『国宝』黒川想矢も出演!マスクをつけた若手キャストの熱演光る『この夏の星を見る』が高評価

映画『ハケンアニメ!』『かがみの孤城』『傲慢と善良』など映像化が相次ぐ直木賞作家・辻村深月の小説を実写化した『この夏の星を見る』(公開中)。2020年、新型コロナウィルスが蔓延したコロナ禍を舞台に、ユニークな手段で青春を謳歌しようと奮闘する中高生たちを描いた本作で、劇中の多くがマスクをつけたままのキャストたちの演技が大きな反響を呼んでいる。
2023年6月に刊行された辻村深月の同名小説に基づく本作は、茨木・東京・長崎で暮らす中高生たちが、部活動を通じてつながっていくさまを描く青春ストーリー。コロナ禍において、彼らは登校や部活動が次々と制限され、更には緊急事態宣言が発令され、鬱屈した日々を送っている。ソーシャルディスタンスを余儀なくされ、やりたいことが何もできなくなる日々のなか、一人の学生が発案したのがリモート会議を駆使して同時に天体観測をする競技「オンラインスターキャッチコンテスト」。やがてその思いは県をまたいで遠く離れた中高生たちを揺さぶることとなる。
出口の見えない試練の中で青春を奪われることへの焦燥、苛立ち、そして引き裂かれる友情……当時、多くの学生たちが抱えていたであろう切実な状況がリアルに再現されるなか、特に注目を浴びているのがマスクをつけたままという制限された芝居で奮闘したキャストたち。その多くが10代から20代前半で、ネットでは「マスク越しでも目で思いは伝わった」「マスクをしてる中でも表情がとても素晴らしい」「逆に効果的で良かった」「若い役者さんが多く出てましたが、皆さん素晴らしい」といった声が寄せられている。
主人公で「オンラインスターキャッチコンテスト」を企画する茨城県立砂浦第三高校の天文部二年生・溪本亜紗を演じるのは、『交換ウソ日記』『バジーノイズ』『大きな玉ねぎの下で』などの映画でヒロイン・主演が相次ぐ桜田ひより(22)。亜紗の同級生で秘密を抱える凛久役に、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」、「なんで私が神説教」などの水沢林太郎(22)。原作者の辻村が小説を執筆する際、実際に取材した茨城県立土浦第三高等学校で撮影が行われた。
長崎・泉水高校の生徒で実家が旅館を経営していることから孤立していく吹奏楽部の円華役に、ヴィム・ヴェンダース監督の映画『PERFECT DAYS』で役所広司演じる主人公の姪に抜擢された中野有紗(20)。コロナ禍で円華と関係がぎくしゃくする親友の小春役に映画『違国日記』『か「」く「」し「」ご「」と「』などの早瀬憩(18)。円華に寄り添う野球部の柊役に映画『茜色に焼かれる』や連続テレビ小説「虎に翼」などの和田庵(19)。
サッカー部が廃部に追い込まれ時間を持て余していた東京の中学校1年生の真宙役に、是枝裕和監督の『怪物』や、『国宝』で吉沢亮演じる主人公の少年時代も話題の黒川想矢(15)。真宙を理科部に勧誘する星オタクの天音役に特撮シリーズ「王様戦隊キングオージャー」や映画『ゴールド・ボーイ』などの星乃あんな(15)。
コンテストに集うのは決して全員星好きというわけではなく、吹奏楽部、野球部、サッカー部など、全く異なる分野に打ち込んできた者も多数。コロナ禍に突入するまでは接点のなかった者同士が思いがけず知り合い、新たな活路を見いだしていく展開に希望を感じられる。映画・ドラマ・アニメのレビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」では5つ星中4.2の高評価となっている(7月31日時点)。
監督は、ドラマ「沼オトコと沼落ちオンナのMidnight Call ~寝不足の原因は自分にある。~」「夫婦が壊れるとき」などの山元環。脚本はドラマドラマ「VRおじさんの初恋」「ケの日のケケケ」などの森野マッシュ。(編集部・石井百合子)


