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香川照之、14年ぶり映画主演 記憶をなくしたエキストラ役者描く『宮松と山下』公開決定

『宮松と山下』より 配給:ビターズ・エンド
『宮松と山下』より 配給:ビターズ・エンド - (C)2022『宮松と山下』製作委員会

 俳優、歌舞伎役者の香川照之が約14年ぶりに主演を務める映画『宮松と山下』が11月18日より公開されることが27日、明らかになった。本作は、CMや教育番組「ピタゴラスイッチ」を手掛けてきた東京藝術大学名誉教授・佐藤雅彦、NHKでドラマ演出を行ってきた関友太郎、多岐にわたりメディアデザインを手掛ける平瀬謙太朗の3人からなる監督集団「5月(ごがつ)」の初の長編映画。香川は過去の記憶をなくしエキストラ役者として生きる主人公にふんし、共演に津田寛治尾美としのり中越典子らが名を連ねる。

【写真】香川照之、14年前の主演作でキョンキョンと肩組み2ショット

 本作は、香川演じる真面目で目立たない主人公・宮松が、殺されてばかりの端役に懸命に取り組む日々を追う物語。宮松は劇中、ある日は時代劇で弓矢に打たれ、ある日は大勢のヤクザの一人として路上で撃たれ、 ある日はヒットマンの凶弾に倒れ、来る日も来る日も殺され続けている。彼には過去の記憶がなく、何が好きだったのか、どこで何をしていたのか、自分が何者だったのか、何も思い出せない。そんな中、彼は毎日数ページだけ渡される「主人公ではない人生」を演じ続ける。津田、尾美、中越らの演じるキャラクターが、口数の少ない宮松の謎に包まれた現在と過去を展開していく。

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撮影風景

 現在、韓国ドラマ「梨泰院クラス」をリメイクした「六本木クラス」(テレビ朝日系で放送中)の悪役も話題を呼び、俳優のみならず情報番組「THE TIME,」(TBS)の司会や冠教育番組「香川照之の昆虫すごいぜ!」(Eテレ)シリーズなど多岐にわたって活躍する香川。本作は香川にとって黒沢清監督作『トウキョウソナタ』以来の主演映画となり、「2006年に撮影した西川美和監督の『ゆれる』という映画の脚本を初見で読んで以来の異様な衝撃が走った台本」と評している。

 監督集団「5月」は、“新しい手法が生む新しい映像体験 ”を標榜し、過去に2本の短編映画がカンヌ国際映画祭から正式招待。香川を主演に迎えた撮影を、「撮影の最中、宮松という人物を求めて、香川さんはずっと私たちと一緒に悩み、試し、答えを出した。編集中、香川さんが我々に与えてくれた表情や演技には、とんでもない量と質の情報が含まれていることが分かった」と振り返っている。

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 香川、監督集団「5月」のコメント全文は下記の通り。(編集部・石井百合子)

映画『宮松と山下』は、11月18日より新宿武蔵野館、渋谷シネクイント、シネスイッチ銀座ほか全国公開

香川照之

 『宮松と山下』は、具体名を出して申し訳ないが、2006年に撮影した西川美和監督の『ゆれる』という映画の脚本を初見で読んで以来の異様な衝撃が走った台本だったが、聞くとその映画のメガホンをとる監督が何と3人いると言う。2人は30代の若者。残る1人は年齢不詳の男。若者の1人はどこまでも芸術的な感覚で世界を捉えていて、中世ヨーロッパの抽象画家のようだ。もう1人は、辛うじて演技の方向性を演者に伝えてくるが、目の奥では全く違う思考がカチカチと常に動いていて油断がならない。年齢不詳の男は思慮深い教授そのもので、豊かな知識の会話術に満ちながら、その実なにを考えているのか皆目分からない。そんな彼ら3人の巧みな言葉に乗せられて、私のアイディアや感性も暴発していく。ああ、久しぶりに芯のある演技をしているな……完成した作品は、やはり久しぶりの変態性に満ちていた。狂っている。褒め言葉だ。こんな映画が欲しかった。

関友太郎/平瀬謙太朗/佐藤雅彦(監督)

 この映画は、当初、「とうてい実現できそうにない構想」として、私たち3人の監督の間では宙に浮いていた。
それが、ある日、「香川照之」という名前がひとりの口から漏れた瞬間。現実に完璧に定着することができると3人の監督は直感した。
エキストラ役者として己の個を消してどんな場所にでも潜む役を演じつつも、画面に写ったら最後、観客を物語の世界へとグイグイと連れて行く存在感。そんな矛盾する両面性。

もう香川照之しかいなかった。

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そして、それがいかに素晴らしい閃きであったかを、私たちはその後、嫌というほど思い知ることになる。
撮影の最中、宮松という人物を求めて、香川さんはずっと私たちと一緒に悩み、試し、答えを出した。編集中、香川さんが我々に与えてくれた表情や演技には、とんでもない量と質の情報が含まれていることが分かった。

香川照之の演技力、人間性を我々は充分知っている。
と思っている。しかし、

まだ世の中は香川照之の緻密さを知らない。
まだ世の中は香川照之の恐ろしさを知らない。
まだ世の中は香川照之の本性を知らない。
私たち3人の監督は、それを今、確信している。

香川照之の真髄、この映画にあり。

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