監督賞は『アノーラ』ショーン・ベイカー インディペンデント映画界の雄が初受賞
第97回アカデミー賞

日本時間3日、第97回アカデミー賞授賞式が米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、映画『ANORA アノーラ』のショーン・ベイカーが監督賞を初受賞した。
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この日、脚本賞受賞、編集賞受賞に続いて3度目となるステージに上がったベイカー監督は、コロナ禍で多くの劇場が閉鎖され、インディペンデント映画が苦境にあることに言及。「だからこそ声を上げたい。皆さん、映画館に足を運んでください。保護者の皆さんは、子供たちを映画館に連れて行ってあげてください。映画好きを作ることが重要です。わたしも5歳の時、母に映画館に連れて行ってもらいました。そして今日は母の誕生日なんです。この賞は母にささげます」と語って拍手喝さいを浴びた。
『ANORA アノーラ』は、大金持ちの御曹司に見初められた、ストリップダンサーが体験するシンデレラストーリーのその先を描くコメディー。ロシアの大富豪の御曹司を射止めたニューヨークのストリップダンサー・アノーラが、甘ちゃんな御曹司に振り回され、息子の結婚に反対する成金両親に離婚を迫られながらも、力強く反抗する姿を描く。
製作、監督、脚本、編集を兼任したベイカー監督は、1971年生まれの54歳。一貫してインディペンデント作品で活躍し、2015年に発表した、iPhoneのみで全編撮影した『タンジェリン』で注目を浴びると、続く『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017)が世界中で絶賛。数々の映画祭で受賞し、一躍世界が注目するクリエイターとなった。
『ANORA アノーラ』は、昨年の第77回カンヌ国際映画祭において、『エミリア・ペレス』(ジャック・オーディアール監督)、『サブスタンス』(コラリー・ファルジャ監督)など強力なライバルが並ぶなか、最高賞パルムドールを受賞。アカデミー賞では監督賞のほか、脚本賞、編集賞へのノミネートを果たした。先だって発表された第77回全米監督組合賞の長編映画部門で受賞しており、アカデミー賞でも受賞が有力視されていた。(編集部・入倉功一)


