切ない…鳥山検校＆瀬以の修羅場！「べらぼう」で心震える演技バトル
横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」（毎週日曜NHK総合よる8時～ほかで放送中）の30日放送・第13回では座頭金の返済に苦しむ旗本や大名らの窮状が浮かび上がる中、妻・瀬以（小芝風花）の蔦重（横浜）への想いに疑心暗鬼になる鳥山検校（市原隼人）の暴走が描かれ、小芝と市原の迫真の対峙シーンが注目を浴びた（※ネタバレあり。第13回の詳細に触れています）。
第13回「お江戸揺るがす座頭金」では地本問屋の鱗形屋（片岡愛之助）が再び偽板の罪で捕まった事件を機に、座頭金を巡る問題が展開。江戸城で意次（渡辺謙）が平蔵（中村隼人）に座頭金の実情を探るよう命じる一方、鳥山検校は妻の心に蔦重の存在があることに苦しみ、ついにある行動に出る……。
鳥山から大量の本を贈られはしゃぐ瀬以。そこで鳥山の頭に浮かんだのは、かつて屋敷を訪問した蔦重に声を弾ませていた瀬以。鳥山は瀬以ににじり寄ると「そなたは吉原に戻りたいのか？」「なぜ吉原の者たちとおるように声が弾まぬ」「なぜじゃ？わしはそなたが望むことはすべて叶えておるではないか」と迫り、ただならぬ空気を感じた瀬以は怯えながらも「吉原の者と話す声が弾んで居るとすれば親兄弟に似た親しみがあるからかと」「それは旦那様をお慕いする気持ちとは別のものにございます」と必死に抗弁。しかし、鳥山は「所詮わしは客という事か…」「どこまで行こうと女郎と客…そういうことだな？」「もうよい、嘘ばかりの女郎声など聞きとうない」と声を荒げ、瀬以を軟禁してしまった。
瀬以の訴えに耳を貸さず暴走する鳥山の姿、すべてを見透かしたような気迫をたたえた市原の演技にSNSでは「怖いよ…」「ひえ…」「やきもちが過ぎるだろ」「声色に敏感だ…」「モラハラが過ぎる」「セクシー嫉妬」「嫉妬が大爆発」「こじらせすぎだよ…」「狂気が凄まじい」など震えあがる視聴者の声が続々。一方では「悲しくて寂しい」「あんなに優しかったのに…」「ひょっとして不安？」「気持ちはわからないでもないが方向が違う…」「見え過ぎているのか」「心を察しすぎるのよ…」など鳥山への同情もあがっていたが暴走はエスカレート。瀬以の所持していた書物を調べ、それらがすべて蔦重が関わっているものであることを知ると、今度は刀を手に瀬以の蔵へ向かった。
鳥山に呼び出された蔦重が屋敷に向かっているころ、蔵では修羅場が展開。鳥山は証拠とばかりに蔦重が瀬以に贈った本を差し出すと、刀に怯える瀬以に「返事次第では斬ることになるかもしれぬからなあ」「不義密通の罪じゃ」「いくら金を積まれようと心は売らぬ。そういうことであろう？」と追及をやめず、「お前は骨の髄まで女郎だなあ」という残酷な一言に、瀬以はついに秘めた思いを打ち明けた。
意を決したかのように「そう…仰せの通りでござりんす。重三はわっちにとって光でありんした」と蔦重が自身にとってかけがえのない存在であることを認めた瀬以。「あの男がおるならば吉原に売られたことも悪いことばかりではない。一つだけはとてもいいことがあった。そう思わせてくれた男にござりんした。重三を斬ろうがわっちを斬ろうが、その過去を変えることはできんせん！」と蔦重への思いを涙ながらに訴えるのと同時にそんな思いを抱える苦しみも吐露。
「けんど…わかっておるのでござりんす。ぬしさんこそ、わっちをこの世の誰より大事にしてくださる御方であることを。人の心を察しすぎるぬしさんを、わっちのいちいちが傷つけているということも。でも、人というのはどうして己の心ばかりは騙せぬのでありんしょう。ぬしさんを傷つけるだけのこの思い」「こんなものは消えてしまえとわっちとて願っておるのでありんすよ。けんど、この世にないのは四角の卵と女郎の誠。信じられぬと言うならどうぞほんにわっちの心の臓をとっていきなんし！」と瀬以は死の覚悟を持って、鳥山の刀を自身に向けた。
鳥山の深い愛をかみしめつつも蔦重への思いを拭えない自身に対する激情を廓言葉で表した小芝の熱演に「魂の演技！」「一世一代の名芝居」「風花ちゃんの演技はほんに素晴らしいでありんす」、そしてそんな思いを受け止める市原の奥行きのある名演も切ないと反響を呼び、次週へと持ち越された修羅場の行方に「待って瀬川どうなるの…」「え、ここで終わるの…」と悲鳴が上がった。また、瀬以と鳥山の対照的なライティングも注目を浴びた。（石川友里恵）
