ミスター平成ライダー・高岩成二、50歳過ぎても「ここまでやれる」顔出し初主演で変身
“ミスター平成仮面ライダー”の異名を持つ伝説的スーツアクター・高岩成二が、顔出しで初主演を務めた、ひかりTV配信ドラマ「グッドモーニング、眠れる獅子」。50歳を過ぎて新たなステージに挑戦した高岩が、かつて同じ仮面ライダーを演じた俳優陣との共演を振り返りながら、作品にかける思いを語った。
【動画】ミスター平成仮面ライダー、オタ芸に苦労？高岩成二インタビュー
高校生でJAC（ジャパン・アクション・クラブ）の門をたたき、デビューから30年以上のキャリアを誇る高岩。満を持しての顔出し主演作となったが、本人は「顔を出すのは新人と変わらないので」と謙虚な姿勢を崩さない。「こういうことは言ってはいけないのかもしれませんが、やはり顔に（仮面が）一枚あるのとないのとでは、裸を観られている感じで、恥ずかしいというか照れ臭いというか。ぼかしを入れたくなるくらいで（笑）。もちろん、マスクの中でも感情を込めている部分は変わらないんですが」
「グッドモーニング」は、50歳を過ぎた新人芸能マネージャー・九條和真が、担当アイドルを狙う謎の集団と激闘を繰り広げるアクションドラマ。九條が守る女優志望のアイドル・綿貫玲実役で、日向坂46の渡邉美穂が出演。高岩は、一見さえないオヤジだが、実は壮絶な過去を背負った最強の男を演じており、本作にかけた思いをこう語る。
「一般的な50代の方々だと、半世紀を生きて、そろそろ疲れが見えてくるところなのかなと。その部分は僕も一緒。そういう男が、何かしらのきっかけで『変身』して暴れ回るのが本作の見せどころでもあるので。50歳を過ぎてもこれだけやれますよと。そう、自分に言い聞かせていた部分はあります」
ただ、ミスター平成ライダーならではの苦労も。「体に染み付いたヒーローの表現っていうのが残っているので、さえない一面を出さなきゃいけないのに、シャンっとした部分が急に出てきてしまう。そこは困りましたね（笑）」
監督は、アクション畑出身で「仮面ライダーW（ダブル）」以来、数々の作品でタッグを組んできた坂本浩一。「坂本監督は、本人が（アクションを）やれる方なので、その物差しで指示がくるものだから『いや、無理ですそれ』っていうこともけっこうあるんです」と苦笑する高岩。その言葉通り、本作では、文字通りのノンストップバトルが展開する。「短いけれど内容の濃い毎日でした。お芝居の部分とアクションパートと、朝から夜までがっつり。さすがに連日だったので体がバキバキで、すっかり筋肉痛になりました」
妻の村上利恵さんが代表を務めるアクションチームTEAM☆T.A.W (Takaiwa Action Widen)では、後進の育成にも勤しむ。そんな高岩に対し、坂本監督の粋な計らいもあったという。「Widenも撮影に参加させていただき、劇中で戦う半グレ集団の一人で、息子も出ているんです。全員が中国武術をやっているんですが、そのスタイルをアクションに取り入れていただいて。息子と一対一でやるっていうのが、また気恥ずかしかったですね」
そんな本作には、かつて共に主人公を演じた、平成仮面ライダーの主演俳優陣が出演。椿隆之（「仮面ライダー剣（ブレイド）」）、井上正大（「仮面ライダーディケイド」）、西銘駿（「仮面ライダーゴースト」）、佐野岳（「仮面ライダー鎧武／ガイム」）との再共演に「嬉しかったですね。会うのも久しぶりでしたし」という高岩は、ここでも気恥ずかしさが先に立ったと笑みを浮かべる。「当時は『変身！』と言ったら僕に代わっていたのが、向かい合って殴り合うというのは、変な感じでした。4人が揃って顔を突き合わせた時も、この光景変だよねって。『真面目な目ぇして』なんて茶々入れたりしてました」
50歳を過ぎて独立し、新たなステージへと踏み出した高岩。JAC時代からの「憧れの先輩」という真田広之は、61歳の現在もハリウッドで見事なアクションを披露しているが、そこまで現役を貫く意思を尋ねると「自信ねえなぁ」と苦笑する。しかし「でも本当に目標としている先輩俳優ですから。僕もできたらいいですね」と答える瞳は真剣だ。
「ライダーの現場から一旦離れて、外の現場をやらせていただくようになりましたが、僕が本来入ったのはこうした世界でもありました。こういう機会を与えていただけるのは本当にありがたいことですし、ちょっとした役であっても、少しずついろいろな作品に関われたら。そして、自分が育成している若い俳優たちに、もっと多くの活躍の場を与えられれば、と考えています」（編集部・入倉功一／写真・中村好伸）
ドラマ「グッドモーニング、眠れる獅子」は映像配信サービス「ひかりTV」で4月23日（20:00～）より放送・配信
