【ネタバレ】『爆上戦隊ブンブンジャーVSキングオージャー』グループ分けからロボ戦まで!加藤弘之監督が明かす設定秘話

スーパー戦隊“VSシリーズ”第31作目となるVシネクスト『爆上戦隊ブンブンジャーVSキングオージャー』のメガホンを取った加藤弘之監督がインタビューに応じ、「爆上戦隊ブンブンジャー」「王様戦隊キングオージャー」の世界観をクロスオーバーさせた物語の魅力や、製作から撮影までの裏話を語った。(以下、本編のネタバレを含みます)(取材・文:編集部・倉本拓弥)
【インタビュー動画】新生活を迎えた人たちへ…ギラ&大也からメッセージ!
キングオージャーとの再会「大人になったなぁ」
Q:「爆上戦隊ブンブンジャー」のテレビシリーズを終えた現在の心境、手応えはいかがですか?
全体的に「こうしてみたい」という自分の意見を、打ち合わせの段階で反映していただくことが多かったです。撮影現場も明るく楽しい感じで、キャストのみんなも明るく演じていました。自分が担当したエピソードは、野球(「バクアゲ23 炎の逆境野球」)やサッカー(「バクアゲ41 預ける背中」)などはっちゃける回が多かったので、いろんなアイデアを出し合って撮影できたと思います。
Q:「ブンブンジャー」キャスト6人の成長ぶりはいかがですか?
最初の頃と比較したら、かなり成長しています。キャラクターに関してはみなさんにお任せして、その時々のお芝居がしっかりできれば、もう何も言うことはありませんでした。序盤こそキャラクターの方向性が揺らいでいる人もいましたが、2度目の担当回(バクアゲ17~18)からはある程度固まっていて、みんなも自信をつけている感じがしました。
Q:『キングオージャーVSドンブラザーズ』に続き、2年連続でVシネクストの監督を務めることになった経緯は?
「ブンブンジャー」を担当していた監督陣で、「キングオージャー」もしっかり担当していたのが僕しかいなかったんです。「キングオージャー」の固定ファンもいらっしゃいますし、世界観は壊してはいけないと。「キングオージャー」で大事にしているものは「ブンブンジャー」にも通じるので、その辺はVシネクストでも出していきたいと思いました。
Q:約1年ぶりに「キングオージャー」の6人を演出した感想は?
「大人になったなぁ」と感慨深いものがありました。特にギラは、テレビシリーズが王様に成長する話だったので、今作の台本を製作する段階から、1人の王様として成長した姿を見せましょうと、プロデューサーから要望がありました。
「ブンブンジャー」終盤のキーアイテムを再フィーチャー
Q:Vシネクストの脚本は、「ブンブンジャー」メインライターの冨岡淳広さんが執筆されています。冨岡さんとは、どのようにストーリーを構築していったのでしょうか?
Vシネクストの時系列を考える際、「ブンブンジャー」のテレビシリーズ最終話がどういう展開になるのか、まだ決まっていなかったんです。Vシネクストの上映は最終話後なので、「ブンブンジャー」としても最終話後の物語がふさわしいと思い、冨岡さんに「最終話はどうなりますか?」と聞くところから始まりました。5人とブンブン(ブンドリオ・ブンデラス)はビッグバングランプリに参加して、焔先斗とビュンディー(ビュン・ディーゼル)は地球に残っている。サンシーターは、どこか宇宙を彷徨っているということで、そこから「キングオージャー」と絡ませるにはどうしましょうかと話し合いました。今作は「ブンブンジャー」に重きを置いているので、最終的には「ブンブンジャー」の地球を舞台にしたストーリーにしましょうと、台本製作がスタートしました。
Q:夏映画『爆上戦隊ブンブンジャー 劇場BOON! プロミス・ザ・サーキット』のゲストキャラクターだった、王女・ニコーラも再登場します。
ブンブンジャーとキングオージャーがどこで出会うのかを考えた時に、出てきたのがニコーラです。彼女を仲介すれば、惑星トリクルへブンブンジャーも会いに行けますし、トリクル奪還後の話にすれば、キングオージャーが何かしら関わっていたのかもしれないということにもできます。実際に描いてはいませんが、観ていただいたみなさんに、いろいろ考察していただけたらと思います。
Q:「ブンブンジャー」終盤に登場した星魂鏡(=銀色の球体)を、Vシネクストで再度フィーチャーしようと思った経緯は?
