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『ONODA』小野田寛郎を二人の俳優が演じた理由

(左から)カトウシンスケ、仲野太賀、遠藤雄弥、津田寛治、イッセー尾形、井之脇海、松浦祐也
(左から)カトウシンスケ、仲野太賀、遠藤雄弥、津田寛治、イッセー尾形、井之脇海、松浦祐也

 実在の旧日本軍兵士・小野田寛郎を題材にした映画『ONODA 一万夜を越えて』(10月8日公開)の記者発表会が5日、フランス大使館で行われ、小野田の青年期を演じた遠藤雄弥と壮年期を演じた津田寛治が出席。青年期と壮年期というあまり年が離れていない人物を二人の俳優で演じたことへの見解を述べた。会見には、仲野太賀松浦祐也カトウシンスケ井之脇海イッセー尾形、フィリップ・セトン駐日大使、ビデオメッセージにてアルチュール・アラリ監督が参加した。

【動画】『ONODA 一万夜を越えて』予告編

 本作は、1974年に終戦後約30年のときを経て帰還し「最後の日本兵」と呼ばれた旧陸軍少尉・小野田寛郎の潜伏期間の史実に着想を得て映画化。太平洋戦争終結後も、フィリピン・ルバング島で懸命に生き延びた小野田の生きざまを描く。

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 同一人物の青年期と壮年期を演じるということで「役への打ち合わせをしたか?」を聞かれた遠藤と津田。遠藤は「特に役についてすり合わせする時間はなかったです」と振り返ると、津田も「もし普通に年をとった小野田であれば、演じた年齢もそれほど離れていないので、遠藤くんが老けメイクをすれば良かったと思う」とダブルキャストにしたアラリ監督の演出意図の核心をつく。

 続けて津田は「監督は、小野田の時間的な経過を見せたかったのではなく、心情がどれだけ変化したかということを、役者を変えるという手法で表現したかったんだと理解しました」と語ると、だからこそ小野田が経験した思いや、見た目などを遠藤が演じた小野田に寄せる必要がないと判断したという。

 さらに津田はアラリ監督から「あなたは小野田さんではないんだ」と演出を受けたと述べると、実在の人物を演じるにも関わらず、小野田寛郎という人間について知識を入れず、台本のみを頼りにクランクインしたことを明かしていた。

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 アラリ監督が「キャスト、スタッフの汗と涙の結晶」と表現した本作。カンボジアで行われた撮影は、精神的には夢のような満たされた時間だったと登壇者は口々に語っていたが、肉体的にはかなり過酷だったという。特に水は大敵だったようで、遠藤は「キャスト、スタッフの皆さんの多くがお腹を壊したり、熱を出したり、満身創痍な状態でした。でもそれが作品のストイックさにマッチしていたのかもしれません」とプラスに捉えて撮影をしていたようだ。

 また遠藤は、戦地に赴く兵士を演じることで、クランクイン前に相当な減量をして臨んだというが、いざカンボジアに着くと、アラリ監督から「痩せすぎなので2~3キロ戻して」と言われたエピソードを披露。いったん体重を戻した後、時間経過と共に、また現地で減量という「和気あいあいとしながら過酷な減量にアプローチさせてもらいました」と楽しそうに語っていた。

 第74回カンヌ国際映画祭ではある視点部門のオープニング作品として上映され、反響を呼んだ本作。いよいよ日本でも公開が間近に迫った。遠藤は「映画に携わった方々のプロフェッショナルな思いが詰まった作品がようやく公開になり、感無量です」と晴れ晴れとした笑顔を見せると、津田も「コロナ禍で自分を見つめ直した人たちがたくさんいると思います。そういう方々にとって小野田さんという人物がどう映るのか。彼の行ったことを見て、新たな答えを見つけ出してもらえたら、こんなに幸せなことはありません」と映画に込めた思いを語っていた。(磯部正和)

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