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パルムドール候補!カンヌ前半戦、コンペ部門で評価が高いのは?

第76回カンヌ国際映画祭

映画『アナトミー・オブ・ア・フォール(英題)』
映画『アナトミー・オブ・ア・フォール(英題)』

 第76回カンヌ国際映画祭前半6日間が終了し、最高賞パルムドールをはじめとした各賞を競うコンペティション部門では全21作品のうち、11作品の上映が終了した。前半戦、コンペ部門で批評家から高い評価を得た映画を紹介したい。

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 映画祭6日目に上映され、最高賞パルムドールを推す声が一気に上がったのは『ヴィクトリア』のジュスティーヌ・トリエ監督によるフランス映画『アナトミー・オブ・ア・フォール(英題) / Anatomy of a Fall』だ。山奥で暮らす作家のサンドラと夫のサミュエル、そして視覚障害のある息子ダニエル。サミュエルが不審な転落死を遂げたことでサンドラは起訴され、ダニエルの目前で、両親の関係を“解剖”するような裁判が始まる……。

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 単なるサスペンス、法廷ものにとどまらず、夫婦の社会・家庭での役割・犠牲など、リアルな人間関係に果敢に切り込んだのがユニークな点。サンドラ役のザンドラ・ヒュラー(『ありがとう、トニ・エルドマン』)が目の覚めるような名演を披露しており、彼女を最優秀女優賞に推す声も多い。

『ザ・ゾーン・オブ・インタレスト(原題)』
映画『ザ・ゾーン・オブ・インタレスト(原題)』

 『アナトミー・オブ・ア・フォール(英題)』の登場前に話題を集めていたのは、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』のイギリス人監督ジョナサン・グレイザーによる『ザ・ゾーン・オブ・インタレスト(原題) / The Zone of Interest』(アメリカ、イギリス、ポーランド合作)。描かれるのは、アウシュヴィッツ強制収容所のすぐ隣のすてきな家で暮らすナチ一家の満ち足りた日々。観客にアウシュヴィッツについての知識があることを前提とした作品で、淡々としていてきれいなのに、内側から吐き気がするほどのグロテスクさがにじみ出ているという衝撃的な意欲作だ。不穏な音楽と差し込まれるイメージも鮮烈。ザンドラ・ヒュラーはこちらにも出演しており、ナチ将校の妻役を務めている。今年のカンヌは彼女の年と言っても過言ではないかもしれない。

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『アバウト・ドライ・グラスイズ(英題)』
映画『アバウト・ドライ・グラスイズ(英題)』

 アメリカ人監督トッド・ヘインズ(『キャロル』)とトルコ人監督ヌリ・ビルゲ・ジェイラン(『雪の轍』でパルムドール受賞)というカンヌ常連の二人の監督の新作も好評だった。ヘインズ監督の『メイ・ディセンバー(原題) / May December』は、スキャンダラスな“年の差婚”をした主婦(ジュリアン・ムーア)と彼女を題材にした映画の主演に決った女優(ナタリー・ポートマン)の対峙をメロドラマチックに描いたもの。『アバウト・ドライ・グラスイズ(英題) / About Dry Grasses』が追うのは、大都市で働きたいのにシステム上、周りには雪しかない小さな村へ派遣され、もう二度とこのみじめな日々から抜け出せないのではと志を失いつつある若き教師の姿だ。

 是枝裕和監督の『怪物』はいつだって難しいトップバッターでの上映で、各誌が発行する「星取表(批評家陣による各作品の評価を一覧にしたもの)」では激賞する声こそ聞かれないものの、手堅い評価は得ている印象。22日時点で大手映画批評サイト「ロッテントマト」での批評家支持率は100%となっており、「複雑な物語構造を採用した是枝監督の新境地」(The Wrap)、「時計のように正確で、並外れた巨匠の技と完成度の映画」(El Mundo)、「是枝監督のヒューマニストとしての本能が全編にわたって働いている」(Variety)などと評されている。

 受賞結果は映画祭最終日の現地時間27日に発表される。(編集部・市川遥)

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