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「岸辺露伴」戸次重幸、膜をかぶって大熱演 命を懸けたゲームの裏側

『岸辺露伴は動かない 懺悔室』よりソトバ(戸次重幸)
『岸辺露伴は動かない 懺悔室』よりソトバ(戸次重幸) - (C) 2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 荒木飛呂彦の人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフ「岸辺露伴は動かない」を高橋一生主演で実写化する映画の新作『岸辺露伴は動かない 懺悔室』(公開中)。イタリア・ベネチアを舞台にした本作の見せ場の一つとなるのが、「ポップコーンを投げて3回続けて口でキャッチできたら呪いは消える」という命懸けのゲーム。大東駿介戸次重幸らが臨んだ本シーンの裏側を、渡辺一貴監督が語った。

【画像】ポップコーンバトルの裏側(メイキング&場面写真)

 相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた人気漫画家・岸辺露伴(高橋)を主人公にした本シリーズ。連続ドラマが2020年から2024年にかけて全4期、計9エピソードを放送。2023年5月に公開された『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が興行収入12億5,000万円(日本映画製作者連盟調べ)のヒットを記録し、足掛け5年に渡る人気シリーズへと成長した。『岸辺露伴は動かない 懺悔室』では日本映画初となるイタリア・ベネチアロケを実施し、取材旅行でベネチアを訪れた露伴が、恐ろしい呪いに見舞われるさまを描く。主人公・岸辺露伴役の高橋一生、実写シリーズを通じて登場する露伴の担当編集・泉京香役の飯豊まりえに加え、玉城ティナ、戸次重幸、大東駿介、井浦新らが名を連ねる。

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 映画は、ベネチアの教会を訪れた露伴が懺悔室で、一人の男の奇妙な告白を聞くところから幕を開ける。男は、過去に犯した過ちにより「幸せの絶頂の時に絶望を味わう」呪いをかけられているという。ある罪を背負った男だが、原作には彼に対する露伴の「怨霊に取り憑かれてもあきらめず孤独に人生を前向きに生きる男…彼は悪人だと思うがそこのところは尊敬できる…」という言葉があり、その肯定ともとれるメッセージは映画の物語にも生かされている。

 「田宮(井浦新)や水尾(大東駿介)は、善人か悪人かで言えば悪人かもしれないのですが、命を燃やして生きているというか、必死に生きている感じがお芝居を通してすごく伝わってきて。マリア(玉城ティナ)もまた宿命に抗いながらも自分の幸せを見つけようとしている。彼らの“生きることへの貪欲さ”を強調するというのは、初めはそこまで意図していなかったことで、井浦さん、大東さん、玉城さんのお芝居を見て改めて、この作品の大切なテーマのひとつなのだと気づかされました」

 生への執着を表す最たるシーンが、水尾が「幸福の絶頂」を迎えたときに、かつて死なせたホームレスのソトバ(戸次重幸)から命懸けのゲームを強いられる場面。

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 「ポップコーンを3回投げて口でキャッチすることに人生の全てをかける様っていうのは一見滑稽に見えますが、観ているうちに何だか愛おしく思えてくるし、“頑張れ”と応援したくなる。ここまでパッションを感じるシーンになるとは思っていませんでした。それは大東さん、戸次さんをはじめとする役者さんの力によるものだと思います」

 ポップコーン対決の場面は、台本で9ページにわたり、約150カットに及んだ。“勝負”と言えば、ドラマ3期の「ジャンケン小僧」でも露伴と、露伴のファン・大柳賢(柊木陽太)とのジャンケンでの一騎打ちが展開されたが、同エピソードとは比較にならないほどの労力だったという。

 「『ジャンケン小僧』は、露伴の相手が『人』だったので、シンプルにお芝居として撮影できたのですが、今回の場合は基本的に大東さんの一人芝居。水尾がポップコーンを投げた時に降りかかってくるさまざまな困難は人間が相手ではありません。周りにいる鳩の反応はどうなのか、太陽の光がどう影響してくるのか、投げたポップコーンはどうなるのか、複数の複雑な要素を組み立てなければならない。そのため細かいカット指定が必要になって、最終的には150カット程の構成になった。2日かけて何とか撮ったのですが、撮影した11月は日が一番短い時期だったので時間も限られていて、かなりのプレッシャーでした」

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少女の舌に憑依しているのがソトバ

 水尾に勝負を持ち掛けたソトバは、赤い修道服のような衣服をまとった少女の“舌”に憑依している設定。舌にソトバの顔が現れ喋り出すというショッキングな映像で、別撮りの顔のアップと組み合わせて構成されている。

 「憑依したソトバをどう表現するのか、というのはチームのみんなでかなり考えたところで。僕がネットでリサーチしていたときに、薄い膜から人が顔を突き出しているアート写真を見つけたんです。これを応用すればいけるんじゃないかっていう話になって、解決の糸口が見つかった感じです。戸次さんが膜のフィルターを通して喋っているので、それがボイスチェンジャーのような効果にもなっていて。声は少し加工していますけど、ほぼ生に近い声を使っています。戸次さん、めちゃくちゃ楽しそうにやられていましたよ(笑)」

 手に汗握る勝負が繰り広げられる本シーン。ポップコーンを投げるたびに予想しない事態に見舞われ、必死に打ち勝とうとする水尾を全身で表現する大東。それをあざ笑うかのようなソトバを膜越しに怪演する戸次。二人の熱演と、渡辺監督をはじめとするスタッフの血のにじむような奮闘のすえ、大スクリーンで観てこそ迫力が伝わる名シーンに仕上がった。(取材・文:編集部 石井百合子)

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