劇場版『チェンソーマン レゼ篇』戸谷菊之介×上田麗奈、二人の結末に悶絶「切なすぎる!」 “藤本タツキワード”に感嘆【インタビュー】
9月19日に公開されると、週末オープニング興収でNo.1を記録した劇場版『チェンソーマン レゼ篇』。本作の主人公デンジ役の戸谷菊之介と、彼を翻弄する少女・レゼ役の上田麗奈が、二人が織りなす「切なすぎる」関係性の裏側、互いの芝居へのリスペクト、そして「もしも二人がプリクラを撮ったら?」という甘い妄想トークまでを語り尽くす。(※ネタバレ注意。このインタビューはネタバレを含みます)(取材・文・撮影:磯部正和)
【動画】戸谷菊之介&上田麗奈『チェンソーマン レゼ篇』インタビュー【ネタバレあり】
まるで遊園地?ジェットコースターのような作品体験
藤本タツキによる大人気漫画を原作とし、社会現象を巻き起こしたTVシリーズ『チェンソーマン』。その待望の続編が劇場版として公開された。公安対魔特異4課のデビルハンターとして働く少年・デンジが、ある雨の日に出会ったミステリアスな少女・レゼ。彼女との出会いはデンジに初めてリアルな恋心を芽生えさせるが、それは血と硝煙にまみれた壮絶な運命の始まりだった。二人の純粋で残酷な物語が、スクリーンで鮮烈に描かれる。
ーー劇場版『チェンソーマン レゼ篇』は公開直後から大変な反響です。お二人のもとにも届いていますか?
戸谷菊之介:(以下、戸谷)やりました! 嬉しいです。友達が結構「観に行ったよ」って写真を送ってくれるんです。今、チェンソーマンのポップコーンバケットが劇場で発売(現在オンラインにて受注販売受付中)されていますが、それをみんな撮ってくれるんです。でもそのバケットが、討伐した後に、生首を送ってくるみたいな感じで(笑)。それがちょっと面白かったです。でも、みんな「めっちゃ面白かった」と言ってくれて、「やった!」と思いました。
上田麗奈:(以下、上田) 嬉しい! 私もさっきスタイリストさんから「すごく盛り上がっていて、公開初日はトレンドに入っていたよ」って教えていただいて。あと、そのポップコーンバケットが海外だとまた違う種類らしくて、日本じゃないところにポチタのバケットとかあるんですって。みんな「海外にも行きたい」って盛り上がっていると聞いて、すごく嬉しくなりました。
ーー本作は甘酸っぱいデートムービーのようでありながら、クレイジーで壮絶なアクションもあり、多面的な魅力があります。お二人は、この作品をどんな作品だと感じていますか?
戸谷:最初はレゼとの恋愛みたいなドキドキから始まるのに、途中から謎の男が出てきてホラーみたいになる。そこもゾワっとしたし、最後はアクションがあって、めまぐるしく変わる。その急転直下な感じがすごく『チェンソーマン』らしいなという印象です。
上田:本当にいろんな要素があって、長すぎず短すぎずの尺の中に全てが詰め込まれています。前半と後半でスパッと切り替わるのに、起承転結はしっかりしていて、構成の美しさと、内容の濃さと、華やかさ……なんだか、遊園地に行ってきたみたいな感覚です。ずっとジェットコースターに乗っているような(笑)。
戸谷:確かにそうですね。映画を観た皆さんが「見逃せない瞬間ばっかり」とおっしゃっていて、まさにそうだなと。演出もかなり凝っていて、お祭りの花火のシーンで、女の子がリンゴ飴を落とす演出にもしびれました。一つ一つの演出が観る人を釘付けにするキーになっているんだと思います。
「マジ可愛い」レゼと、デンジが体験した甘酸っぱい青春

ーー上田さんが体現されたレゼは本当に魅力的でした。デンジを翻弄するレゼを、どんなイメージで演じられましたか?
上田:デンジにも、見てくれるお客さんにも「可愛い」と感じてもらえるようにやらねば……というプレッシャーはありました。マキマさんとは種類が違う、距離感や年齢感の近さをすごく大事にしたいなと。前半は特に、そのノリの近さが、裏がなく純粋に見えるように頑張りました。その中にうさん臭さが見え隠れしても、それはそれで面白いかなと思いつつ(笑)。
戸谷:いや、すごかったです! 二人きりで「デンジ君みたいな面白い人。はじめて」って言うセリフがあるじゃないですか。あの時のレゼが、すごく嬉しそうで、めっちゃ笑いかけてくれていて……声の伝え方も「絶対(俺のこと)好きじゃん!」って感じるんですよ。映画を見た方は皆さん感じたと思うんですけど、そういう距離の近さは、やっぱり上田さんすごいなって思いました。
上田:騙されていますね(笑)。でも、本当に「嬉しい」とか「楽しい」という心が伴っている感じが伝えられたらいいなと思っていたので、よかったです。
ーー本作には、二人の青春感が満載でした。特にドキドキしたシーンはどこですか?
