竹野内豊&奥平大兼が語る『雪風』で受け継いだ思い「二度と戦争を起こしてはならない」

俳優の竹野内豊が27日、都内で行われた映画『雪風 YUKIKAZE』の大ヒット御礼舞台あいさつに、奥平大兼、田中麗奈と共に登壇。本作の脚本制作の際に取材に応じ、戦時中の様子などの証言を提供した故・今井桂さんを偲んだ。
本作はミッドウェー海戦、レイテ沖海戦など、太平洋戦争の激戦をくぐり抜けてきた、大日本帝国海軍の駆逐艦「雪風」の乗組員やその家族らの姿を描く人間ドラマ。
今井さんは戦艦大和の沖縄特攻の折、10代で駆逐艦「初霜」に電信員として乗艦しており、雪風らと共に出撃した経験を持つ。今年6月5日、松山で行われた試写会に99歳という年齢で参加していたが、その直後の6月30日に亡くなった。この日は、今井さんが本作完成後に残した思いなどがスクリーンで紹介された。
竹野内は「今井さんのように当時、実体験をされた方からのお話を聞くことが年々難しくなっています。戦争という現実味が薄れていく中、この戦後80年というタイミングで私たちがバトンを受け取って、戦争の恐ろしさを後世に伝えていく義務や責任を強く感じました。映画を観ることで、当時を生きた人の心情を体感し、その情景が深く記憶に残っていけばいいなと思います」とコメント。
また「昔、サイパン島の戦争の映画を撮っていたことがあるんですけど、その時に生き残りの方たちに話を聞くと、『戦争は敵の弾で命を失うわけではない、みんなが一斉に撃ち始めるので、味方の弾で命を失う人も多かった。それが戦争の恐ろしさだと思います』と話していて印象的でした」と戦争を体験した人々から聞いたエピソードも紹介。「戦争の体験者しかその壮絶さはわからない。絶対に繰り返してはならないし、二度と戦争を起こしてはいけないと思います」と力を込めた。
二等水兵・井上壮太を演じた奥平も「今井さんは『二度と戦争を起こしてはならない』とおっしゃいましたけど、そのことの重さをひしひしと感じました。戦争の恐ろしさ、平和があることの大切さを伝えていくことがすごく大切だと思います」と竹野内に続き、「僕も(今年で)22歳。今回、戦争映画に携わらせてもらいましたが、『雪風』で学んだこと、受け継いだことを、年齢を重ねても無くさずにいたいと強く思いました」と話していた。
そして、田中も戦争の悲惨さを伝える大切さを語りつつ、本作の反響について振り返り、「私は福岡県久留米市出身。福岡の親戚から連絡があって、お客さんいっぱい入ってたよって」としみじみコメント。小さな子供も真剣に観ていたという話を親戚に聞いたといい「若い小学生から観られる戦争映画はなかなかないです」と本作にかける思いを明かしていた。(取材・文:名鹿祥史)


