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14歳の注目俳優・白鳥晴都、オダギリジョーからもらった金言とは?

白鳥晴都(ヘアメイク:高畑奈月 スタイリスト:清水拓郎)
白鳥晴都(ヘアメイク:高畑奈月 スタイリスト:清水拓郎)

 映画『とんび』(2022)でスクリーンデビューを果たし、2作目となる最新作『ぜんぶ、ボクのせい』(公開中)で早くも主演の座を射止めた注目の新人俳優・白鳥晴都(14)。母親の愛に飢えながら児童養護施設で育った孤独な少年という難役に挑戦する中、共演のオダギリジョーから忘れられない“金言”をもらったという白鳥が、本作の撮影を振り返った。

14歳の注目俳優・白鳥晴都主演!映画『ぜんぶ、ボクのせい』【写真】

 『Noise ノイズ』の新鋭・松本優作が監督・脚本を務めた本作は、白鳥を軸に豪華俳優共演で描く感動ドラマ。児童養護施設で母の迎えを待ちわびる優太(白鳥)は、あるとき母親(松本まりか)の居場所を知り施設を抜け出すが、自堕落な生活を送る母の姿に衝撃を受ける。当てもなく海辺をさまよう優太は、軽トラックで暮らすホームレスの“おっちゃん”こと坂本(オダギリ)と出会い、やがて二人は寝食を共にする仲に。さらに優太は、裕福だが自分の居場所が見つからない少女・詩織(川島鈴遥)とも知り合い、心を通わせていくが、ある事件によって状況が一変する。

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映画『とんび』をきっかけに俳優に意欲

 今から3年前、原宿で複数回にわたり、現事務所(スターダストプロモーション)から声を掛けられ、その並々ならぬ情熱に心を動かされたという白鳥。「どちらかというと芸能界のことはほとんど知らなくて、最初は正直、戸惑いましたが、何度もお誘いいただくうちに、だんだん興味が湧いてきて……。両親に相談したら、『誰でも体験できる世界じゃないから、もしやる気があるなら挑戦してみたら?』と背中を押され、思い切って飛び込んでみることにしました」とはにかみながら経緯を語る。

 それまでは、ごく普通の小学生。「男女関係なく誰とでも仲良くなれて、学級委員としても活動していました。習い事はピアノと習字、特に力を入れて取り組んでいたのはピアノです。中学生になってからは、あまり時間を拘束されない部活がいいかなと思って数学部に入りました。普段の勉強の補修にもなって」と優しくおっとりとした口調の中にも、和して動じない芯の強さがうかがえる。

 そんな白鳥が映画やドラマに興味を持ったのは、この業界に入ってから。それまでは、母親が観ているドラマを横でなんとなく眺めている程度だった。分岐点は映画『とんび』への出演だ。「この作品で阿部寛さん、北村匠海さん(白鳥は北村の子ども時代を演じた)とご一緒させていただいたんですが、最初から最後まで圧倒されっぱなしで。改めて俳優さんってすごいなと実感させられました。それからはお二人の作品を片っ端から観るほど夢中になりました」

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 オーディションという大きな壁も経験した。「なかなか役をつかめず悔しい思いを何度もしました。ほかの子の演技が気になったり、緊張しすぎたり、とにかく限られた時間の中で100%自分を出すのはとても難しいんです。そんな中、力を振り絞って挑んだ『とんび』で役をいただいたときは、勝ち取りたいという気持ちが特に強かった作品だったので本当にうれしかった」と思いをめぐらせる。

 そして今回、「オーディションで初めて自分のすべてを出し切れた」という白鳥。結果は、彼の帰路を追いかけるようにやってきた。「当時、静岡から通っていたんですが、オーディションが終わって1時間経ったくらいでしょうか……帰りの車の中で一次審査が通ったという連絡が来て。こんな経験は初めてだったので、うれしいを通り越して、ものすごく気合いが入りました。これはもう死ぬ気でがんばらなきゃって……」。作品を観れば一目瞭然、その気持ちの入れ具合がヒシヒシと伝わってくる。

オダギリジョーの忘れられないアドバイス

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白鳥晴都(ヘアメイク:高畑奈月 スタイリスト:清水拓郎)

 『とんび』では、家族や周囲の人々に愛されまくる役だったが、本作は母親の愛さえ受けられないまさに真逆の役。松本監督と納得いくまで話し合いながら、主人公・優太の心情を突き詰めていく中で、“希望”というキーワードが浮かび上がったという。「最初は、暗い役、暗いシーンが多いという漠然としたイメージだったんですが、松本監督から、『絶望の中にも希望がある』と言ってくださって、それでがらりと見方が変わりました。すべてがマイナスじゃない、救いのない状況の中でも、わずかな希望を持って生きているのが優太なんだと」

 その希望の象徴が、オダギリ演じるおっちゃんだ。「おっちゃんの前では、閉じた心を解放したり、束の間の幸せを感じたり、優太はすごく希望というか、自由を感じていたと思うんです」と振り返る白鳥。そして物語同様、オダギリの話が出ると、白鳥の顔も自然と柔らかい表情に。「優太と同じようにオダギリさんといる時間はとても楽しかったですし、お芝居もとても勉強させていただきました。特に驚いたのがアドリブの入れ方が絶妙なところ。めぐりめぐって最後はもとの場所にちゃんと戻って、僕のセリフがはまるようになっている。むしろそのシーンがより面白さを増してまとめてくるところが本当にすごいなと思いました」

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 なかでも、仲野太賀演じるリサイクル工場で働く片岡とおっちゃんの“エンジンを買う、買わない”のやりとりは絶品だと白鳥は唸る。「あのセリフの応酬は、確かほとんど台本に書いてなくて、アドリブというより自然に会話している感じでした。あそこのシーンは鮮烈でした。僕はまだまだ台本通りにしか動けないのですが、いつかはお二人のように枠にとらわれないナチュラルな芝居をできるようになりたいなと思いました」

 また、撮影が終わると、オダギリからよくご飯に誘われたという白鳥。いろんなアドバイスを受ける中で、最も印象に残っているのが、“外見を磨くより、感性を磨け”という言葉。「僕の中では、俳優=かっこいい、というイメージだったので、どうしても見た目を意識してしまう部分は今もあるんですが、やはり中身が伴わないと意味がないし、役としてどう見えるかが最優先なんですよね。あくまでもお芝居を磨かなければなにも始まらないという当たり前のことを、オダギリさんは身をもって示してくださった」と表情を引き締める。さらに監督経験のあるオダギリは、「僕のちょっとした動きとか、カメラの映り方とか、監督目線で一緒に考えてくださる」と感心しきり。「ここで学ばせていただいたことは、ほかの現場でも生かしていきます」と目を輝かせた。

 ここ最近、心に闇を抱えた役が多かったせいか、「次は明るく突き抜けた役に挑戦してみたい。でも、逆に闇をもっと深めてサイコパスも面白いかも」と屈託のない笑顔で語る白鳥。今年15歳の彼にとって、未来は“希望”に満ちている。(取材・文:坂田正樹)

映画『ぜんぶ、ボクのせい』は全国順次公開中

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