「ばけばけ」ヒロイン子役、決め手は「子を見る母親の姿勢」674人の応募者から選出

高石あかり(高=はしごだか)が主演を務める連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で、ヒロイン・松野トキの幼少期を演じている福地美晴(10)。2023年にミュージカル「SPY×FAMILY」の子役オーディションで、演技未経験ながらもアーニャ役に抜てきされると、デビューからわずか2年で朝ドラヒロインの幼少期という大役を掴んだ。制作統括の橋爪國臣チーフ・プロデューサーと演出の村橋直樹が、NHKでは例を見ないほど多数の参加者が集った子役オーディションの裏側、福地をトキの幼少期役に起用した決め手を語った。
連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘で、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツがモデルの主人公・松野トキ(高石)の人生を描くオリジナルストーリー。西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語をフィクションとして描く。
橋爪は、トキ幼少期役のオーディションについて「ヒロインオーディションと同じ方式で、子役のオーディションとしてはものすごい数、674人の参加者を集めたオーディションでした。相当の数の人の中から彼女を選びました」と裏側を明かす。
選定理由について、橋爪は「本当にお芝居が上手で、あの年齢でここまで台本を読み込んでいるんだと思うくらい、台本の内容をしっかり把握していて、表現の力もあるので彼女に決めました」と述べ、「あの歳で本当に繊細なお芝居をしていて、可愛さもあるんです。高石さんも現場に来て見ていて、二人でお話をされたりしていました。現場でもいいムードメイカーになってくれて、彼女に決めてすごく良かったです」と話す。
村橋もオーディションを振り返り、「高石さんがセリフがないところでも本当に自由に、いろんな表情を見せるお芝居をする方で、そんな人につながるものを持った人はいないかなと見ていました」と高石の個性に応じた子役を探していたことを明かす。
村橋は、子役のオーディションにこだわりがあったそうで「オーディションの時に親御さんも入ってもらうんです。どの親御さんも、自分の子供のお芝居を熱心に見ているのですが、福地さんのお母さんは、素知らぬ顔で背中を向けて本を読んでいました。つまり、子供の自主性に任せていたんです。そういう子だと、大人と芝居をしている時に、しっかり自分の反応として芝居ができることが多いですね」と福地の選定にあたり、彼女の母親の姿勢が強く関係していたことも振り返る。
村橋は「普段、僕も子供を見る時は大人も見ている。どうしてもお母さんが影の演出家になってしまって、現場に入った時には芝居が出来上がってしまっていることが多いんです」と話す。撮影現場でも福地の芝居を見て、感心することが多かったといい「フラットな状態で現場に臨み、自分の反応を、お芝居に変えていくところは高石さんにも通じます。現場でもああだこうだと決めずに自由にやってもらっています。それにきちんと応えてくれるんです」と福地の頑張りを紹介していた。(取材・文:名鹿祥史)


