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動物迫害の残酷な一面…『ウィキッド』の作り込まれた世界を監督が解説

映画『ウィキッド ふたりの魔女』より
映画『ウィキッド ふたりの魔女』より - (C) Universal Studios. All Rights Reserved.

 人気ブロードウェイミュージカルを映画化した『ウィキッド ふたりの魔女』のジョン・M・チュウ監督が来日時にインタビューに応じ、オズの世界のビジュアルをどのように作り上げていったのかを解説した。

【画像】超仲良しな来日時のアリアナ・グランデ&シンシア・エリヴォ

 意外にも舞台版からはあえて離れ、「僕たちならではのオズの世界」を作ろうとしたというチュウ監督。「ライマン・フランク・ボームの原作小説『オズの魔法使い』をはじめとする『オズ』シリーズも参考にした。クラシックなウィリアム・ウォーレス・デンスロウの挿絵をはじめ、そこにはこの世界に関するたくさんのヒントがあったから。キャラクターや動物たちはそこから選んだよ。そして僕たちは、オズを没入感のある場所にしたかった。単なる背景画ではなく、ちゃんとオズの歴史を反映したものにしたかったんだ」

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 かつてのオズでは動物と人間が共存していたが、今や動物たちは迫害の対象で、エルファバ(シンシア・エリヴォ)とグリンダ(アリアナ・グランデ)たちが通うシズ大学にはもう動物の教授はほとんど残っていない。実際に建造されたエメラルドシティ急行や実際に植えられた900万本のチューリップ畑など、徹底したこだわりが話題になっている本作の美術だが、スケールが大きいだけでなく、細部にまで意味が込められている。

 「例えば、シズ大学。人と動物によって設立されたのならば、動物や自然も彫刻など建築の一部になっているはず、という考えの下で設計された。かつて教授は全員動物だったこともセットからわかり、それは“動物たちが排斥されて人々と入れ替えられた今”との違いを示している」

 「ライマン・フランク・ボームの本を読むと、黄色いレンガ道以前のオズは、全てが水路でつながっていたことがわかる。だからシズには水路があるんだ。また、僕たちはマンチキン国の文化も作りたかった。ただ少し小さい人というだけでなく、“収穫の喜び”という彼らのコミュニティーの哲学も。チューリップの色やはちみつの収穫といったところから、彼らの文化を作り上げていった。だから、この世界のビジュアルは、すべてその土地の歴史から作り上げられているんだ。なぜなら、本作における僕たちのテーマは『エルファバはそれぞれの土地のルールを壊す必要がある』というものだから。だからすべてに固有の色や形があり、彼女がそれらを壊すことになるんだ」

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 また、光と影のコントラストも、本作において重要な役割を果たしている。チュウ監督は「普通は“ダークなものは悪で光は善いもの”だけど、本作では光の中にいる人がウソをついていて、暗闇にいる人が真実を語っている。そして、最終的にその二つがどう融合するか……。そういう人々の先入観で遊んでみよう、というのがアイデアとしてあった。まぶしい太陽の光に頼っている時は、時にクリアに見えないことがある。逆に、暗いところでは親密によく見えたりしてね」と狙いを語っていた。

 『ウィキッド ふたりの魔女』は公開中。第2部にして完結編『ウィキッド:フォー・グッド(原題) / Wicked: For Good』は今年11月21日に全米公開される(日本公開日は未発表)。(編集部・市川遥)

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