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岡山天音、アートの醍醐味は「作者の人生が垣間見えること」 初の大河「べらぼう」で才人・恋川春町役

岡山天音演じる恋川春町
岡山天音演じる恋川春町 - (C)NHK

 横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)で戯作者・浮世絵師の恋川春町(倉橋格)を演じた岡山天音(31)。芸歴17年で初の大河ドラマ出演。「僕も結構変な人なので、この仕事をしていなかったら大変なことになっていただろうなと思いますが、それにしても春町ってのは生きづらい人だっただろうなって」とシンパシーを寄せる春町の人生を振り返る中で、「アートに触れる醍醐味」を語った。

【画像】豆腐の角に頭をぶつけて…春町の壮絶な最期

 大河ドラマ第64作「べらぼう」は、江戸時代中期、貸本屋から身を興して書籍の編集・出版業を開始し、のちに江戸のメディア王として時代の寵児となった蔦屋重三郎(横浜)の物語。岡山演じる春町は、小島松平家に仕える武士。地本問屋・鱗形屋から出した「金々先生栄花夢」が大ヒットし、その後に続く黄表紙の先駆けとなる。親交のあった戯作者・朋誠堂喜三二(尾美としのり)を通じて版元の蔦重と知り合い、ヒット作を連発。しかし、時代の変わり目で発表した「鸚鵡返文武二道」が幕府に目をつけられ、思わぬ事態となっていく……。

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 春町は、挿絵も文章も書ける才人。岡山自身も絵を描くこと、ものづくりが大好きで、2023年には菅田将暉がリリースした楽曲「美しい生き物」のジャケットイラストを手掛け、話題に。さぞシンパシーを寄せたのではないかと思いきや、「基本的にはどの役も等距離」だとフラットな姿勢だ。

 「どうなんですかね。どうなんですかね……(笑)。それに関して言うと僕、結構どの役も等距離なんですよね。どの役にもシンパシーを感じている。だから春町に関しても面白いキャラクターだし、愛すべき人にしたいという思いは強くありましたけど、あまり自分と似ているとか、特別この役だからみたいなことは思わないです。でも本当に大切で大好きなキャラクターになりました」

 春町が初めて登場したのは、第11回。鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)の店で孫兵衛の息子・万次郎に絵を描いてあげるシーンだった。絵を描くシーンは吹替えナシだったといい、日頃から絵を描く岡山にしても苦戦することとなった。

 「絵を描くのが大好きで、文章を書く習慣もあるんですけど、すべて我流なんです。筆の持ち方が現代と全く違うので、そうなるともう全然難しいんですよね。だから最初は苦戦しました。手を机につけずに浮かしながら描くとか作法があって、同じ絵を描くのでもこんなに違うんだと。“つければいいのにな”“なんでこんなハードなやり方をするんだろう”とも思いましたが、当時はこれが普通だったんですよね。手を浮かせていると、揺れとかがダイレクトに筆先に伝わるので、集中していたら気づいたら息を止めて描いていて。だから収録の時は、ドキドキでしたね。それに、最初は演出の方から“絵の完成図としてはこれですけど、多分映像として使われるのはこの部分だけです”という風に伝えられていたんですけど、いざ収録が始まったら描き切るまでカットがかからなくて(笑)。横で見ていた尾美さんも、延々と書き続けることになってびっくりしたとおっしゃっていました」

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 これまで劇中「廓●(※竹冠に愚)費字盡(さとのばかむらむだじづくし)」「金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)」「無益委記(むだいき)」など多くの名作を生んできたが、第36回では老中首座・松平定信(井上祐貴)の文武奨励の策が空回りしていくさまを描いた「鸚鵡返文武二道」が定信の逆鱗に触れ、絶版へ。春町は仕える松平信義(林家正蔵)や蔦重ら周囲に迷惑が及ぶことを案じて自害してしまった。あらためて春町の魅力を問うと「春町の絵だと分かるような絵を描いているところ」だと思いを巡らせる。

 「劇中で歌麿(染谷将太)も言っていましたけど、春町の作品は、作者の絵だって分かるというか、その人が描いているってわかるようなところですかね。好きじゃない言葉なんですけど、“味がある”というか。本人の人格とか生きざまみたいなものが作風に漏れ出てしまうというのは、すごく魅力なんじゃないか。それは絵に限らず、自分がお客さんとして娯楽に触れている時に魅力を感じる作品っていうのもそうです。漫画や小説も好きなんですけど、やっぱり作者のオリジナリティが感じられるものが好きで。春町はキャラクター像で言うと固いキャラクターかもしれませんが、作品に本質みたいなものがかいま見えるギャップもすごく面白いと思います」

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 さらに、アートにおいては「代替えが通用しない」ことにこそ価値があると強調する。

 「今はそれこそAIみたいにどんな作品も作れてしまうかもしれないけど、自分がなんでその作品を見ているのかっていうのを突き詰めると、会ったこともない作者の人生観が垣間見えるからであって。それがアートに触れることの醍醐味だとも感じています。その意味で、春町の作品も人を感動させたんじゃないかなと思います」

 出演自体は第36回が最後となるが、日頃から注目していた絵師たちが今後どのように描かれるのかを楽しみにしているという岡山。

 「もともと絵を描くのが好きで、日本画なども折に触れてみてきているので、葛飾北斎や東洲斎写楽がどういう風に表現されるのか。写楽に関しては諸説あって、正体が明確になっていない人物だったりするので、どの線で行くんだろうとか。まだまだここからがハイライトだと思うので、先の展開が楽しみです」と目を輝かせていた。岡山は今後、11月3日からNHK連続ドラマ初主演となる「ひらやすみ」が放送となる。(編集部・石井百合子)

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