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“黒人らしさ”が足りないと評された小説家、やけくそで書いた“典型的な黒人小説”が爆売れ…評判の風刺劇

第48回トロント国際映画祭

最高に面白い! - 映画『アメリカン・フィクション(原題)』より
最高に面白い! - 映画『アメリカン・フィクション(原題)』より - Courtesy of TIFF

 映画『007』シリーズのフィリックス・ライター役などで知られるジェフリー・ライトが主演を務めた映画『アメリカン・フィクション(原題) / American Fiction』のワールドプレミアが、第48回トロント国際映画祭で行われた。ドラマ「メディア王 ~華麗なる一族~」「ウォッチメン」などに脚本家として携わってきたコード・ジェファーソンの監督デビュー作は現代カルチャーの風潮を痛烈に皮肉った風刺劇で、トロントでかなりの高評価を得ている。

【画像】『007』シリーズではフィリックス役を務めたジェフリー・ライト

 パーシヴァル・エヴェレットの小説「イレイジャー(原題) / Erasure」を基にした本作の主人公は、尊敬される小説家にして英文学の教授ながら、著作に“黒人らしさ”が足りないと評されているモンク(ジェフリー)。ステレオタイプ的な“黒人のみじめな人生”を求める世間に迎合した小説が売れていることに気付いていた彼は、病気の母の高額な介護費が必要なため、むしゃくしゃしたまま思い付く限りの“黒人要素”を詰め込んだ小説をペンネームで書き上げる。皮肉でやったことでもあったものの、その小説は破格の値段で即売れ。その年を代表するベストセラーになり、ハリウッド映画化まで決まってしまう。

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 モンクがそうしてステレオタイプ的に書いた小説が、「リアル」「真に迫った」「生の声」として出版社、批評家、ハリウッド関係者に大絶賛される滑稽さに公式上映では笑いが絶えず、観客からは本作を今年のトロントの一番に推す声も多く聞かれた。“これまで無視されてきた存在を取り上げ、彼らの声を聴くべき”という風潮の中、本当の声は依然として無視されていることの愚かしさ、世間に迎合せずにアーティストでいることの困難さも同時に描かれている。(編集部・市川遥)

第48回トロント国際映画祭は現地時間9月17日まで開催

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