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「TOKYO MER」医療戦隊ヒーロー、喜多見誕生の裏側 「ある意味クレイジー」松木彩監督語る

『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』メイキングより鈴木亮平演じる喜多見チーフドクター
『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』メイキングより鈴木亮平演じる喜多見チーフドクター - (C) 2023 劇場版『TOKYO MER』製作委員会

 2021年7月期にTBS日曜劇場枠で放送された鈴木亮平主演の連続ドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」と先ごろ放送されたSPドラマに続いて、4月28日より公開中の劇場版。鈴木演じる、危険を顧みずに救助に向かう救命医療チーム「TOKYO MER」のチーフドクター、喜多見幸太の誕生の裏側について、松木彩監督が語った(※一部ネタバレあり)。

【画像】撮影風景より松木監督と鈴木亮平

 本作は、オペ室を搭載した大型車両(ERカー)で事故や災害の現場に駆け付け、“1人も死者を出さない”という使命のもと、自らの危険を顧みず患者のために戦う医療チーム「TOKYO MER」の2年後を描く物語。ドラマに続いて監督を務める松木は、「下町ロケット」「半沢直樹」「テセウスの船」など数々の日曜劇場に参加。ベテランの福澤克雄石井康晴らのもとで演出を学び、「TOKYO MER~走る緊急救命室~」で連続ドラマとして初のチーフ演出を務めた。医療知識を必要とする手術シーンのほかチームが救助に向かう事故現場のシミュレーションなど、やることが山積みだった撮影現場は「超ヘビーだった」ものの、予想を上回るドラマの反響に感激したという。

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 「このドラマは、これまでの日曜劇場とは少しテイストが違うと思っていました。脚本の黒岩勉さんが“アクションヒーローエンターテインメント”とおっしゃっていて、自分の中でも“医療戦隊”のようだなと。夏休み時期の放送だったこともあり、お子さんたちにも楽しんでもらいたい、わくわくする作品にしたいと思っていました。ただ、先輩方が重厚な世界観を築き上げてきた日曜劇場という歴史ある枠で、それが受け入れられるんだろうかと不安もあって。第一話の放送後に、幅広い年代の方から予想以上に好意的なお声を頂戴したときは、とても安心しました。放送を重ねると小さなお子さんから似顔絵が送られてきたりして。しかも宛名が“鈴木亮平さま”じゃなくて“きたみ先生へ”と役名で書かれているものが多くて、お母さんから親子で楽しんでいるという手紙が添えられていたり、それは初めての経験でした。この作品が受け入れられたことはすごくうれしかったです」

メイキングより

 子供たちも魅了する喜多見チーフドクター。海外の紛争地やへき地で医療に従事した経験から物怖じしない度胸を持ち、どんな状況でも諦めない。幼いころの体験から「待っているだけじゃ、助けられない命がある」というポリシーを持っている。しかし、危険を顧みないその姿勢は反発も生み、ドラマの初期では東京消防庁即応対処部隊部隊長の千住(要潤)やかつて研修医だった弦巻(中条あやみ)と衝突していた。脚本を手掛けたのは黒岩勉(映画『キングダム』シリーズや『ONE PIECE FILM RED』、日曜劇場「マイファミリー」など)。松木監督は、喜多見はある意味で「クレイジー」だとも言う。

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 「最初に黒岩先生が書かれた台本を読んだ時は、今までにいなかったお医者さんであり、ヒーロー像だなって思いました。熱血タイプでもなく、クールで型破りなタイプでもなく、喜多見は物腰が柔らかくてテキパキとした、理想的なスーパーヒーローである一方、ものすごく無鉄砲なことを平気でしてしまう。そんなクレイジーさと、柔らかい感じってうまく両立できるだろうかと、最初は思っていたんですけど、読み合わせで亮平さんが演じていらっしゃるのを見て“あ、喜多見がいる”と自然と思いました。すごく説得力のあるキャラクターに亮平さんが作り上げてくださったなと思っています」

