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「岸辺露伴」明るい主人公でホラー描く特殊体験 監督集団「5月」関友太郎&平瀬謙太朗が撮影裏明かす

「泉京香は黙らない」より泉京香(飯豊まりえ)
「泉京香は黙らない」より泉京香(飯豊まりえ) - (C)NHK

 実写ドラマ「岸辺露伴は動かない」シリーズの新作で、飯豊まりえ演じる編集者・泉京香を主人公にした「泉京香は黙らない」(NHK総合で5月4日、夜9:30~10:30放送※NHK ONEで同時・見逃し配信)の演出を務める監督集団「5月」の関友太郎平瀬謙太朗が、シリーズ初となるオリジナルストーリーの経緯や撮影の裏側を語った。

【画像】「泉京香は黙らない」場面写真一挙!<11枚>

 本作は、漫画家・荒木飛呂彦による「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフ漫画・小説を、高橋一生主演で実写化したドラマ「岸辺露伴は動かない」(2020・2021・2022・2024)の約2年ぶりとなる新作。相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊な力を持つ漫画家・岸辺露伴(高橋一生)の担当編集である泉京香(飯豊まりえ)が、売れっ子新人漫画家・西恩ミカ (堀田真由)を巡る怪異と対峙する。原作者の荒木が脚本協力として参加し、脚本・演出を、映画『宮松と山下』(2022)などで知られる監督集団「5月」の関友太郎と平瀬謙太朗が務める。

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泉京香の強みは「変わらないこと」

京香と岸辺露伴(高橋一生)

Q:お二人はシリーズ初参加となりますが、ストーリーはどのようにして生まれたのでしょうか?

関:とにかくたくさんプロットを考えたんです。これはそのうちの一つで。今回はオリジナルストーリーとあってハードルの高さも感じていたので、僕らの得意な映像手法を生かせるストーリーにするのがいいんじゃないかと。漫画や小説ではできない、映像だからこそ表現できる“音”というのか“声”に着目して発想したのが今回のアイデアでした。この“声”を活かすストーリーの骨格に対して、荒木先生からは設定やキャラクターの動機など示唆に富むご意見やご提案をいただき、僕らなりにそれらを咀嚼して、ブラッシュアップしていきました。

Q:今回は京香が主人公なので、露伴の能力“ヘブンズドアー”なしに奇妙な世界を描くミッションだったと思うのですが、その点は難しかったでしょうか。

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平瀬:“ヘブンズドアー禁止”は、当初からプロデューサーと話すなかで出ていました

関:ヘブンズドアーのような特殊な力を使わずに京香が怪異を切り抜けなければならないところが大変でした。

平瀬:そもそも、本来、京香には「怪異現象にすら気づいてない」という特性もあって、これを生かすかどうかというのもありました。要は、いろいろな怪現象が起きていて、視聴者は気付いているけど、その中心にいるはずの京香ひとりが全然気づいていませんでした、といった着地もあるわけで。そこはプロデューサーを含め、最後まで頭を悩ませていました。

関:僕が特に興味をひかれたのは、これだけ明るくポジティブなキャラクターを主人公にしながらもストーリーとしてはホラーに近い、というバランスです。こういうケースはなかなかないと思っていて。ホラー、サスペンスなどいわゆる怖い作品は、登場人物たちが怖い顔をしているイメージが強いけど、今回はあれだけ明るいキャラクターが、この後どんな目にあっちゃうの? っていう状態が怖いなと思っていて、そこにやりがいを感じました。

Q:そもそも京香の能力は何だと思いますか。露伴にはなくて京香にあるものとは?

平瀬:京香は「変わらない」ことが強みだと思います。ホラーやスリラーでよくあるのは、元気だった人が、恐ろしい経験をした結果、最後には心が壊れてしまいました、みたいな展開です。人間ならば、当然、体験したことから影響を受けて心情が変化していくと思うのですが、京香は驚くほど影響を受けないんです。だから、最初と最後の京香の心の状態は一緒で、どんなに怖いことがあっても、最後には「ところで~」みたいな感じになる。それって精神がものすごく強いってことじゃないですか。その強さが特殊だと思います。

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関:露伴に対してで言うと鈍感なんじゃないかな。鈍感な人って見ていて面白いです。

平瀬:面白いし、何か救われる。いちいちガーンとかズーンとかなっていると。観てる僕たちまで影響を受けちゃいます。もし京香がもっと繊細に外界からの影響を受けてしまうキャラクターだったら、脚本もここまで怖いストーリーにはできませんでした。だけど、京香のおかげで、僕たちも思いっきり冒険することができたと思っています。

