細田守監督の新作、テーマは復讐!『果てしなきスカーレット』11月21日公開決定&特報で主人公の声公開

細田守監督の『竜とそばかすの姫』(2021)以来4年ぶりとなる新作アニメーション映画『果てしなきスカーレット』の公開日が11月21日に決定し、ストーリー、新たなビジュアル、そして主人公の声が一部収められた特報映像が公開。また12月12日よりアメリカで劇場公開されることも発表された。
昨年12月23日に行われた製作発表会見では、作品のタイトルと共に主人公の王女・スカーレットが描かれたビジュアルが公開。薄暗い空を背景に剣を腰に差した女性が、力強い視線で遠方の光を見つめている姿だった。主人公は「とある国のプリンセス」であり、「誰もが知っている、世界的なとある古典をモチーフにした内容。もう一人、彼女と対照的な登場人物が出てくるロードムービーのような作品」と発表されていたが、この度ストーリーが明らかになった。
主人公・スカーレットは、とある国の国王である父を殺された王女。しかし、その復讐に失敗したスカーレットが目を覚ますとそこは“死者の国”だった。狂気にあふれたこの“死者の国”では、宿敵に復讐を果たし、“見果てぬ場所”にたどりつかなければ虚無となり存在が消えてしまうと言う。スカーレットは虚無とならずに、宿敵に復讐を果たすことができるのか。果てしなき復讐への旅路が始まる……。
本作のテーマを「復讐」とした理由について、細田監督は「世界で起こっている出来事を見ると、深い遺恨や復讐心が次々と生まれてしまう状況だと感じています。「復讐」すれば「報復」がある。どこかでそのループから抜け出さないといけないけれど、簡単に抜け出せるような甘いものではない。映画の中で「復讐」せざるを得ない状況に主人公が追い詰められたら、どのような行動をとるべきなのか? 課題を突き付けられた気がしました。それで“復讐の物語”を作ろうと思ったんです」と語っている。
新たに公開されたティザービジュアルには、血に染まった純白のドレスをまとい剣を手にした主人公スカーレットの姿が。無数の死体に囲まれており、スカーレットが鋭い表情でこちらを見つめている。『時をかける少女』『サマーウォーズ』『未来のミライ』など、これまでの細田作品のビジュアルは青空や入道雲が描かれた見る人の心を明るくするものだったが、それらとはガラリと変わったダークな雰囲気となっている。
初解禁となる本編映像では、宿敵への復讐を果たすため旅に出る王女・スカーレットと砂漠に覆われた“死者の国”と呼ばれる世界のカットが多数公開。砂漠の中にそびえ立つ荘厳な城や密集する人々、火山、雷などが描かれた“死者の国”の様子や、竜も登場。また、スカーレットが多くの兵士を相手に戦うシーンや顔中砂まみれになっている姿や、純白のドレスを身にまとった姿も見られる。ラストには、「ここは……?」というスカーレットの声も挿入されているがキャストは明かされていない。
細田守監督のコメント全文は下記の通り。(編集部・石井百合子)
細田守(監督・脚本・原作)
この作品を考え出したのは2022年3月頃です。2021年にコロナ禍があり、世界はコロナというウイルスに対し一致団結していたように思っていました。ところが2022年、それが終わりかけたタイミングに世界のあちこちで戦争が起こり、世の中がカチッと悪い方向に変わった感覚がありました。日常だと思っていたものが崩れていく様子を毎日ニュースで僕らは知ることになる。自分自身が生きていること、過ごしている世の中、そして今のこの平和というものは非常に危ういものだと、ショックを受けました。平和ではない世の中をどうやって生きていくべきなのか、ということの答えを、世界中の人が求めている。答えがあるのかないのかわからないけれども、みんなどうしたら争いが解決するのか、どうしたら僕らは安心して生きていけるのか、という答えをみんな必死に探している。今作品を作るなら、そういうみんなの切実な気持ちに対し、向き合って映画を作るべきじゃないか、というところから『果てしなきスカーレット』という作品を発想したんです。世界で起こっている出来事を見ると、深い遺恨や復讐心が次々と生まれてしまう状況だと感じています。「復讐」すれば「報復」がある。その連鎖は延々終わらない。どこかでそのループから抜け出さないといけないけれど、簡単に抜け出せるような甘いものではない。映画の中で「復讐」せざるを得ない状況に主人公が追い詰められたら、ないしはもし僕らが追い詰められたとしたら、どのような行動をとるべきなのか? 頭では「復讐」のループを断ち切らないといけないと分かっていても、感情的にそんなことが可能なのか? 課題を突き付けられた気がしました。それで“復讐の物語”を作ろうと思ったんです。