敵キャラクターが何か悪巧みをしている感じを出したくて、“三種の神器”みたいなものを集めて、最終的にそれらがそろった時に大変なことが起きるといいのではないかという話になったんです。1つ目はオージャカリバーZERO、2つ目はニコーラのペンダントになり、3つ目は「ブンブンジャー」の地球にあった方がいいという案が出ました。すると冨岡さんが、テレビシリーズのクライマックスにおいて、ブンブンが一度やられる展開にしたいとお話しされていて、その時に範道大也がブンブンを蘇らせるきっかけを(ブンブンの体内に)埋め込んでおいて、それが3つ目のキーアイテムになれば面白いということになりました。
サンシーターも全員別行動!グループ分けの裏側
Q:ハシリヤンの残党・マンホールグルマーは、どのようにして誕生したのでしょうか? マンホールは「バクアゲ6 シロとクロ」に登場したアイテムで、SNSでトレンド入りもしていました。
ボス的存在となるキャラクターを決める時に、オージャカリバーZEROとは別の苦魔獣にしましょうということになりました。最終的に、ものすごい力を持った強化形態になる苦魔獣になって、ブンブンジャーとキングオージャーが共闘して倒す方が面白い展開になると思いました。ブンブンがダジャレ好きなので、言葉遊びじゃないですが、「マンホール」が「ブラックホール」に変わって、地球を破壊してしまうくらいの力を持つようにしましょうと、マンホールグルマーが誕生しました。
Q:物語の中盤は両スーパー戦隊が4つのグループに別れて行動しますが、それぞれのグループ分けで意識したことは?
「この人たちとこの人たちを合わせると面白いのでは?」というところから、グループ分けしていきました。ヤンマ・ガストとシャーシロ(鳴田射士郎)、振騎玄蕃とジェラミー・ブラシエリ、志布戸未来とヒメノ・ランとリタ・カニスカはお互いの個性が合わさると面白そうだなと思って分けています。サンシーターに関しては、これまで基本3人行動だったので、今作では逆に分けましょうということになり、デコトラーデはヤンマとシャーシロ、イターシャは未来たち、ヤルカーは大也とギラのところに振り分けています。
Q:撮影してみて特に面白かったグループ、印象的だった組み合わせはありますか?
阿久瀬錠、カグラギ・ディボウスキ、商店街のマッチョの筋肉グループは、なかなか面白かったです。高田将司くんをはじめ、JAE(ジャパンアクションエンタープライズ)のみなさんも登場してくれました。みなさん、「こういう状況です」と説明しただけである程度アドリブで演技してくださるので、撮影中もすごく楽しかったです。
VSシリーズの醍醐味は“お祭り感”
Q:クライマックスでは、キングブンブンジャーロボが活躍するロボ戦が描かれました。
VSシリーズだから(ロボ戦を)やらないというわけではなく、やりたいことを詰め込むとロボ戦まで辿りつかないんです。「今回はどうする?」という話になった時に、マンホールグルマーが進化するなら、巨大ロボ戦もやった方がいいという話になりました。ブンブンジャー側のロボを出すにあたって、キングオージャーの力をどう使うかと考えた時、キングオージャーの力を借りて姿が変わるのはどうでしょう? という案が出ました。ブンブンジャーロボナイトが、キングオージャーロボとシルエットが似ているので、造形的な制約の中で、どこまでキングオージャー色をつけることができるか検証しながら、キングブンブンジャーロボが完成しました。
Q:スーパー戦隊VSシリーズを手がける醍醐味はどんなところにありますか?
お祭り感ですね。2つのスーパー戦隊が、表面上は戦わずとも、作品としてぶつかり合うわけです。それがどう混ざり合うのか、考えるのはすごく悩ましく、同時に楽しい作業でもあります。「この戦隊とこの戦隊が合わさった時に、どういう反応するんだろう?」と考えて、実際に撮影に入って「こうなるんだ!」と改めて発見することもあるので、毎回楽しい気持ちで撮影しています。
Q:最後に、『爆上戦隊ブンブンジャーVSキングオージャー』をリピートするファンへメッセージをお願い致します。
「ブンブンジャー」が好きな人、「キングオージャー」が好きな人、そしてどちらも好きな人、誰もが楽しめるように作ったつもりです。何度も観ていただければ、新しい発見に気づくこともあると思います。その時間を楽しく過ごしていただければ、何も言うことはありません。
Vシネクスト『爆上戦隊ブンブンジャーVSキングオージャー』は新宿バルト9ほか期間限定上映中/Blu-ray&DVDは10月29日(水)発売


