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岸辺露伴、パリで初のコート&タイ姿!人物デザイン監修・柘植伊佐夫、驚きの仕掛け明かす

映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』よりコートを着用した岸辺露伴(高橋一生) と泉京香(飯豊まりえ)
映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』よりコートを着用した岸辺露伴(高橋一生) と泉京香(飯豊まりえ) - (C) 2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 大河ドラマ「どうする家康」や映画『シン・仮面ライダー』が放送・公開中の人物デザイナー、柘植伊佐夫。ドラマや映画、舞台におけるキャラクターコンセプト、衣裳、ヘアメイク、小道具を取りまとめる「人物デザイン」の第一人者として活躍する柘植が、高橋一生主演のドラマシリーズ「岸辺露伴は動かない」に続いて参加した映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が間もなく公開される。2020年から2022年の年末に3期にわたって放送されたドラマシリーズではオリジナルの衣裳が大いに話題を呼んだが、映画版ではどう変化しているのか。柘植が初の試みやこだわりについて語った。

【動画】岸辺露伴のヘアバンド、残す?残さない?インタビューの様子

 本作は、荒木飛呂彦の漫画「ジョジョの奇妙な冒険」「岸辺露伴は動かない」に登場する天才漫画家・岸辺露伴を主人公にしたドラマ「岸辺露伴は動かない」シリーズのスタッフ・キャストが再集結し、同原作者のフルカラー読切作品を実写映画化。相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた露伴が、“この世で最も黒く、邪悪な絵”の秘密と、それが引き起こした事件に迫っていく。露伴役の高橋一生、露伴の担当編集・泉京香役の飯豊まりえのほか、新たに木村文乃長尾謙杜なにわ男子)、安藤政信美波が出演する。

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パリの街並みを意識した黒コート

Q:ドラマシリーズでは原作者の荒木先生にデザインを提出され、意見を仰いだそうですが映画でも同様でしょうか。

 今回も提出しましたが即OKいただけました。ドラマの時にはヘアバンドを残す、残さないといったやりとりがあったり、原作からかなり離れてしまっていいというご意見がありましたが、それも1期だけで。以降は提出したものですぐにOKをいただけている感じです。

Q:ドラマシリーズでは露伴の衣装はモノトーンの印象ですが、映画ではもう少し黒が多い印象です。これは作品のキーとなる「黒い絵」を意識してのことでしょうか。

 それはきっとあるような気がします。あとは一つの映像フレームの中に入っている色の量や比率が作品を印象づける、ということは当然考えますから、そういう意味で黒を増やしています。それは露伴に限らず他のキャラクターも同様で、他の色彩もあまり跳ねた色を使わず、ドラマの時よりも少し落ち着いた雰囲気にしています。

Q:今回、露伴が初めてコートを着用していますが、単に季節的なことでしょうか?

 今回は主な舞台がパリですから、そこに佇んだ時にシックな感じにしたい、ということを一番強く思っていました。スタンドカラーで、生地には起毛した厚めのウール素材を使っています。ボタンは大きいもので5つ。ただこれによって偶然にもジョジョ原作の学ラン的なイメージもないとは言えないですね。

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シャツのデザインは露伴の性格を意識

柘植伊佐夫による岸辺露伴のデザイン画

Q:デザイン画の中では、シャツ&パンツ姿のパターンに書き込みが多いですよね。「シャツをINしているように見えるが実はOUT」と指示がありますが、この意図は?

 基本的にはシャツはアウトにしているのが露伴文脈なので。あとはアウトなのにインに見せかけることで露伴先生のあまのじゃくな一面を見せています。露伴の性格って、例えば何か法則があったとして、その法則に則っているように見せかけて反対側に行くようなところがある。そこでシャツをアウトしているんだけど、インしているように見せるのはどうかなと。そうするにはどうしたらいいんだろうと考えて、一番いい比率のところで切り替えた上白、下黒っていうバイカラーにしたんですね。それでもまだ足りなくて、1期だと細いサスペンダー、2期だとチェーンのような何か着崩しているようなアイテムが必要だなと。そこで細いベルトにシャツを通しました。あとタイをしていますね。

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タイをつけた露伴(右)

Q:タイは初アイテムですよね。

 そうなんです。ただ、タイってやっぱりオーソドックスなものですから、露伴を保守的に見せないようにしないといけないなとも心がけました。だからタイはしたいけど、コンサバティブなものではないタイって何だろうということから考えて、襟の構造から考え直しました。襟の中にタイを通す不思議な構造になっているので正確にはタイというかやはりベルトですけどね(笑)。

青年期の露伴は「白」にこだわり

青年期の露伴のデザイン画

Q:長尾謙杜さん演じる青年期の露伴の衣装が白なのは原作を踏襲してのことでしょうか?

 そうです。青年期の露伴に関しては、デザイン自体は難しくなかったのですが素材や色味を見つけるのに試行錯誤しました。原作の青年露伴の雰囲気、それから高橋さん演じる露伴、その両者をとり持つ必要がある。それにはどんな素材がいいんだろうと。デザインはオーソドックスなんですが、色味や素材をすごく自然な風合いにしていきました。現在の露伴が着ているシャツのようなパキッとした白ではなく、もうちょっとオフな感じですよね。

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Q:現在の露伴と青年期の露伴、なぜ白の色味が異なるんでしょう?

 青年期の露伴は、まだ蒸留され切っていないというか、一種のイズムみたいなものがまだできていない頃ですよね。いわばイノセント、素朴な良さがあったとも言えるのでそんな雰囲気を表現できたらいいなと。それに長尾さんご自身にも柔らかい白が似合うと思ったので。

青年期の露伴(長尾謙杜)

 大河ドラマ「龍馬伝」(2010)では衣装に古びた風合いを出すためにコーンスターチをふりかけたり、塚本晋也監督の映画『双生児-GEMINI-』(1999)では登場人物の眉をつぶしたり、アカデミー賞外国語映画賞(現:国際長編映画賞)受賞作『おくりびと』(2008)では遺体用のファンデーションを開発したり、常に型にはまらない発想で手腕を振るってきた柘植。パリの街並みを意識した最新作『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(5月26日公開)もまた、繰り返し観たくなる工夫が尽くされている。(取材・文:編集部 石井百合子)

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