広瀬すず、10年ぶりのカンヌ映画祭「特別な空間」吉田羊も着物で魅了『遠い山なみの光』公式上映
第78回カンヌ国際映画祭

女優の広瀬すずが15日、第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品されている映画『遠い山なみの光』のフォトコールと公式上映に、石川慶監督、原作者のカズオ・イシグロ、吉田羊、カミラ・アイコ、松下洸平、三浦友和らと共に参加。その様子が明かされた。
【画像】広瀬すず、まぶしいノースリーブで魅了!カンヌ映画祭フォトギャラリー
日本、イギリス、ポーランドの共同製作となる『遠い山なみの光』は、ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロの長編小説デビュー作を『ある男』(2022)の石川監督が映画化。戦後間もない1950年代の長崎と1980年代のイギリスという、時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密を紐解いていくヒューマンミステリー。
広瀬は、是枝裕和監督作『海街diary』(2015)以来となる10年ぶり2度目のカンヌ。公式上映に先駆けて行われたフォトコールでは、ルイ・ヴィトンの白いノースリーブのドレスに身を包み、赤白の「寿ぎ」着物スタイルの吉田、タキシード姿の松下と三浦に、石川監督、カズオ・イシグロらとともに取材に臨み、世界中のカメラマンからの呼びかけに答えて満面の笑み。また、赤と白の着物でポーズを取る吉田にも会場は大いに沸いた。
公式上映前の舞台あいさつでは、カズオ・イシグロが「この映画は私が25歳の時に書いた本がベースになっています。ひどい本なんです(笑)。私が書いた初めての本でして。でもひどい本から素晴らしい映画になるという長い長い歴史が映画にはあります。石川監督が本作の映画化の企画をくださったときに、素晴らしいアイデアだと思いました。美しい映画が生まれる可能性に満ちていた。そして、僕のその直感は正しかったんです。だから、今僕は次のひどい本を書こうと思ってます。どうもありがとう!」とウィットに富んだスピーチを披露。上映終了後、会場は5分にわたるスタンディングオベーションが送られ、観客の温かな歓迎に一同感動の面持ちとなった。

レッドカーペットで広瀬は、昼間のフォトコールから装いを新たに、ゴールドの大きなタフタが片袖についた黒のルイ・ヴィトンのドレスで登場。世界各国から集まった一般客やマスコミからの掛け声が絶えず響く中、一つ一つに丁寧に応えるかのように、手を振り笑顔を見せた。16歳で初めてカンヌの地を踏んでから10年。今度は主演俳優として2度目のレッドカーペットに立ち、圧巻の存在感を見せた広瀬。囲み取材では「特別な空間の中で映画が届いたんだなというのをすごく実感できる瞬間だったなと、いまだにやっぱり景色が焼きつくような、そんな空間でした」と充実のコメントを寄せた。

また吉田は、「映画が世界に羽ばたいていくように」との願いを込めたという、鶴が大きく羽を広げた姿が印象的なアンティークの着物を凛と着こなして登場。囲み取材では、大盛況の上映を振り返り「皆さんの反応が気になって、お客様の反応を一緒にこう目の端にとらえながら観ていたのですが、本当に皆さまぐっと物語の世界に入ってくださって、それをスタンディングオベーションという形で示してくださって本当に感謝だなと思いましたし、この映画に携わった全てのスタッフ・キャストの想いが報われた瞬間だなと感じました」と感激を振り返った。(編集部・入倉功一)
映画『遠い山なみの光』は9月5日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開