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吉沢亮『キングダム』紫夏編は「仮面ライダー」時代からの経験をフル稼働

吉沢亮
吉沢亮 - 写真:杉映貴子

 過去2作とも興行収入50億円を超える大ヒットを記録している人気シリーズの新作『キングダム 運命の炎』が公開された。本作で秦国の若き王・エイ政を演じているのが、俳優の吉沢亮だ(※エイ政のエイは、上に亡、中に口、下左から月、女、迅のつくりが正式表記)。物語の前半では、原作ファンの間でも「泣ける」と人気の、エイ政が隣国・趙から命からがら逃げるエピソード「紫夏編」が描かれる。吉沢がパート1の撮影時から「どうしてもやりたかった」という紫夏編の撮影の裏側を語った。

【写真】吉沢亮の圧倒的な美!撮りおろし<7枚>

グリーンバック撮影は『仮面ライダー』時代から免疫あり

 累計発行部数9,900万部(2023年7月時点)を記録する原泰久の人気コミックを実写映画化する『キングダム』シリーズ。中国の春秋戦国時代に天下の大将軍になる夢を抱く戦災孤児の少年・信(しん/山崎賢人)と、中華統一を目指す若き王・エイ政の活躍を描く(※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記)。第3弾『運命の炎』で描かれる紫夏編は、幼少期に敵国・趙で虐げられてきたエイ政が父の跡を継ぐため、闇商人・紫夏()らの助けを得て秦国に脱出を図るエピソード。劇中、馬車の荷台に乗ったエイ政や紫夏が、雨のように降ってくる矢から命からがら逃げてくるシーンは、まるでクライマックスのような迫力だ。

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 吉沢は「パート1を撮っているときから、いつか『紫夏編』はやりたいと思っていたんです」と言い、エイ政として生きるなか、自身が中華統一という強い思いを抱くようになったきっかけとなった紫夏とのエピソードは、常に心の中にあったことを強調する。

 映像では、四方八方から矢が飛んでくるなか、それをよけつつ、相手を攻撃し、さらには秦国へ逃れるために、全速力で馬車を運転するというダイナミックなシーンが展開していく。しかし実際の撮影の多くはグリーンバック上で行われた。

 吉沢は「現場では『こっちから矢が飛んできているので、こう向いてください』とか『いまここで避けて』という指示のなか、フルに想像力を働かせていました」と振り返ると「とても難しい撮影だったのですが、ワンカットワンカット、本当に丁寧に想像力を膨らますことができるようなディレクションをしてくださいました」と佐藤信介監督やスタッフのチームワークの良さに感謝を述べる。

 見えざる敵や矢を脳内でイメージし、迫真の演技を見せる吉沢。グリーンバックと言えば、2021年に吉沢が主演を務めた大河ドラマ「青天を衝け」のパリ万博シーンは、最新技術を用いた撮影が話題になったが「大河ドラマもそうですが、僕はもともと『仮面ライダーフォーゼ』(2011~2012)もやらせてもらって、グリーンバックに対する免疫がついているので、そこまで苦労することなくやれたと思います」と笑顔。「馬も本物ではないので、速度を出したときにどのぐらい揺れるのか。また途中から紫夏と操縦を代わりますが、その時の馬の抵抗力はどのぐらいなんだろう、みたいなところは想像して演じていました」と説明する。

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 想像力を駆使して作り上げたシーン。実際の映像を観たとき吉沢は「想像以上でした。『こんなにすごいことになっているんだ!』と驚きがありました。それは『紫夏編』だけでなく、信たちが趙国と繰り広げる『馬陽(ばよう)の戦い』の合戦シーンもすごかった。シンプルにパート1、2も超えたと思えるスケール感でした」と山崎らの勇姿に触れていた。

