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伊丹十三監督に世界が再注目!サンセバスチャンほか国際映画祭で上映相次ぐ

映画『タンポポ』のポスター
映画『タンポポ』のポスター - (C)ITAMI Production

 伊丹十三監督の代表作『タンポポ』(1985)の4Kデジタルリマスター版が、現地時間9月16日~24日にスペイン・バスク地方で開催される第70回サンセバスチャン国際映画祭のクラシック部門で世界初上映される。続いて台湾・台北金馬映画祭(現地時間11月2日~20日)には同じく4Kでよみがえった10作品の回顧上映も決定。伊丹監督が旅立ってから25年。日本のみならず世界が混とんとしている中、映画で社会を斬った鬼才監督が再注目されそうだ。

 伊丹作品の4Kデジタルリマスター化は、日本映画専門チャンネルが伊丹プロダクションの全面協力を得て行われたもの。その中でも、夫を亡くした売れないラーメン店の店主(宮本信子)が長距離トラック運転手(山崎努渡辺謙ら)の協力で店を立て直す『タンポポ』は1987年に米国で上映されるや大反響を呼び、ラーメンブームを巻き起こすきっかけになったと言われている。

渡辺謙、山崎努、宮本信子
若き日の渡辺謙(写真左)が出演しているのも海外で注目されたポイント。映画『タンポポ』のワンシーン。(C)ITAMI Production

 また同作品にはハリウッドスターとなった渡辺謙と役所広司も出演していることから、若き時代の彼らを鑑賞できるとしてお宝度がアップ。2016年にはアメリカで、30年ぶりのリバイバル上映も行われ、現地を訪れた宮本信子を多くのファンが迎えた。

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 今回、『タンポポ』4Kデジタルリマスター版のお披露目の場にサンセバスチャン国際映画祭が選ばれたのは、同地が美食の街で知られ、映画祭でも料理部門があるほど食への関心が高いことから、“伝説のラーメン映画を市民に見せたい”というスタッフの思いが結実した結果だろう。ちなみに映画祭ディレクターのホセ=ルイス・レボルディノスもラーメン好きで知られ、来日時には名店「中華蕎麦とみ田」(千葉県松戸市)まで足を運んでいる。

伊丹十三
台北金馬映画祭で行われる回顧上映・伊丹十三のメインビジュアル。(画像提供:Taipei Golden Horse Film Festival)

 一方、今年で42回を迎える台北金馬映画祭は伊丹十三回顧上映と銘打って特集を組む。『タンポポ』を除く、『スーパーの女』(1996)、『マルサの女』(1987)などほかの9作品の4Kデジタルリマスター版は同映画祭が世界初上映となる。同映画祭では長い間、伊丹特集を企画していたが作品を集めるのが困難だったそうで、デジタルリマスターされたことでようやく実現にこぎつけたという。

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 伊丹作品の魅力についてジャパンタイムズなどで執筆している日本在住の映画評論家マーク・シリングは「日本的な題材を扱いながら、ハリウッドの影響を受けたであろう(発端・中盤・結末の構成からなる)三幕式の脚本と独特のユーモアはわたしたちも理解しやすい。中でも『タンポポ』は、ヒーローがピンチに陥った女性を助けて恋に落ちるという西部劇そのものでハワード・ホークスの『リオ・ブラボー』のよう」と語っている。

 なお伊丹十三10作品の4Kデジタルリマスター版は、2023年1月より日本映画専門チャンネル、日本映画+時代劇4Kで独占放送される。(取材・文:中山治美)

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