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『セブン』『羊たちの沈黙』の魔法を再び『ロングレッグス』監督が目指した幻想のシリアルキラー映画とは

散りばめられた謎の答えとは?
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 謎多き猟奇殺人犯の恐怖を描き、過去10年における独立系ホラーの全米最高興行収入ナンバーワンを記録したサイコスリラー『ロングレッグス』(公開中)の監督・脚本を手掛けたオズグッド・パーキンスが、シリアルキラー映画への思いと共に、本作に込めた思いを語った。

【ガチ心音】恐怖で主演の心拍が跳ね上がる…『ロングレッグス』メイキング映像

 舞台は1990年代半ばのオレゴン州。FBIの新人捜査官リー・ハーカー(マイカ・モンロー)は、30年間で10件発生した、ある一家惨殺事件の捜査を任される。それは、各家族の父親が妻子を殺害したのち、自ら命を絶つというもの。いずれの現場にも侵入者の痕跡はなく、“ロングレッグス”という署名付きの暗号文が残されていたのみ。ハーカーは、謎の暗号文と少ない手がかりを頼りに、事件の真相へと迫っていく。

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 連続殺人鬼と捜査官の攻防、サイコスリラーとオカルトホラーの融合による陰鬱な世界観、不気味でスタイリッシュなオープニングタイトルなど、本作には『セブン』や『羊たちの沈黙』のような、1990年代を代表する“シリアルキラー映画”の雰囲気が漂っている。

 パーキンス監督は、特にこの2本の映画からの影響を「非常に意図的なものです」と明かす。「この映画をデザインするうえで、私は1990年代初頭の美しいシリアルキラー映画に敬意を表したいと考えました。特に『羊たちの沈黙』と『セブン』は、多大な影響を受けた、私にとって最も強く印象に残っている映画です。これらの映画が公開された当時、私はまだ10代で、観た時の衝撃は計り知れないものでした」と明かす。

 「特に『セブン』は、いわゆるトゥルークライム(実録犯罪)ものではないという点も重要です。『セブン』には、実際に存在する殺人鬼は登場しません。現実の連続殺人犯は、あの映画の犯人のように、美しくアーティスティックな計画に基づいて犯行を行うことはありません。シリアルキラーの多くは孤独な変質者であり、『セブン』の犯人のように壮大な詩的世界を内包しているわけではないのです」

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『羊たちの沈黙』のクラリスを思わせる? 『ロングレッグス』の主人公リー・ハーカー(マイカ・モンロー)(C) MMXXIII C2 Motion Picture Group, LLC. All Rights Reserved.

 さらにパーキンス監督は「『セブン』の持つ、そうしたファンタジー要素は非常に重要です。確かに映画は非常にリアルに見えるし、暗く、終わり方も絶望的ですが、それでもなお、魔法のようなものを持っている。現実に基づいた世界ではなく、一種の幻想世界。リアルではない連続殺人犯映画なのです」と証言する。

 「『羊たちの沈黙』も同様で、あの映画のような犯罪は実際には起こらないと考えています。そして、それこそが私がこれらの映画を愛する理由です。実録犯罪や実際の殺人鬼を描くことに私は興味がない。(ああした犯罪は)本当にひどいもので、大嫌いでさえあります。私は、ハンニバル・レクターのようなキャラクターが持つ魔力……ガンダルフと同じくらい現実離れした存在である彼らだからこそ、惹かれるのです」

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 『ロングレッグス』にとってのジョン・ドゥに当たる存在が、ニコラス・ケイジ演じる“ロングレッグス”だ。製作を兼任したケイジは、40年以上のキャリアで初めて連続殺人鬼役に挑戦。その風貌はケイジとは一見してわからないほど異様なもの。パーキンス監督は、彼の存在も一種のファンタジーだと位置付ける。

 「ニックは私にとって、常にトップクラスの俳優です。 さらに言えば、映画史においても“伝説的な映画スター”のひとりに数えられるでしょう。その存在感は人間を超越した何かを感じさせるのと同時に、普通の人間以上の『人間らしさ』も兼ね備えている。それは、ジェームズ・ディーンやリヴァー・フェニックス、ヒース・レジャーといった名優たちにも共通するものです。彼らは、他の人よりも「もっと人間的」であると感じさせる何かを持っているんです。だから、今回ニコラス・ケイジと一緒に仕事ができたのは、ただただ幸運でした」(編集部・入倉功一)

映画『ロングレッグス』は3月14日より全国公開中

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