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実写「岸辺露伴」ネタバレトーク!渡辺一貴監督&脚本・小林靖子がドラマから映画まで裏側明かす

渡辺一貴監督と脚本家の小林靖子
渡辺一貴監督と脚本家の小林靖子

 荒木飛呂彦の漫画「ジョジョの奇妙な冒険」とスピンオフ「岸辺露伴は動かない」に登場する漫画家・岸辺露伴を主人公にした読切作品を実写映画化した『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(公開中)の上映後ティーチインイベントが8日にTOHOシネマズ池袋で行われ、渡辺一貴監督と脚本の小林靖子が登壇。原作ファンの質問に答えた。(※一部ネタバレあり)

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 2020年から2022年の年末に3期にわたって放送されたドラマシリーズのスタッフ・キャストが再集結した本作。相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた特殊能力を持つ漫画家・岸辺露伴(高橋一生)が「この世で最も黒く、邪悪な絵」の謎を追ってフランス・ルーヴル美術館に赴くさまを追う。

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 会場には大勢の岸辺露伴ファンが集結し、映画上映後に渡辺監督、小林の両名がファンからの質問に答えるという流れでイベントは進められた。二人共に「これまでネタバレなしでと言われ、フラストレーションがたまっていたので、できる限りお話をしたい」と意気込んでいた。

~以下、ネタバレを含みます~

 実写「岸辺露伴」では、露伴と担当編集者・泉京香(飯豊まりえ)の丁々発止のやりとりも魅力の一つだが、そのテンポや間はどうしている? という質問には、小林が「脚本では、京香と露伴のセリフの掛け合いは掛け合いとして書いているんですが、間というのは役者さんの間であり、監督の演出ではあるので。その後はバトンを渡して、現場でつくられていきます」と回答しながら、「オークションのシーンでの露伴と京香の間は本当にちょっと笑っちゃう感じで、何とも言えないあの二人ならではの間だなと思ってすてきだなと思いました」と高橋と飯豊の名コンビぶりに魅せられた様子だった。

 さらに渡辺監督も「一生さんと飯豊さんはテンポが合うというか。すごく息ピッタリなんです。だからそこはあえて何もしなかった」と続けると、ドラマ第1話の撮影に触れ「二人は1話の時からテンポが良すぎて。すごくいいんだけど、これは最初なので少し崩しましょうかと言った記憶があります。それだけお芝居のフィーリングが合っていたんだと思います」と高橋、飯豊の相性の良さを強調。対して、若き日の露伴を演じた長尾謙杜と、謎の女性・奈々瀬役の木村文乃とのシーンでは、「セリフは最小限で。二人が見つめ合う間とか、何とも言えない、言葉を言おうかどうか迷うところはじっくり出したいと思ったので、基本的にはお二人には『たっぷり、たっぷり』と言っていました」と明かした。

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 本作の脚本の初稿は2021年の12月に完成し、そこからブラッシュアップしていく作業が行われたという。まずは渡辺監督が「一回、小林さんと芸大の修復チームに行って、露伴の部屋にある日本画の画材について取材をしたんですが、その2か月後くらいに初稿をいただいたので。その間に何かあったと思います」と呼び水を誘うと、「あれは本当に良くて」と笑った小林が「色を先生に教えてもらったんですが、豆知識を入れるとジョジョっぽくなるんです。第6部だと天気の話ですし。そうしたことをちょこっと入れると、そういうテイストになるかなと思います」と裏側の一端を披露。

 また小林の脚本は原作ではおなじみの「~じゃあないか」といった“ジョジョらしさ”炸裂の仕上がりになっているというが、「実は結構減らしているんですよ」と小林。「アニメではことごとく『じゃあないか』と、小さい『ッ』を2、3個付けているけど、さすがに実写は厳しいかなと思って。かなり減らしましたね。でも高橋さんが『あ』を強調して言ってくださるんですよね」

 小林はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」も担当しているが、アニメと実写では露伴のキャラクターを少し変えているとも。「アニメは第4部で露伴を書かせていただいたので、どうしてもその印象が強かった。だから実写にするにあたって、特にドラマの1期では(原作の)『岸辺露伴は動かない』と、アニメの第4部の露伴をうまくミックスさせた感じでいけるといいなと思っていました。年齢も違っていましたけど、アニメとはキャラクターを変えています」

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 「二人が思うジョジョらしさとは?」という質問には、「最初に実写化の話を聞いたときはできるのかなと思っていたんですが。その時からすでに監督は『ジャンケン小僧』をやりたいですと言っていて。監督の中に勝算があるのかなと思っていたんです」と答えた小林。「わたしは脚本を書くときに自分に確信が持てないタイプなので。マンガにある描写をどういうふうにしたらいいのかと考えた時に、(ジョジョに登場するスタンドと呼ばれる能力の)チープ・トリックの表現を3パターン出したんです。まずは見えない声だけがする。あとは小さい黒っぽいものを背中にベトッと貼り付ける。もう一つは人間がおぶさる。わたしは人間をおぶさるのが面白いと思ったけど、確信が持てなかったので、その3つを出したら人間でいきましょうと監督が言ってくれて。常に監督がいける、と思ったものをやってきたので、監督の中に何かあるのかもしれないですね」としみじみ。「ジョジョ」は連載当時から好きだったので、染み込んでいるものがあるのかも、と語る渡辺監督ならではの直感が反映されているようだ。

 そんなファン垂ぜんの話が続々と飛び出したこの日。会場からは当然「今年の年末も期待していいんですよね」と新作を望む声が飛び出し、その意見に賛同した観客から大きな拍手が。「それはプロデューサーに聞いてください」と笑う小林に対して、渡辺監督も「もちろんもう少しやらせていただけるなら、やりたいという気持ちはあるんですが……。まあ、もう少しお待ちください」と言葉を選びながらも意欲を見せ、観客から大きな拍手がわき起こった。(取材・文:壬生智裕)

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