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田中麗奈『がんばっていきまっしょい』から上映してくれて…念願の湯布院映画祭参加に感激

『福田村事件』上映館が「増えてくれることを願っています」田中麗奈
『福田村事件』上映館が「増えてくれることを願っています」田中麗奈

 女優の田中麗奈が27日、大分県由布市で開催された第48回湯布院映画祭で行われた、映画『福田村事件』特別試写に井浦新柄本明、脚本の佐伯俊道井上淳一荒井晴彦小林三四郎プロデューサーとともに来場し、念願かなっての本映画祭への初参加に、感激の表情を見せた。

『福田村事件』予告編

 『A』シリーズなどのドキュメンタリー映画で知られる森達也監督が、初の“劇映画”に挑んだ本作は、関東大震災後に飛び交った流言飛語に惑わされ、千葉県福田村で9人の行商団員が殺害された実際の悲劇に至る過程を描く。日本統治下の朝鮮から福田村に戻った元教師の澤田智一を井浦が、その妻の澤田静子を田中が演じている。

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 上映前に登壇した田中は「湯布院映画祭、やっと参加できました!」と切り出すと、「映画祭では(1998年の主演)デビューの『がんばっていきまっしょい』からずっと上映していただいていて、何度もオファーをいただいていたのですが、なかなか(ゲスト参加が)かなわず。25年くらいかかって、今回やっと参加することができました! 本当にずっと来たかったのでうれしかったです」と笑顔を見せた。

 映画の上映後にはゲスト・観客を交えたシンポジウムを実施。脚本・プロデューサーを兼任した井上によると、本作のコンセプトは「殺す側(がわ)も殺される側(がわ)も、良き父であり、良き母であり、良き妻であり、良き夫であり、良き息子であり、良き娘であった。それが関東大震災が起こって、殺す側(がわ)と殺される側(がわ)になった」とのことで、日本の歴史の暗部に正面から向き合った内容に衝撃を受けた観客が続出。それぞれの観客が「日本でこんな映画が作られるなんて」「若い人にも観てもらいたい」「恥ずかしながらこの事件のことは知らなかった」など、興奮気味に感想を述べていた。

 そんな中、ひとりの観客からキャストに「撮影を振り返って、演じきれなかったと思うことは?」といった質問が。それに対して井浦が「もし、この作品を2023年に撮っていたら違うものにはなっていたと思うんですが、その時にいただいた台本を演じきれたかというと、満足できない人はいっぱいいると思います……」と語ると、その言葉にかぶせるように柄本が「満足したことなんてないよ!」とたたみかけて、会場は大笑い。

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 井浦はその言葉に「そうですよね」とうなずきながら「俳優部もみんな『やったー!』というのはないと思うんです。でもその瞬間は一個一個、悔しい思いをしながらも、やりきってるので、やれなかった……ということはないんですよね。『今のシーンは、あれをやっておけば良かった』というような俳優は、森組にはいなかったんじゃないかなと思います」としみじみ。すかさず柄本が「(いなかったかどうかは)そりゃ、わからないよ」と茶々を入れ、会場を盛り上げた。

井浦新

 一方の田中は「いつも『もっとやれるんじゃないか』『もっとやれたんじゃないか』『もう少し頑張れるんじゃないか』と思いながら20何年きているというか」と切り出すと、「その時の自分は、しっかりと向き合っていたと思うんです。でも、1年くらい経ってみてみると、『こういうことが考え方として足りなかったのかもしれない』とか、(映画を)客観視して『監督がこういう視点から見てくれていたのなら自分はこう対応できたんじゃないか』とか。いつも俳優としてもうちょっと、もうちょっとと思いながら。それが今まで続けられている理由というのもあります。そうやって自分自身に“もっと”と思うことは、ずるいことかもしれませんけど、そう思いながら今まできています」とコメントした。

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 挑戦的な題材ということもあり、小林プロデューサーは「お金を集めるのは本当に大変だったんですよ」と告白。井上プロデューサーも「本当に予算が少なかった。だから(井浦)新さんもそうだし、(田中)麗奈さんも全員、付き人もマネジャーもつけずに現場に来てもらった。(田中)麗奈さんに聞いたら、そういうのは『がんばっていきまっしょい』以来なんですって。本当にご迷惑をおかけしました」と感謝するひと幕もあった。

 最後に田中が「念願かなって、やっと参加することができました。(観客の)お一人お一人が個性的で、とにかく映画が好きで、聞きたいこと、言いたいことを何でも、まっすぐぶつかっていくエネルギーが面白かったです」と映画祭を振り返ると、「大分では3館で上映してくださるそうで、それほどバジェット(制作費)が大きな映画ではないんですけども、この映画をかけてくださる熱量というか、環境がすばらしいなと思います」と感謝。さらに「わたしは福岡県の久留米市出身なんですけど、久留米市では上映されないんです。どうしても大きい映画が優先となってしまうので、悔しいところなんですけども。だから地方でもこういう映画をかけてくださる映画館が増えてくれることを願っています」と会場に呼びかけた。(取材・文:壬生智裕)

映画『福田村事件』は9月1日より全国公開

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