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『ガンダムSEED FREEDOM』デスティニーインパルス登場案が存在した!CGスタッフが明かす裏話

仲寿和プロデューサーと3DCG制作デスクの藤田進夢
仲寿和プロデューサーと3DCG制作デスクの藤田進夢 - (C) 創通・サンライズ

 ガンダム映画シリーズ歴代ナンバー1の興行収入を記録している映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の大ヒット御礼スタッフトークが2日、新宿ピカデリーで行われ、プロデューサーの仲寿和と3DCG制作デスクの藤田進夢が出席。CG制作の裏側を明かしたほか、本作に登場予定だった幻のモビルスーツ(MS)について語るひと幕もあった。(以下、映画のネタバレを含みます)

【画像】新たなフリーダム降臨!『ガンダムSEED FREEDOM』新カット

 公開から約2か月(66日間)で興収42億2,000万円、観客動員数250万9,000人を突破した映画の大ヒットを記念して、本作のスタッフが登壇する「スタッフトーク」を2回にわけて実施。1回目となる今回は「CG制作について」と題して、会場でしか観られない秘蔵映像を交えながら、制作の裏側を説明する密度の濃いトークが展開された。

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 藤田が出席することになった理由について、仲プロデューサーは「アニメをつくる行程で、藤田くんがいちばん3Dモデルのチェックに立ち会い、アニメーションのチェックに立ち会っている人。そこで(メカニカルアニメーションディレクターの)重田智さんや福田(己津央)監督が何を言っていたのか、そこでしか出てこない言葉を一番浴びている人だから」と語る。

 また藤田は、MSデザインの過程について以下のように説明した。「もともと大河原(邦男)さんの設定画があるんですが、ただ『SEED』というのはテレビアニメがもともとあり、あのときは重田さんや作画さんのリファインによってケレン味やリファイン、プロポーションなどもけっこう変わっていたんです。そこで、重田さんならこう描くかなというところを踏まえて初回モデルをつくってから、重田さんにチェックしてもらい、そこでとても緻密なチェックマークが返ってくる。そしてそれを頑張って再現しようというところで、3Dモデルを完成させました」

(C) 創通・サンライズ

 通常のスタンダードなアニメーション制作の場合、設定画に合わせて3Dモデルをつくっていくそうで、近年では『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』や『機動戦士ガンダムUC』などがそうしたスタイルだったというが、今回は数が多いということや、昔の自由だった時代のつくり方を踏襲するなどの諸事情を加味し、映像の印象をCGスタッフにフィードバックしてから、CGモデル制作を行った。

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 『ガンダムSEED FREEDOM』に登場するMSは49機。それぞれの機体に対して、全体のプロポーション、およびアップのディテールなどを織り込むことから、49×2でおよそ100近いモデルを作成したという。さらに、そこから戦闘で腕などが壊れたバージョンのMSなども、別パターンとして追加で作成した。

 だが、もともとCGスタッフが3Dモデルをつくるのは前半部分(アークエンジェルが沈むまで)だけの予定だったという。「ぶっちゃけたことを言うと、最初はCGって作画よりも印象が悪かったんですよ。でもカットとかモデルをつくっていくうちに、『CGさんけっこうできるじゃん。こういうこともやってくれるんだ』と思ってもらえるようになって、信頼度も上がってきました。おかげで、後半もCGやってもらいたいということになった」と藤田が語る通り、後半では、前半よりもさらに多くのMSのCGを担当することになったという。

 続いて、劇中に登場する戦艦アークエンジェルについても解説。「つくり方としては戦艦も一緒ですが、コアなファンの方ならお気づきだと思いますが、各戦艦、テレビの時よりもディテールは上がっているんですよ。実は最初ビックリしたんですけど、アークエンジェルってテレビシリーズでもCGを使っていたんですね。だから劇場版ではこのCGモデルをブラッシュアップしていけばいいやと思っていたんですが、監督から『イチからつくってくれるよね』と言われて。ゼロからつくりました」と藤田は笑う。

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(C) 創通・サンライズ

 テレビシリーズと劇場版とのCGモデルの進化の度合いについては、「超サイヤ人と、超サイヤ人ブルーくらいの違い」とぶちまけて会場を沸かせた藤田だが、「それだけ初期値がすごいんですよ。当時から水しぶきもCGでやっていたし、あの時代にあれだけのCGをやっていたのはすごいことだなと思いました」と改めてそのすごさを実感していた。

 今回の制作にあたり、アニメーターとCGスタッフが共同作業できたことはとても大きかったといい、爆発シーンなどをはじめ多くのことを学んだという。「うちは若いスタッフが多くて。平均25歳前後ですから、ベテランのアニメーターさんの教えは知識になりますし、参考にもなります」(藤田)

 この日は、本編に登場予定だった幻のMSについても明かされた。「本当はグフ(グフイグナイテッド)も登場するはずだったんです。モデルも途中までつくっていたんですけど、途中でグフは登場しないと言われたので……」という藤田の言葉にざわつく会場内。さらにデスティニーインパルスガンダムについても言及され、「もともと登場する予定でした。自分としてもついに出るのか! と思っていたんですけど、やはり監督からデスティニーとかぶるから出さないと言われて。だったらインパルスでいろんな武器を使って戦ってた方が差が出るよねということで。それで普通のインパルスを改良したものが登場したという感じですね」と補足した。

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 「本当はM1(アストレイ)もつくる予定でしたが、今回は本土防衛の描写がなかったので。アストレイは出さないからと言われて。それでつくらないんですねということになったんですけど、出てくることになっちゃって。そこだけは作画さんよろしくお願いしますということで、描いてもらいました」(藤田)

 最後に藤田が「これは来週のちょっとしたネタバレになっちゃいますが、最初にフリーダムが変形するカット。あれはもともと、もうちょっとスピード感があるものだったんですよ。でも監督から1幕はリアルな感じで、『トップガン』のような重めの感じにしてほしいということで、全修正して今のテイクになったんです」とコメント。「来週はそういったボツになったアニメーションも動画で観られますので、よろしくお願いします!」と次週の告知をして会場の期待をあおった。(取材・文:壬生智裕)

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』は全国公開中

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