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ロウ・イエ監督、製作費12億円の実録映画を語る 東京フィルメックスでオープニング上映

ロウ・イエ監督
ロウ・イエ監督

 アジア圏の気鋭の映像作家を発掘・紹介してきた第20回東京フィルメックスが、23日に開幕。メイン会場の東京・有楽町朝日ホールでは、記念すべき20回目のオープニング作品として、ロウ・イエ監督の『シャドウプレイ』(2020年2月下旬公開)が上映され、上映後にロウ監督がQ&Aに登壇した。

【写真】ロウ・イエ監督×オダギリジョー出演の映画

 本映画祭に特別招待作品として出品された本作。『ふたりの人魚』(2000)、『天安門、恋人たち』(2006)などのロウ監督の10作目にあたる本作は、2010年に広州市の都市再開発で取り残された一画で起きた暴動から着想を得たクライムサスペンス。ある家族の改革開放から現在までの30年間を追う。約12億円の製作費が投じられた本作には大掛かりなアクション・シーンも盛り込まれ、ロウ監督作の中でも最も規模の大きい作品。今年の第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門で上映され、中国本土ではロウ監督作品最大のヒットとなった。

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 映画は、林立するモダンな高層ビルの足元に、時代に取り残されたようなシエン村の空撮シーンからスタートする。ロウ監督いわく、「シエン村の存在が本作の着想の全て」。「ビジネス街に囲まれ、昔ながらの村が残っている。この対比と、特別なロケーションに出会わなかったら本作は撮れなかったでしょう。シエン村とその周囲をわずかに歩くだけで、中国の30年という時間を一気に体験することができる。中国の生きた標本のような場所でした」と制作の経緯を説明する。

 物語では、再開発事業を担当する市当局責任者の謎の死を追う刑事が、不動産会社社長が関わる陰謀やバイオレンス、その愛人とのスキャンダルに巻き込まれていき、ジャンル映画的要素もふんだんに盛り込まれる。中国の今の空気を切り取るとともに、アクションなどの娯楽的要素を取り入れた理由を、観客から問われたロウ監督は「ジャンル映画的なエンターテインメントの要素を持ち込んで、人間と人間の関係をしっかり描きたいと思いました。シエン村は実際、政府、実業家、官僚などの人間関係が、複雑に入り乱れているんです」と答えた。

 長回しの撮影や空撮、手持ちカメラのブレの激しい映像やクローズアップ、監視カメラ映像なども加え、質感の異なる映像をスピーディーなテンポで編集しているところも特筆すべき点。カットの組み立て方や編集方法について、ロウ監督は「脚本では、過去と未来を交互に語っていく予定でしたが、映像の編集段階で、時空間の処理を、より見やすく変更しました。手持ちカメラや監視カメラを用いているのは、ドキュメンタリー的な撮り方をしたかったからです」と回答。「今は、一人が一台のカメラを持っている時代ですし、(ドキュメンタリー的な映像は)今の時代というものを表していると思います」と映像へのこだわりを明かす。

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 今年の東京フィルメックスでは、節目となる第20回開催を記念し、本映画祭の歴代受賞作人気投票を実施。第1回最優秀作品賞を受賞し、国際的評価を受けたロウ監督の『ふたりの人魚』も上映される。特別招待作品では『シャドウプレイ』の準備期間から検閲と困難を乗り越え公開に至るまでの製作背景を、ロウ監督の妻で共同脚本家であるマー・インリーが記録したドキュメンタリー『夢の裏側~ドキュメンタリー・オン・シャドウプレイ』も観られる。(取材・文/岸田智)

映画『シャドウプレイ』は2020年2月下旬、アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

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