吉本ばなな×奈良美智「ひな菊の人生」劇場アニメ化決定 監督は『犬王』湯浅政明

作家・吉本ばななの小説「ひな菊の人生」(絵・奈良美智/幻冬舎文庫刊)が劇場アニメーション化され、2026年に公開されることが決定した。吉本にとって初のアニメ化作品となり、監督は映画『犬王』の湯浅政明が務める。
1998年11月号から2000年1月号まで月刊誌「CUT」で連載された「ひな菊の人生」は、吉本の小説を読んで喚起されたイメージを奈良が描き、またその絵の力をイメージしながら吉本が書くというコラボレーションで生まれた物語。
幼い頃に、ただ1人の家族だった母を事故で亡くしたひな菊。彼女を唯一支えたのは親友のダリアだ。ダリアが母の故郷ブラジルに旅立ち十数年、大人になったひな菊は、叔父と叔母が営むお店で焼きそばをつくりながら居候生活をしている。そんな彼女のもとに、ブラジルから1通の手紙が届く。そこには、遠く離れ、二度と会うことのなかった二人の孤独な魂の不思議なつながりが記されていて……。哀しくも温かなひな菊の人生を、湯浅監督が2月に設立した自身のスタジオ ame pippin の第1作目として、ファンタジックなイメージとともに描き出す。
脚本は『散歩する侵略者』(黒沢清監督)、『寝ても覚めても』(濱口竜介監督)といった、名だたる監督の作品で活躍する田中幸子。本作が自身初のアニメーション脚本となる。そして、幼少期のキャラクターは、奈良の原作挿画をもとに制作される。
また本作は、世界最大規模のアニメーション映画祭として知られるアヌシー国際アニメーション映画祭2025「Work in Progress」部門への選出が決定。現地時間6月13日には、湯浅監督らが登壇し、現地のファンや世界の関係者に向けて、制作進行中である本作のプレゼンテーションを行う。吉本ばなな、田中幸子、湯浅政明監督のコメントは以下の通り。(編集部・入倉功一)
原作:吉本ばななコメント
常に同じものを見ている感じがする湯浅監督に撮ってもらうのは、私の夢でした!
湯浅監督は真の意味で「動き」を表せる人です。登場人物たちそれぞれの内面が動きになる瞬間を見ることができて幸せです。
脚本:田中幸子コメント
湯浅監督&ばななさんの原作&奈良さんのキャラ! この企画に携われてとても光栄です。監督の溢れる想像力を必死に受けとめ、人間のやさしさと繊細さと強さ、主人公の心の動き……大切にしたいことが山ほどあります。
監督:湯浅政明コメント
ばななさんの中でも終始絵が想起される小説で、生々しく怖い部分がありながら、
最後のくだりは、昔 自分が夢想していたような、とても嬉しい内容でした。
半径100メートルくらいの下町の焼きそば屋さんの人生を、宇宙規模で描きたいと思います。


