『黒牢城』モノクロ版上映決定!黒沢清監督、推奨「騙されたと思って」

本木雅弘主演、黒沢清監督初の時代劇作品となる映画『黒牢城』(公開中)の公開御礼舞台挨拶が30日に都内で行われ、本木、菅田将暉、吉高由里子、黒沢監督が登壇。一部劇場にて、本作のモノクロ版が上映されることが発表されると、黒沢清監督は率直な思いを口にした。
本作は、米澤穂信の直木賞受賞作を映画『CURE キュア』や『スパイの妻<劇場版>』などの黒沢監督が映画化したミステリー。織田信長に反旗を翻して籠城作戦を決行した武将・荒木村重(本木)は、妻・千代保(吉高)を心の支えに城と人々を守ろうと苦心していた。そんな中、密室と化した城で怪事件が起こる。村重は、地下牢に囚われた天才軍師・黒田官兵衛(菅田)と共に謎の解明に挑む。
昨日までで観客動員数47万人を突破した本作。モノクロ版での特別上映の開催が発表されると、本木は「これ、すっごい楽しみ」と興奮。黒沢監督は「正直言って最初、この企画はまったく(気持ちが)のっていませんでした。デジタル的に白と黒に変換するということですけど、最初から言ってくれれば、そのような撮り方もできたんですけど全然聞いていなかったので」とぶっちゃけて会場の笑いを誘う。さらに、「イヤイヤ試写を観に行ったんですよ」とも打ち明ける。
しかし、鑑賞すると「めちゃくちゃいい」と感激したそうで、「何がいいかと言うと、俳優の表情がこんなにわかるのか。遠くにいても白目とかがくっきりしていて、アップにしなくても表情がすごくわかる。着ている服の模様もはっきりわかる。カラーバージョンだとあまり記憶にないんですけど…」と説明。続けて「もちろんカラーバージョンの方が情報は豊かですが、白黒にすると凝縮して、見えていないものがくっきり見えてくる。僕も驚きました。騙されたと思って一度ご覧になってください」とアピールした。
第79回カンヌ国際映画祭の「カンヌ・プレミア部門」に出品されて大きな反響を集めた本作は、世界30か国以上での公開も決定。本木は「日本人の私たちが観ていても名前が覚えられない、関係性がわからないという感じがあって、一生懸命追いつこうとしても、歴史好きじゃない限り、おおよそこういうことかな……と(すべてを理解することを)諦めるでしょ?」と“時代劇あるある”に触れつつ、「そういう感覚で観ていても、だんだん何かが見えてくる。囚われているのは官兵衛だけじゃない。この群衆もみんなそう。引いて言えば、既成概念に閉じ込められている現代の自分たちのことも言っているんかーい? みたいな。時代劇で解読不可能な台詞が散りばめられていても、何か通じてしまう」と“黒沢映画”の魅力を熱弁する。
菅田も黒沢監督の独特なカメラワークや台詞によって「快感」を覚えることを吐露。黒沢監督は「アップがなくて、引いた画でずっと(カメラを)回すとかよく言われるけど、大きなスクリーンで観るとちょうどいい。一挙手一投足、奥に置いてあるもの、衣装など、観客の皆さんにはいろいろなものが見える。映画館で観る映画としては最適なものにしたい」と映画制作における自身の思いを伝え、「映画館で映画を観るというのは面白い体験だと気づかれた方がいたら、是非、『黒牢城』じゃなくても……」と、さらなる“映画体験”を呼びかけた。
モノクロ特別版は7月10日より新宿ピカデリー、ミッドランドスクエア シネマ、なんばパークスシネマで上映。(錦怜那)