王騎将軍との対峙は「いまだかつてないほど緊張」

『キングダム 運命の炎』より吉沢亮演じるエイ政 (C) 原泰久/集英社 (C) 2023映画「キングダム」製作委員会

 「紫夏編」では、エイ政が王になる前の“何者でもない時期”が描かれる。生きることに希望を持てずにいたエイ政が、紫夏たちの勇気や優しさに触れ、王として覚醒していく瞬間の表情の変化は、出演者の心も動かすほどだった。吉沢は「すごく反響が大きかったシーンですが、あまり自分のなかで『ここで変化させるんだ』という意識はなかったんです」と述べると「王になってからのエイ政をイメージするのはおかしいと思いながら、塩梅は探っていました。紫夏との出会いで何か心に火がつく雰囲気は見せたいけれど、やりすぎるとしらけてしまう」と匙加減は意識したという。

 劇的な変化をわざとらしくなく--。そこで吉沢の助けになったのが紫夏を演じる杏の芝居だった。「エイ政にとって紫夏は母親みたいな存在というか、母性の塊。最初に9歳のエイ政を『自分で演じたい』と話したとき、紫夏との距離感が変になったら嫌だなと思ったんです。でも杏さんの紫夏が本当に素晴らしくて、すべてを包み込んでくれるような柔らかい雰囲気を持っていたので、安心して臨めました。そんな大切な存在がいたからこそ、自然とエイ政のスイッチが入ることができたと思います」

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 紫夏との熱いシーンと共に印象に残っているというのが、大沢たかお演じる王騎将軍にエイ政が「中華統一」の意志を問われる場面だ。エイ政は王騎将軍に紫夏とのエピソードを話すが「だだっぴろい部屋のなかで、信は隠れていますが、大沢さんと二人きりで向き合って芝居をするというのは、いままで感じたことのない緊張感がありました」と振り返る。

 その理由について「王として、しっかりと王騎将軍を納得させなければいけない。その説得力が求められる。大沢さんが放つオーラに負けないように、のまれないように、ということを意識すると、どうしても緊張してしまうんです」と苦笑い。しかし一方で、「実際のエイ政も大将軍である王騎将軍には緊張していたと思うんです。そこには自分の緊張が生きたのかな」と、吉沢と大沢、エイ政と王騎将軍の関係がうまくリンクしたシーンであるとも。

山崎賢人は「僕には背負えないものを背負える男」

写真:杉映貴子

 その年を代表する映画として大きな注目を浴びるシリーズとなった『キングダム』。吉沢は「自分にとってもこれだけ規模の大きなシリーズを何作も続けられるのは、とても稀」と位置づけると「僕のことを多くの人に知っていただけるきっかけになった映画。原作ももともと大好きで、松橋真三プロデューサーにも長くお世話になっている。とても素敵な出会いがたくさんある作品です」としみじみ語る。

 なかでもパート1では信と漂という同志として、その後は王と配下の武将としてコンビを組む山崎とは「特別な関係」と信頼の厚さを強調する。「賢人は、作品はもちろんプライベートでも定期的に連絡を取っている数少ない存在」だと言い、「シンプルに尊敬できる人物」と評する。

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 さらに吉沢は「『キングダム』ほど規模の大きな作品で主演を務める役者って、同世代では賢人ぐらいしかいない。ずっと大きな荷物を背負っていてほしい」とエールを送ると「もちろん僕が支えられる部分は支えますが、僕には背負えないものを背負える男。そういう人間が近くにいるのは、とてもありがたい」と惜しみない賛辞を送る。

 吉沢自身も大河ドラマや映画・ドラマで主役を務めるなど、大きなものを背負っているように感じるが「僕は重いものを背負っているとき“重い”って顔をしちゃうんです。彼はそういう顔をしないのがすごい」と笑う。

 互いに認め合う信とエイ政が物語をけん引する本シリーズ。吉沢は「超大作と言えるだけの圧倒的なスケール感が魅力ですが、そのなかにある人間模様がすごくいい。2時間を超える作品ですが、緊張感が途切れることなく観られる。本当に期待していただいて大丈夫です」と自信を見せていた。(取材・文:磯部正和)

ヘアメイク 木内真奈美(OTIE)/スタイリスト 荒木大輔

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