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石坂浩二、10度目大河で大反響の眉毛秘話明かす 「記念に持ち帰ろうと思っています」

石坂浩二演じる“白眉毛”こと老中首座・松平武元
石坂浩二演じる“白眉毛”こと老中首座・松平武元 - (C)NHK

 横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)で徳川幕府の老中首座・松平武元を演じた石坂浩二。大河ドラマへの出演は、「江~姫たちの戦国」(2011)以来、14年ぶり10度目。「天と地と」(1969※上杉謙信役)、「元禄太平記」(1975※柳沢吉保役)、「草燃える」(1979※源頼朝役)の3作で主演を務めた大ベテランだが、本作で演じた松平武元と言えば特徴的な眉毛が話題に。その裏側や、自身にとっての大河ドラマへの思いを語った。

【画像】吉良パロディーか?白眉毛&意次、嫌味の応酬

 大河ドラマ第64作となる本作は貸本屋から身を興し、喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴、東洲斎写楽らを世に送り出し、江戸のメディア王として時代の寵児となった蔦屋重三郎(横浜)を主人公にしたストーリー。脚本を大河ドラマ「おんな城主 直虎」、ドラマ10「大奥」(NHK)シリーズなどの森下佳子が務める。松平武元は、徳川吉宗、家重、家治(眞島秀和)の将軍三代に仕え、家治からは「西の丸の爺」と呼ばれ信頼された老中首座。劇中では渡辺謙演じる老中の田沼意次と対立するさまが描かれたが、13日放送・第15回では跡継ぎの徳川家基(奥智哉)の変死事件を巡って共闘関係へと転じた。

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 本作へのオファー時の心境を「去年の頭ぐらいでしたかね。蔦重が主役という話を聞いて、面白いなと思っていたら幕府の方だったと。わたし、ちょっと絵が描けるのでがっかりしたところもあるんですね(笑)」と率直な思いを明かす石坂。しかし「ありがたかったのは、武元がこれまであまり作品で取り上げられていないのでやりがいがあるなと」と思い直し、「わたしもよく存じ上げなかったので早速調べたんですけど、なかなかわかりにくくて。いろんな方からお話を伺ったり資料を読んだりしたところ、戦がなくなって町人の力が出てきて時代が移り変わろうとしていたときにこの先も徳川を続けていこうとした最後の人。いわば保守派の親分ということなのかなと思いました」とアプローチを進めていったという。

 武元が登場するなり、SNSを沸かせたのが長い眉毛。劇中、意次と武元がことあるごとに衝突するなかで意次が苦々しそうな表情で「白眉毛め!」と吐くのが印象的だ。

 「台本を読んだら武元が“白眉毛め”とかって言われている(笑)。だったら、言われるぐらいのものをつけないといけないんじゃないですかねという話になって。チーフ演出の大原(拓)さんと相談して“大胆にやった方がいいです”ということだったので、かつら担当の方にお願いして作っていただいたんです。それで扮装合わせの段階で眉毛をつけたら前が見えないんですよ(笑)。視界も狭くなってしまったので少しずつ眉毛を切って、片方は長く、片方は短めにとかバランスをとりながら完成したのが現在の形です」

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 そして試行錯誤の上、完成した長い眉毛。しかし、いざ撮影現場でモニターを見てみると「これはちょっと大げさなんじゃないか……」と自身も首をひねったと振り返る。

 「最初は眉毛のあたりが痒くてかこうとしたときに“そうだ、長いんだった……”と思ったりしましたけど、周りは“良い”というのでまあいいかと(笑)。視聴者の方々からの手紙には“やり過ぎなんじゃないか”というご意見もありましたけど、模型仲間にはウケました。ただ、不思議なのが、かつらとかそういうものってだんだん自分の一部のようになっていくんですよね。いつも最初にかつらを被ったときには絶対に合わないと感じるんですよ。鏡を見て違和感を覚えていたりしても、2か月ぐらいすると気にならなくなる。かつらが変わるわけないので、顔が変わっているんだなって思います。今思うと懐かしくて記念に持って帰ろうと思っています(笑)」

