『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』白髪の老人は何者?特報で気になる3つのポイント【解説&考察】
超能力を持つ4人組の活躍を描くマーベル・スタジオ劇場公開最新作『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』の特報が4日、全世界で公開された。わずか1分30分の特報であるが、これまでのマーベル映画同様、イースターエッグや気になるアイテムが凝縮されている。映像の注目ポイントを抑えながら、その詳細を徹底紹介する。(文:平沢薫)
【動画】『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』予告編
新キャラ2人に黒板の図形…3大注目ポイント
まず注目すべきは、本作最大のヴィラン・ギャラクタス(ラルフ・アイネソン)の出現だ。特報ラスト近く、ニューヨークの自由の女神像を見下ろし、街に特徴的な頭部の影を落とすのがこのキャラクター。宇宙の法則を司るほどの強大な力を持ち、惑星を破壊してそのエネルギーを吸収する存在だ。その全身を見るのが待ち遠しい。
2つ目は、特報の1分20秒ごろに登場する白髪の老人。演じているのは、『レッド』のジョン・マルコヴィッチだ。彼の役柄は未発表だが、特報で判明した白髪の容貌と、初期コミックからの引用が多いことから、コミック「Fantastic Four #13」(1963)で初登場の古参ヴィラン・レッドゴーストという噂が流れている。レッドゴーストは、ロシアの科学者イワン・クラゴフが、ファンタスティック・フォーのような超能力を得たいと考えて宇宙線を浴び、霧に変化する超能力を持つようになった存在で、いわばダーク版ミスター・ファンタスティックだ。
3つ目のポイントは、ファンタスティック・フォーのリーダー、リード・リチャーズ/ミスター・ファンタスティック(ペドロ・パスカル)が黒板に数式を書いているシーン(特報39秒ごろ)。この時、彼の背中の向こうに描かれた図形が、2つの別の時空を結びつけるワームホールに似ており、リチャーズがコミック「Dark Reign: Fantastic Four #1」(2009)で発明した装置「ザ・ブリッジ」を連想させる。この装置は、他のマルチバースを観察したり、そこを訪れたり出来るもの。この装置が、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)全体に関係する可能性も?
初期コミックそっくりのアイテムが続々
本作の時代背景は1960年代。デザインやアイテムは、1960年代の初期コミックを意識したものが多い。まず4人のコスチュームが、初期コミックにそっくり。また、これまでの映画版では、ベン・グリム/ザ・シング(エボン・モス=バクラック)の身体が人間離れしたサイズで描かれることが多かったが、今回のサイズ感は初期コミックと同じだ。
冒頭でスー・ストーム/インビジブル・ウーマン(ヴァネッサ・カービー)が言う「バクスター・ビル」は、コミック 「Fantastic Four #3」(1962) から登場しているファンタスティック・フォーの本拠地。ベン・グリム/ザ・シングと一緒に料理をして「ハービー」と呼ばれるロボットは、英語表記「H.E.R.B.I.E.」で、Highly Engineered Robot Built for Interdimensional Explorationの頭文字。初登場は1978年のテレビアニメで、コミックデビューは「Fantastic Four Issue #209」(1979)。4人を乗せて飛ぶ宇宙船は「Fantastic Four #1」(1961)の宇宙船マーベル1にそっくりだ。
一方、デザインがアレンジされたアイテムが、4人の愛用自動車ファンタスティカー。「Fantastic Four #3」(1962)から登場しているこの空飛ぶ車は、コミックでもさまざまなデザインで登場しているが、特報ではレトロフューチャー的なデザインの明るいブルーの自動車になっている。
史実を反映させたアイテムや、スタッフのお遊びネタも?
特報のラスト、4人がコスチューム姿で登場する時のステージのデザインが、1964年にビートルズが出演した時の人気テレビ番組「エド・サリヴァン・ショー」のステージの形にそっくり。これは、4人がこの番組に出演するシーンなのかもしれない。
また、ザ・シングがショーウィンドーのテレビを見ている時、そのテレビのチャンネル部分に付けられた札に「"Kaplan's. SALE SPECIAL"」の文字が。これは本作の脚本家ジェフ・カプランの名前を使った、スタッフのお遊びかもしれない。
まだ特報なのに、4人のオリジンと超能力をサラリと描いたうえに、イースターエッグも山盛り。そもそも本作の監督は、マーベルドラマの異色作「ワンダヴィジョン」を手がけたマット・シャックマン。本編に何を盛り込んでくるのか、油断できない。気になるのは、特報で描かれなかったミスター・ファンタスティックの超能力。コミックでは全身がゴムのように伸びるが、あの能力がどんな映像になるのか。次の予告編が今から楽しみだ。
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』2025年夏劇場公開


