていた。『男はつらいよ お帰り 寅さん』は12月27日より全国で公開される。(磯部正和)

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