寺尾聰、この映画が最後かも…ディーンに告げるも「また頑張れる」 “弟”佐藤浩市のサプライズに笑顔

俳優の寺尾聰が23日、TOHOシネマズ日比谷で行われた映画『父と僕の終わらない歌』初日舞台あいさつに、松坂桃李、佐藤栞里、副島淳、ディーン・フジオカ、松坂慶子、小泉徳宏監督、シークレットゲストの佐藤浩市と共に出席。この映画が「最後かも」と思っていたことを明かしていた。
本作は、80歳でCDデビューを果たしたテッド・マクダーモットの実話を、息子であるサイモン・マクダーモットがつづった物語を原案に、『線は、僕を描く』などの小泉徳宏が映画化。アルツハイマー型認知症を患い、少しずつ記憶を失っていく父親を彼の家族と仲間たちが音楽を通して支えようとする姿を描く。
壇上で共演者たちとハイタッチを交わした寺尾は「この顔ぶれ最高でしょ?」と胸を張ると「いままで何本か映画の主演をやったことはありましたが、今回ほど宣伝で駆け回ったことはなかったかも」と精力的にプロモーション活動を展開したことを明かす。
そんな寺尾だが「去年の春ごろ、一時期身体の調子が悪くて」と語ると「これが最後の映画になるかなと思っていた」と振り返り「でも早く処置したので、また快適で頑張れる状態まで戻ってきたんです」といまは健康にすごせていると述べていた。
本作で、寺尾演じる間宮哲太の息子・雄太(松坂)のパートナー・亮一を演じたディーンは「僕は寺尾さんのことを親父って呼んでいるのですが、親父から電話がかかってきて『1日ぐらいで大丈夫だから出てくれ』とラブコールをいただいたんです」と出演の経緯を語ると「以前僕は寺尾さんと親子の役をやらせていただき、いつかまた再会できたらいいなと思い日々精進していたんです。そんな寺尾さんから『この映画が最後になるかもしれない』と連絡があって『そんなことを言わないでくれ』と言うために現場に行ったんです」と秘話を明かしていた。
またこの日は、寺尾演じる哲太にアルツハイマー型認知症と診断を下す医師という重要な役どころで友情出演した佐藤がサプライズで、5月18日に78歳の誕生日を迎えた寺尾にお祝いの花束を持って登壇した。
佐藤の参加を知らされていなかったという寺尾は、目を丸くして驚くと「血はつながっていないのですが、浩市さんは弟のような存在。親の世代からの付き合いなんです。彼と一緒に出た映画はあるのですが、今回生まれて初めて、向かい合ってお芝居をしました。本当に嬉しかった」と笑顔。
佐藤も「当然面識はあったのですが、共演らしい共演はなかったんですよね」と不思議だったことを明かすと「(寺尾の父である)宇野(重吉)さんと(佐藤の父親である)三國(連太郎)の関係性からシンパシーを感じてくださっていたのか、すごくかわいがってくださったんです」と語っていた。
寺尾を父と慕うディーン、兄と敬意を表する佐藤に囲まれた寺尾は「桃李くんとも前回、今回の作品で息子のような絆ができました」と息子や弟に囲まれての撮影に「最高のいい男たちが弟や息子になってくれて幸せです」と破顔すると、妻役の松坂慶子、さらには佐藤栞里、副島らにも目を向け「とても共演者に恵まれました。本当にありがとうございました」と感謝を述べていた。(磯部正和)