第6回より武元が意次の嫌味返しに「ほう、これは…一本とられたのう」

 眉毛といえば、こんな裏話も。第6回では日光社参が決まった際、「田沼のご家中は馬には乗れるのか? 武具、馬具、兜はどこであつらえるのか知っておるか」と意次に嫌みを言う武元に、意次が「仰せの通り、右近将監様には高家吉良様よろしく、ご指南願えればと存じます」と嫌みで返す一幕があった。

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 「意次に“ほう、これは…一本とられたのう”と返すんですが、その際にそれまで全然触らなかった眉毛の中から毛を1本抜いたんですよ。“一本取られた”にかけた駄洒落です(笑)。監督も“面白いからアップで撮ります”と撮ったのに、オンエアを観たらアップはなくて。眉毛1本損したなって(笑)。邪魔な長い毛だったのでいいんですけど(笑)」

 ビジュアル面のほか、意識したのが意次演じる渡辺謙と対になるような芝居だった。

 「3代に仕えたっていう、こてこての徳川っていうのを出したかったんですね。戦なき世を作ったという意味でも家康の作り上げた方程式は正しいと。それを継承していくのが自分の仕事だと思っていたんだと思うんです。そこにいわば新興勢力として現れたのが意次。米から金、あるいは銀本位にすべきであると。貨幣本位の経済を声高に叫ぶ新鋭・意次と相対する役ということで、古い芝居っていうと語弊があるかもしれませんが、例えば手をあまり使わない。それからあまり動かない。なおかつセリフも理屈で切れるのではなく、何となく昔風に流れで切れていく。つまり、何回も同じようなことを言っているということです。それを表現できればいいかなと思いました」

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第15回より意次との対峙シーン

 しかし、“動かない芝居”を唯一変えたのが第15回。徳川家基の死を巡り、武元が意次を屋敷に招くシーンだ。意次は、家基の死因が自身が渡した手袋に毒が仕込まれていたことによるものと推測し、そのことで武元に追い詰められるのではないかと内心、戦々恐々としていたが、武元が口にしたのは思わぬ言葉だった。

 「最後の回だけは手を使ったり、体も動かすというような芝居をしました。公の場ではなく、自宅であるということで。15回はとにかく撮影時間が長かったんですよ。家がまるまる1軒建ってましたから。僕のアングル、謙さんのアングルとセットの組み換えも大変でしたし、その間謙さんと足を伸ばして“痛いな~”って(笑)。あの場面で武元が意次にあそこまでのことを言うってことは、おそらく自分自身が去るつもりだと思うんです。世継ぎが亡くなったことで西の丸に自分の居場所、仕事がなくなるわけですよね。なおかつ、次の世代に譲るべきだという考えもあって、そうしたときに一番力がある者と言えば意次しかいないと。これまで武元は貨幣制度にこだわる意次に反対してきたけど、“しかし……”っていう思いはあった気がします」

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 意次と共闘関係となり、家基の死の真相を追究しようとしていた矢先、武元は急死。石坂はクランクアップを迎えることとなったが、「自身にとって大河ドラマとは?」との問いにはこんな答えが返ってきた。

 「わたしが『天と地と』の主演オファーをいただいた際、当時かわいがっていただいた(劇作家の)菊田一夫先生から“大河ドラマって大変なんだよ。やれるかね1年”とさんざん脅かされましたが(笑)、確かに大変は大変です。1年をかけて作っていくもので、徐々に年をとっていかなければならないので、民放ドラマでの芝居の作り方とは異なる。目線の高さが少しずつ変わった方がいいとか、相手役との間の取り方とか、芝居の仕方を随分教わりました。そういう意味では長いことやるので留学したみたいな気持ちですよね」

 60年以上のキャリアを誇る石坂だが、今後も「まだスポットライトの当たっていない歴史上の人物をやってみたい」と話していた。(編集部・石井百合子)

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