演出が2人いることのメリット

京香が西恩邸で目にしたものは……

Q:飯豊さんとは2023年放送のオムニバス・ドラマ「あれからどうした」(NHK)の一遍で組まれていますが、今回はどのように撮影を進めていったのでしょう。

関:僕らは自分たちで脚本を書いているので、脚本を書き終えた時点で半分、演出は終わっているような感覚なんです。なので、演出をつけたという感覚はなくて、飯豊さんと自然と話しながら作っていった感じがします。また、僕と平瀬が現場で常に喋っているから、その会話に飯豊さんも入ってきてくれるんです。お昼ご飯とかもほぼ毎回ご一緒して、そこでもいろいろとお話していました。

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平瀬:そこは僕たちのような共同監督の特殊なところかもしれません。監督が1人だと、小さな悩みをわざわざ口にしないと思うのですが。でも2人だと、自然と現場でいろいろな話を言葉にして伝え合うことになります。その結果、やりたいことや目指したいことをスタッフとも自然と共有しやすいような気がします。

関:「あれはどうしよっか?」とかね。悩みがオープンになるのはいいよね。

平瀬:そうすると、スタッフが積極的に「だったらこれどうですか?」とか提案してくださるんです。それで僕らも「なるほど!」となったり。

Q:飯豊さんのお芝居はいかがでしたか?

平瀬:台本には書いてないことで、飯豊さんがやってくれていることは多いよね。

関:今回は特に多いんじゃないかな? 京香が怪異と対峙していくので動きのあるシーンが多いんですけど、例えば走るシーンだと、ト書き上はシンプルなんです。だけど、台所をジグザグに走って逃げる場面など、飯豊さんが細かい動きも足してくれたりしてすごく上手で。こんなにできるんだと驚きましたし、「ありがとう!」って思いました。感度も高くて、ト書き以上に魅力的になった場面が多かったです。

平瀬:多分、運動神経がいいんだと思う。

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Q:ところで「岸辺露伴」シリーズといえば「極力ノーCG」のスタンスです。今回はどうだったのでしょう?

関&平瀬:基本的にあんまり使ってないです。

Q:もともとあまりCGは好きではない?

関:自分は好きじゃないです。

平瀬:僕も自発的に使いたいとは思わない。SFとか怪獣映画とか大好きなのですが、どちらかと言うと、CGをあまり使っていない作品の方が好きです。CGを使うと、極論、なんでも自由自在にできるのですが、それよりは作り方の創意工夫に興奮するタイプだと思います。『2001年宇宙の旅』だったり、クリストファー・ノーラン作品だったり、なるべくCGなしで映画的表現にチャレンジしたものの方が、作る側としても見る側としてもワクワクします。

Q:ちなみに、続編があるとしたら書いてみたい話はありますか?

平瀬:今回の企画の途中で考えたプロットのストックがいっぱいあります(笑)。

関:まずは溜めたプロットをもう一度検討したいですね。もちろん、選ばれなかった理由がそれぞれにあると思うので、そのままというわけにはいきませんが種はたくさんある状態です。

平瀬:その種の中にやりたいものがあって、関も気に入っているものがあるし、いつか陽の目を浴びてほしいですね。

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興味があるのはストーリーではなくストーリーテリング

Q:ドラマ「災」(2025)は劇場版が制作・公開されるなど快進撃が続きますが、お二人の物づくりの原動力は?

関:僕は、学生時代に観たガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』(2003)ぐらいの衝撃的な見せ方をする映画を作りたい、というのがあります。初めて観た時は、「こんな物語の見せ方があるんだ!」と、そのストーリーの伝え方にとにかく衝撃を受けて。見たことのない順番でストーリーが展開されたり、事実が明らかになったり。「災」の劇場版は、まさにそうしたところがモチベーションになっていました。

平瀬:僕もモチベーションは関と同じです。僕がはっきり意識したのは『パルプ・フィクション』(1994・クエンティン・タランティーノ監督)とか『メメント』(2000・クリストファー・ノーラン監督)。映画ってなんて自由なんだろうと。それまで観ていた映画は、物語を頭から最後まで丁寧に正しい順番で見せるもの。でも、そうじゃなくても良いんだ!むしろ、そうじゃない方が面白いじゃないか!みたいな原体験が、自分の創作活動の真ん中にはある気がします。新しい見せ方、伝わり方みたいなことに興味があるのかもしれません。ストーリー自体には興味がなく、ストーリーテリングの方に興味があるというか。

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 二人は、映画・ドラマの他にも、平井堅のライブ「Ken's Bar Special !! 2025-2026」の演出を務めるなど活動は多岐に渡る。また、チームとしてのみならず平瀬は映画『百花』、『8番出口』の脚本を手掛け、関は燃え殻のエッセイをドラマ化する「この味もまたいつか恋しくなる」(2026年秋以降、NHK BS・BSP4Kで放送)の演出を務めるなど、それぞれ活躍。“才能の塊”として注目を浴びる二人がオリジナルストーリーを紡いだ「泉京香は黙らない」は、かなりの衝撃をもたらすはずだ。(取材・文:編集部 石井百合子)

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