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仲村トオル、デビュー作『ビー・バップ・ハイスクール』鑑賞し「自分にダメ出し」 中山美穂さんとの思い出も語る

『ビー・バップ・ハイスクール』上映後舞台あいさつに出席した仲村トオル
『ビー・バップ・ハイスクール』上映後舞台あいさつに出席した仲村トオル

 俳優の仲村トオルが28日、丸の内TOEIで行われた「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトの上映作品『ビー・バップ・ハイスクール』上映後舞台あいさつに出席、当時の撮影秘話と共に、昨年12月に亡くなった中山美穂さんとの思い出も語った。

【トークノーカット】仲村トオル、中山美穂さんとのエピソードも 『ビー・バップ・ハイスクール』舞台挨拶

 それまでの不良漫画とは全く角度の異なったアプローチの“ツッパリ”漫画として人気を集めた、きうちかずひろの同名コミックを実写化した本作は、主人公ヒロシ(仲村)とトオル(清水宏次朗)のふたりが、ケンカや恋に明け暮れる日々を描き出した青春アクション。仲村と清水主演の映画版は1985年の第1作から6作品が制作される人気シリーズとなった。

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 この日は観客と一緒に映画を鑑賞していたという仲村は、「最初から最後まで観ていたのは本当に40年ぶりぐらいかもしれない。自分で観たいと言ったんですけど、最初はちょっと罰ゲームのような感じがするくらいに、自分にいっぱいダメ出ししていました。滑舌が悪いとか、パンチが弱々しいとか。でも途中からだんだん笑いたくなってきて。フレームの中だけでなく、フレームの外側にいるスタッフの人たちも含めて、みんな本当にがんばっていたなと思って。最後はちょっと感動しました」とあいさつ。

 プロ・アマ問わずに募集されたオーディションには5,963人の応募があり、その中から歌手として注目を集めながらまだ駆け出しの俳優だった清水と、本作がデビュー作となった仲村がヒロシとトオルに選ばれた。そのオーディションが行われたのが、まさに丸の内TOEIを擁する東映会館の8階会議室だったという。仲村は「中に入った時は本当にビックリしました。ケンカをしたくてしょうがない、というような“本物”ばかりで。僕みたいな普通の大学生は少数派。何かコネが(できれば)と思って受けたのは間違いだったかもと思いました。受かった時もまわりを見ないように、明るいところを通って帰ろうと思いました」と笑う。

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 オーディションに合格し、いざ撮影現場に入るとプレハブの30畳くらいの部屋に、不良役の若者たちが40人くらいで寝泊まりする日々を送ったという。仲村は「映画の中ではバチバチにやり合う敵同士でしたけど、みんな本当に、必死に、懸命にひとつのものをつくろうとしている仲間という感じで。新人の僕としてはとても頼りになる人たちでした」と振り返った。

 本作では、トオルとヒロシのケンカ相手が、鉄橋を走る電車の窓から突き落とされ、次々と川に落ちていくという、アクションシーンが語り草となっている。仲村は「今日観ても、よくこんなことをやらせてくれたなと思いました」と驚きの表情。鉄橋には鉄柱があるために「とにかく(アクション監督・殺陣師の)高瀬(将嗣)さんがゴーサインを叫んだタイミングで、それに合わせて清水さんと僕が、高瀬道場の瀬木(一将)さんと高山(瑛光)さんを蹴り落としていた。それも高瀬さんの合図だけを頼りでした」という。

 映画では大勢が落ちているようにも見えるが、実際に落ちていたのは瀬木と高山の2名だけで、彼らは2回、落ちることになったという。仲村は「川に落ちた後、泥だらけになっていたので、また衣装に着替えて。きれいにしてから、またふたりが電車に乗っていく時に、とんでもない人間に出会ったなと。神々しいくらいに感じて。あれをもう一回やるのかと。大げさでなく、拝みたくなるような神々しさがありました」と述懐する。

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 そんな仲村自身にとっても、窓ぎわのアクションは大変な危険を伴うものだった。「当時の僕としては、ギリギリのところでやってやろうと思っていたんですが、後に瀬木さんに、自分が距離感をわかっていなかったので、鉄柱が来るたびに“俺がトオルを引き上げていた”と言われました」と振り返った仲村。そしてくしくも客席には、実際にそのアクションをやり遂げた瀬木の姿もあり、場内から惜しみない拍手が送られた。

 その後も、商店街のアーケードダイブなど、現在では考えられないような、壮絶なアクションシーンの秘話を次々と明かしていった仲村。その流れで、本作のヒロインを務め、昨年12月に亡くなった中山美穂さんの思い出に言及するひと幕も。「ものすごい年下だと思っていたし、当時トップクラスのアイドルだったので、近寄りがたい感じがあって。そんなに現場で話をした記憶がなかった」という仲村。だが、映画を鑑賞し、思い出したことがあった。それは、髪を切られた今日子(中山さん)を連れて、トオルの祖母の家に逃げていくシーンだったという仲村は、「夜のシーンだったんで、電気も明かりも消して真っ暗になっていたんですが、あそこは控室がなかったんで、僕は引き戸の前で待っていた。美穂ちゃんが隣の畳の部屋にいたんですけど、真っ暗な中で美穂ちゃんの目がすごく光って見えて。『こんなところにこんな風にいると猫みたいだね』と話しかけると、『そうだよ、簡単に尻尾は振らないし、こびないし』と答えたんです。当時15歳の女の子にしたらずいぶん大人っぽい答えだったなと思いました」と明かすひと幕もあった。

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 そして仲村は、もうすぐ閉館する丸の内TOEIについて、「劇場を支えた映写技師さんや、メンテナンスをする方、客席をきれいにする方もいるのに、そうやって支えてくれた人たちに、僕は何もお礼をしてこなかったことに気付いて。いまさらながら、ありがとうございましたとお伝えしたいです」と感謝。さらに、同じく建て替えとなる東映会館について「僕はここの8階で産声をあげました。俳優としての赤ん坊が産まれた産院のような場所だったと思っています。ありがたいことに『ビー・バップ・ハイスクール』は6作品、作らせていただいて。その他も『六本木バナナ・ボーイズ』や『行きずりの街』など多くの東映作品に出させていただきました。おかげで、東映の俳優と思われているせいか、東宝と松竹からのお話はほとんどありませんでした。これはこれで僕の人生かなと思っておりますが。ただちゃんとお会いしてなくて、お礼をしていない方にも支えられた会社だなと思います。昔から(制作会社で、仲村が所属していたこともある)セントラル・アーツが実家で、『ビー・バップ・ハイスクール』が母校で、『あぶない刑事』の現場がふるさと、というのはきっと死ぬまで同じ事を言い続けるんだろうなと思います」とあらためてその思いを語った。(取材・文:壬生智裕)

「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトは7月27日まで実施予定

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