戸谷:うわー、いっぱいあるんですけど……象徴的なのはプールのシーンですよね。デンジは今まで女の子とこんなに近い距離感で出かけたことがない状態で、いきなり「もうこんなことしていいんですか?」っていう浮き足立った感じが、観ていても一番ドキドキするシーンでした。「もう裸見れちゃうんですか?」みたいな(笑)。
上田:あそこのデンジくん、面白かった(笑)。
戸谷:演出も相まって、「行ったらオレの心も行っちまう。畜生」っていう、あの「畜生」が面白すぎますね。
上田:面白すぎた! あと「ハダカなっちゃお」っていうワードセンスも炸裂していますよね。「に」を抜いただけなのに、すごいドキッとするセリフで。
戸谷:なんでなんですかね、あれ。近さがあるんですかね。
上田:私は、プールに行く前の二道のシーン。あそこで距離を詰めて肩を組むのも「わあ」って思ったんですけれど、足も組んでいるんですよね。
戸谷:そう、足かけているんですよ!
上田:ちょっと待ってよーって(笑)。あんなナチュラルにあざといことされたら、好きになっちゃいますよね。
戸谷:なっちゃいます。ずるいですよ、レゼは(笑)。
ーーデンジはTVシリーズでも、マキマさんをはじめ、姫野さん、パワーちゃんなどいろいろな女性と出会っていますが、印象に残っているシーンはありましたか?
戸谷:やっぱり姫野先輩ですかね。衝撃の“ゲロチュー”からの、姫野先輩の家に泊まって仲良くなったシーンもあったし、その後に姫野先輩が死んじゃうところも。レゼ篇の冒頭でも、結構デンジは「姫野先輩死んじゃったけど、そんなに悲しくない」って気にしていて。自分に心がないっていうのが、なんかずっとモヤモヤしているんでしょうね。
ーー上田さんは、劇場版からの参加ですが『チェンソーマン』のキャラクターでお気に入りはいますか?
上田:私、暴力の魔人が好きです。なんか出てくるとすごく高まるというか、嬉しくなるというか……。原作を読んでいる時から、すごくゆるさがあって好きなキャラクターだったんですけど、(内田)夕夜さんの声が入ったことでさらにお気に入りになりました。「暴力」っていう名前なのに、なんか一番平和な感じ。コベニちゃんと暴力の魔人、あのペアはすごく平和な感じがして好きです。
妄想デートから見えた「二人のもしも」と、物語の切ない結末
ーーバトルシーンや演出面で、他に印象に残っているシーンはありますか?
戸谷:演出面で言うと、アキが車で逃げている時に無線が壊れるシーンです。原作を読んでいても大爆笑したんですけど、アニメでどうなるんだろうってずっと思っていて。映画を見たら、まさかあそこで(マキシマム ザ ホルモンの)「刃渡り2億センチ(全体推定 70%解禁edit)」が流れるとは! ぴったりはまったうえに予想外のことが起きて、一ファンとしてめちゃくちゃ楽しかったです。
上田:私は、台風の中でデンジとビームが戦いながら「ギャハハハハ」って笑い声が響くシーンです。もうしっちゃかめっちゃかで、ずっと緊張して見ていたのが、あの二人の声でふっと緩和されて。まだまだ物語に没入できるぞ、みたいに感じさせてくれる二人の声の力ってすごいなと思いました。
戸谷:あそこは二人が楽しんでいるのがいいですよね。そこにレゼも加わって、じゃれ合いの延長みたいに楽しそうに戦っているのが、すごくいいバランスで見ていて楽しいです。
ーーもし、二人が何のしがらみもない平和な世界で出会っていたら、どんなデートをすると思いますか?
戸谷:うわー。なんか、学生が行くようなところに行ってほしいですね。ファミレスでポテト食べたりとか。
上田:いいね! あと、プリクラ撮っちゃうとか。
戸谷:うわあ、プリクラいい! やばすぎます。
上田:カラオケ行ったり。二人が楽しそうにしているのが想像できそうですよね。その撮ったプリクラをどうやって保管するかっていうところまで見たいです。
戸谷:二人に差が出そう。めちゃくちゃいいですね(笑)。
ーー本作を経て、デンジとレゼというキャラクターへの考えが変わった部分はありますか?
戸谷:デンジが、最後レゼと一緒に逃げようとするじゃないですか。そこの踏ん切りができる人間なんだなって。今まで与えられてばかりだったけれど、初めて自分から「行きたい」と思った。その行動の新しさは、レゼと関わったことで生まれたものなのかなと思いました。
上田:だからこそ切ないですよね。最後、レゼもあそこで初めて、ボムでもない、任務でもない、一人の女の子としての“若い欲”が出た感じがして。今までずっと自分のことを言わなかった子が、揺らぎの中で過ごしていて、最後の最後でようやく顔を出した。
戸谷:ぐわー、切なすぎますよね……。