 早々から鈴木が喜多見像をつかんでいたこともあり、事前にキャラクターについて細かく話すことは多くなかったという。

 「キャラクター設定において、亮平さんと意見が大きく食い違ったことはなかったように思います。喜多見が現場に向かった先では目線や手元をずっと動かし続けてほしいということ、喜多見は現場で1秒も無駄にしない人だと思うので、一つの所作でいろんなことを確認しながら冷静に判断していることを表現していきたいというのは最初に亮平さんとすり合わせました。あとは、基本的にはあまり喜怒哀楽を出さない人なんですけど、時折覗く本音や個人的な感情の出し加減についてはその都度お話していきました」

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~以下ネタバレ含みます~

松木彩監督と鈴木亮平

 患者やチームメンバーを安心させる喜多見の特徴として開発されたのが、早口ながら落ち着いた“喜多見節”だ。例えば、劇場版では横浜ランドマークタワーの火災現場に突入して、重傷を負った高齢女性の処置にあたる際、そばで取り乱していた幼い孫に「僕、お名前は?」と尋ね、少年はたちまち落ち着きを取り戻していく。そんな喜多見の穏やかな口調は、実際の医師たちの姿に近いという。

 「取材させていただいた救命救急の先生方は、実際に穏やかな口調の方ばかりでした。患者さんに威圧感を与えず、安心させる。それがベテランの方であればあるほど、常にフラットで表情を変えずに指示を出されていました。その取材に亮平さんが同行したわけではなかったのですが、同じ思いだったのか、初めの医療リハーサルからまさにそういう感じを体現してくださいました。ちなみに、ドラマも映画も喜多見のみならず登場人物全員にテンポを“2倍速でやってほしい”とお願いしました。喜多見はメンバーの中でも特に速いキャラクターなので、亮平さんは大変だったと思います」

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 劇場版では喜多見が一度は離婚した循環器外科医・千晶(仲里依紗)と再婚。出産を控えていた千晶が看護師長の夏梅(菜々緒)と共に、運悪くランドマークタワーに取り残され、喜多見は患者のみならず妻の救助にも奔走。災害の収拾にあたる東京都知事の赤塚(石田ゆり子)、東京都危機管理対策室・室長の駒場(橋本さとし)、厚生労働省の音羽(賀来賢人)、千住率いるレスキュー隊に加え、鴨居(杏)率いるエリート医療チーム「YOKOHAMA MER」が新たに登場したことにより、喜多見がいまだかつてない数の人々と言葉を交わすこととなる。

 「個人的には今回の演出の裏テーマとして“声の届け合い”を大事に描いたつもりです。今回は、MERメンバーが前例にないぐらい各所に散るのですが、ずっとイヤホンマイクを通して、声で繋がっているんですよね。MERメンバーでもジェシーさん演じる潮見は地上にとどまっていたり、タワー内部のメンバーも別のフロアにいたり、音羽もテントにいますし、YOKOHAMA MER も地上でタワーから救出された患者さんたちの救護にあたっていたり、ばらばらです。そんななかでマイクを通じた声の届け合いで、“あいつ(喜多見)が本当にまずい状況だと音羽が感じたり、鴨居も事態の深刻さに気づいたり。そういう離れている中でのチームワークや絆を大事に描きたいと思いました。そして喜多見がイヤホンマイクを失ってから彼らがどうなるのか、ぜひ見届けていただきたいです」

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 地上70階に193名の命が取り残されたランドマークタワー。「待っているだけじゃ、救えない命がある」と危険に飛び込む喜多見と、「危険を冒しては、救えない命がある」という相反する理念を持つ「YOKOHAMA MER」のチーフドクター・鴨居の対立や、鴨居らが乗る最新設備を備えた新たなERカーなども劇場版ならではの見どころ。撮影は、横浜市や周辺大型施設、横浜市消防局の協力のもと、ランドマークタワーや横浜赤レンガ倉庫など実際の建物を使用して行われた。(編集部・石井百合子)

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