『るろ剣』高橋一生、役の9割は「衣装で決まる」

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』で桂小五郎を演じた高橋一生
『るろうに剣心 最終章 The Beginning』で桂小五郎を演じた高橋一生 - 写真:高野広美

 作品ごとにさまざまな表情を見せ、その七変化ぶりで観客を魅了している俳優の高橋一生。大ヒットシリーズの完結作であり、始まりを描く『るろうに剣心 最終章 The Beginning』では、剣心を見守る“優しさ”と幕末志士としての“厳しさ”をあわせ持った桂小五郎を、鮮やかに演じている。あらゆる難役をこなす上でも、決してその苦労を明かそうとはせず「俳優は手品師のようなものだと思うんです。お客さんに作品を楽しんでもらうことが一番。そこにタネ明かしはいらないと思っています」と笑顔を浮かべる。今作で初参加となった『るろうに剣心』で味わった喜びとともに、俳優としてのポリシーやプロとしての覚悟を語った。

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■大友組は「そのシーンを骨の髄までしゃぶり尽くせる現場」

高橋一生
写真:高野広美

 和月伸宏の漫画を、大友啓史監督が佐藤健主演で実写化した本シリーズ。激動の幕末で“人斬り抜刀斎”として恐れられながら、新時代において、斬れない刀“逆刃刀”を手に大切な人々を守ろうとする男・緋村剣心(佐藤)の戦いを描く。原作の「追憶編」をもとにした『The Beginning』では、これまでのシリーズから時間をさかのぼり、剣心の謎につつまれた過去と十字傷に秘められた真実がつづられる。

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 大友監督とは、これまでにも『3月のライオン』(2017)と『億男』(2018)でタッグを組んだことがある高橋。今作における桂小五郎役のオファーを受け、「僕は大友監督とご一緒できると思ったら、手放しで喜んでしまうんです。まず人として、大好きな方です」と前のめりで参戦を決めたことを明かした。

 「大友監督はいつも、『僕らがしっかりとおさえるから、自分の感じたようにやってみてほしい』と俳優に言ってくれます。俳優部のことを考えてくれているからこそ、そういったやり方をしてくださる。大友監督から『すごくよかったんだけど、もう1回!』と言われると、『いくらでもやります!』という気持ちになる」と信頼しきりで、「『もう少し、このシーンを楽しみたかったな』と思い残して終わることは、大友組では絶対にありません。そのシーンを骨の髄までしゃぶり尽くせる。あらゆる可能性を探れるという意味でも、最高の現場です」とにっこり。妥協せずに高みを目指す大友組は、「ずっといたいくらい」と特別な喜びのある撮影現場だと話す。

■「役作りの9割は、衣装で決まる」

高橋一生
写真:高野広美

 本作で演じたのは、“人斬り抜刀斎”が誕生するきっかけとなる長州藩志士の桂小五郎。高橋は「大友監督が僕に桂役を任せたいと思ってくださったことが、とてもうれしかった」と吐露。「桂は、緋村剣心を見初めて、“人斬り”という駒として使っていく。台本を読んだときに、桂は非常にシビアだけれど、その一方で緋村に対してある“情”を感じているような、相反するものがあるなと感じました。愛情があるように見える瞬間もあれば、とても非情に見える瞬間もある。あいいれない二つの要素を、どのようなバランスで見せていくかが大事になるような役」と話す。

 難しい役どころに感じるが、高橋は「難しいとは感じていません」とさわやかな笑顔を見せ、「役作りの9割は、衣装で決まると思っています」と打ち明ける。「ぶっ飛んだ世界観でありながらも、本シリーズのキャラクターには、当時の世の中に存在していてもあまり違和感がないような、絶妙なバランス感が存在している」と分析しつつ、「原作のキャラクター性を踏襲しつつも、コスプレにはしないということを大事にしながら、桂を肉体に落とし込んでいく作業をしていきました。そのためには、衣装がとても大事になってくる。言ってしまえば、衣装でその役の9割は決まると思っています。カツラを被って畳の部屋を歩くだけで、内面も変わってきますから」と持論を展開する。

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 その上で、「撮影では相手の方が出してくるお芝居や、風がひとつ吹くだけでも、そのシーンの雰囲気が変わってくるもの。それを受けていくことが大事」と撮影現場で生まれる化学反応を大切にしながら役にのぞんでいる。だからこそ、佐藤演じる剣心の「心の動きを観察するように心がけていた」そうで、「佐藤さんは、常に緋村としてそこにいて、対峙していてもにじみ出る感情が変化していくのがわかる。それに対して、僕は返していけばいい。迷いはまったくなく、安心してお芝居ができました」と佐藤に抱く安心感を口にする。

 佐藤とは、大友監督作の『億男』でも共演しており、「佐藤さんはいつもフラットでいながら、お芝居になるとガラッとその役になる。毎回、すばらしい俳優さんだなと思って見ています」と惚れ惚れ。生きた芝居を撮ってくれる大友監督と佐藤がいれば「僕は、そこにそのままいれば成立するような現場」と信じられたといい、「とても楽しかったですね」と彼らとの再タッグに充実感をみなぎらせていた。

■高橋一生のポリシーとプロしての覚悟。俳優は「手品師のようなもの」

高橋一生
写真:高野広美

 近作だけで考えても、荒木飛呂彦の漫画を実写化したNHKドラマ「岸辺露伴は動かない」で風変わりな漫画家を演じ、日曜劇場「天国と地獄 ~サイコな2人~」では見事な“入れ替わり演技”を披露するなど、改めてその実力を世間に見せつけている高橋。「役作りの9割は、衣装で決まる」とすると、“入れ替わり演技”の場合はどうするのか気になるところでもあるが、高橋は「現代劇であっても、着るものなど、いつもの自分とは違うもので身を固めていくと、その役柄が腑に落ちてくる」とさらりと話す。

 極めて高度な演技力で見る者を驚かせながらも、高橋の口からは、「苦労した」という言葉は一切出てこない。そこに彼の俳優としてのポリシーが垣間見える。「作品を観てくださる方には、俳優の技術的なことや苦労は、見えなくていいものなのかなと思っています。俳優は手品師のようなもので、タネは明かさない方がいいのではないかと。その役や、作品として楽しんでもらうのが一番かなと思っています」と目尻を下げる。

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 「大友監督は、『頑張ることはプロとしての大前提』という考えをお持ちの方。とてもいい言葉だと思います。僕もプロとして、『頑張った』とか『努力した』『苦労した』という言葉は使いたくないので」と“プロとしての覚悟”という意味でも、大友監督とは共鳴している様子。「大友監督とエンタメ大作である本作でご一緒できたのは、すばらしい経験になりました。大友監督とは、できるかぎりご一緒したいと思っています」と未来への希望を語った高橋一生。やわらかな微笑みの裏に、役者としての底知れぬすごみが存在していた。(取材・文:成田おり枝)

るろうに剣心 最終章 The Final』『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は公開中

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