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「六本木クラス」韓国版から変えた3つのこと 看板メニュー、なぜから揚げに?

「六本木クラス」9話よりさとうほなみ演じるりく
「六本木クラス」9話よりさとうほなみ演じるりく - (C)Kwang jin /tv asahi

 韓国ドラマ「梨泰院クラス」を竹内涼真主演でリメイクするテレビ朝日系木曜ドラマ「六本木クラス」(毎週木曜夜9時~)。視聴率のV字回復も話題で、第8話の世帯視聴率10.0%(関東地区。ビデオリサーチ調べ)は、先週(8月22日~28日)の民放連続ドラマで1位となった。注目されているのが舞台を韓国から日本に置き換えるうえで生じるアレンジ。本作の企画を立ち上げた西山隆一プロデューサーは、主に3つあるという。

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 パク・ソジュン主演による韓国ドラマ「梨泰院クラス」(2020・Netflix)と、舞台を日本に置き換えたチョ・グァンジンのウェブ漫画「六本木クラス~信念を貫いた一発逆転物語~」を原作にした本作。東京・六本木で居酒屋を営む主人公・宮部新(竹内)が、自身の人生を狂わせた巨大外食産業「長屋ホールディングス」の会長・長屋茂(香川照之)と、その息子・龍河(早乙女太一)に復讐を誓い、亡き父に教えられた信念を胸に巨大権力に立ち向かっていく。

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 「梨泰院クラス」を観た西山Pは、とりわけ原作者チョ・グァンジンが紡ぐセリフに魅了されたという。「初めにチョ・グァンジンさんとリモート会議をしたときに、『梨泰院クラス』のテーマは『信念』だとおっしゃっていました。そして弱者が強者に勝つところだと。それはセリフにも表れていると思うんですけど、例えば、3話で商売を続けるなら一回ぐらい頭を下げてもいいんじゃないかと言う葵(平手友梨奈)に対する、新の『その一回があと一回、もう一回、最後の一回って、そうやって人は変わっていくんだよ』のセリフ。ほかにも、8話で松下刑事(緒形直人)の娘を、稲森いずみさん演じる専務が慰める場面。『人は過ちを犯す。でも勇気がある人しか責任を取れない』と。ちょっとした場面にもそういう刺さるセリフがすっとあるのがこのドラマの魅力だなと」

 そのためリメイクの権利を獲得した段階から、原作のセリフやストーリーはリスペクトすべきとスタッフ間に共通認識があった。しかし一方で、舞台を韓国から日本に移すにあたって変更した3つの点があったという。

 「まずは法律。例えば、ひき逃げ事件を起こした龍河の時効の年数や、新が少年刑務所に入ってからの年数。法廷で新が『被告人を懲役2年以上3年以下に処す』と判決を下されるシーンも、法律の専門家のアドバイスを受けたリアルな描写です。もう一つは経済面。株の売買や、新が長屋を乗っ取るときに株主総会でとる方法なども韓国と若干差があるので、日本の慣習、法律に則してローカライズしています」

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 そして3つ目が文化面で、特に意識したのはトランスジェンダーに関する描写だという。「梨泰院クラス」ではヒョニ(イ・ジュヨン)、「六本木クラス」ではさとうほなみ演じる料理人のりくが該当する。「韓国と日本では、トランスジェンダーに対する理解に差があります。韓国版ではヒョニがトランスジェンダーであることが公になった途端にバッシングされますが、日本ではありえないのではないかと。また、『六本木クラス』の4話ではオリジナルエピソードとして、りくの幼少期の記憶を描いていますが、それはトランスジェンダーの監修をお願いしている西原さつきさん(映画『ミッドナイトスワン』の監修など)の実体験をもとに作らせていただいています」

 そのほか、刑務所を出た新と初恋の相手・優香(新木優子)が再会するイベントがハロウィーンから夏祭りになっていたり、葵が帰国子女の設定になっていたりする。特に注目を浴びたのが、新の店の看板メニューがチゲから、から揚げに変更された点だ。

 「看板メニューをから揚げにしたのは紆余曲折あったのですが、初めは店の形態から悩んで議論したんです。六本木で一人の青年が店を立ち上げて流行らせようとしたときに何をやるんだろうと。実は、一番あるあるなのはラーメン屋なんじゃないか。あるいは、思い切り日本らしくお寿司屋という案もありました。いろんな議論があるなかで、新とお父さんの気持ちのやりとりを含めるとお酒を出す店の方がいいだろうという話になり、最終的に和風居酒屋になりました。店内は韓国版も意識したおしゃれな感じにしていますが、メニューとか店の方向性は和。次に看板メニューを考えたときに、チゲは日本ではさほどポピュラーではないかなと。企画立ち上げ当時(2年前)から揚げの専門店が全国的に盛り上がっていた時期だったので、庶民的だし、誰もがわかる定番メニューということで決まりました」

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 ところで、気になる視聴率(世帯)は、初回が9.6%、2話が8.6、3話が7.0。4話から8.1→9.1→9.2→9.3→10.0と5週連続で上昇している。(関東地区。ビデオリサーチ調べ)。一方、配信では初回の見逃し配信再生回数がテレビ朝日歴代最高値を記録した。「梨泰院クラス」が16話であるのに対し、「六本木クラス」は13話。ストーリーを短縮するうえで必要だったことでもあるが、ドラマのスピーディーなテンポが原因の一つではないかと西山Pは指摘する。

 「これは意識した点でもあるんですけどテンポよくスピーディーに物語が進んでいくので、リアルタイムで楽しむ方も、後でもう一度集中して観たいという傾向があるのかもしれません。もともとテレビ朝日、木曜ドラマ枠は主にシニア層の方に向けた1話完結型の作品を多く放送してきたのですが、この企画は連続軸がメイン。『梨泰院クラス』もネットフリックスで大人気の作品でしたし、テンポを大事にしながら絶対次を見逃したくない、次はどうなるんだろうという連続ドラマ本来の魅力に挑戦できたらと」

9話より亮太(中尾明慶)、葵(平手友梨奈)、新(竹内涼真)

 後半の見どころについて、「怒濤の展開」と自信を見せる西山P。「各キャラクターがまた輝き出すのがこのドラマの面白いところなんですけど、特にりくが大活躍を見せます。そして最後はとんでもない大事件が起きるので、その中で各キャラクターがどう活躍するのか。本家以上にテンポ感を意識して目が離せなくなるよう意識して作っていますので、息もつかせぬ展開になっていると思います」と期待を煽っていた。(編集部・石井百合子)

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