「ばけばけ」サワ役・円井わん「勝手に涙があふれた…」撮影で予期せず泣いたセリフ

連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で、ヒロイン・松野トキ(高石あかり※高=はしごだか)の幼なじみ・野津サワを演じている円井わん。母親の影響で怪談が大好きで「散りばめてきたものが結びつく瞬間がたくさんある」と話す円井が、撮影現場での過ごし方やこれまでの放送回で印象的だったシーンを語った。
朝ドラ113作目の「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘で、作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツがモデルのオリジナルストーリー。島根や熊本などを舞台に、急速に西洋化が進む明治日本の中で埋もれていった人々や、怪談を愛する夫婦の何気ない日々を描く。
元下級武士の娘であるサワは、貧しい家に生まれ、いつか不自由ない生活を夢見る家族の期待を背負い、安定した生活を手に入れるため教師を志す。トキのことをありのまま受け入れてくれる、唯一無二の親友だ。
Q:「ばけばけ」出演が決まったときの気持ち
すごくご縁があるなぁと思う方々とご一緒できて、出雲の神が「ばけばけ」に呼んでくれたんだとつくづく思いました。小泉八雲さんの大ファンで怪談好きな母の影響で私も怪談が大好きだったり、2019年に呼んでいただいたエストニアの映画祭に今作の演出の村橋さんも参加されていたり。会えそうでなかなか会えなかった高石あかりちゃんともやっと会えて、散りばめてきたものが結びつく瞬間がたくさんある作品だなと思いました。出演が決まってもうすごくうれしくて、毎日みんなとめっちゃ雑談しています。岡部(たかし)さんがしてくれる下積み時代の現場の話が怪談ぐらい怖いんですよ。ギャー! と悲鳴をあげながら聞いています(笑)。
Q:演じるサワについて
サワはいい子でかわいいんです。めっちゃ人間! という感じがしますね。人間味にあふれていて誰もが共感できる部分を持っている子です。達観しているところもあるので、風変わりなトキに視聴者の方が「うん?」となりそうなシーンでも、サワがちゃんと「そうだよね。トキはそういう人だよね」と受け止めています。
トキ役のあかりちゃんとは今回が初めましてですが、お互いのマネージャーさんを含めた4人で焼肉に行ったりしてすっかり仲良くなりました。親友役なので、現場では「お疲れ!」みたいな感じのハグをよくするようにしています。お互い真剣にトキとサワを演じていて特にコミカルにやろうとは思っていませんが、やっぱり脚本が面白いのと、2人のお芝居の波長が合うのがコミカルさにつながっているかもしれません。
サワは松野家に対して「はぁ~(ため息)、仕方ない家族だな」と思いながらも、自分の家族のように慕ってる感じもします。私自身は司之介さん最低~とよく思うのですが(笑)、松野家を見ていると幸せの形ってお金とかそういうところだけではないんだなと感じるので、ある意味理想の家族なのかも。サワもうらやましく思っているかもしれません。
遊女のなみに対しては、彼女をめちゃめちゃ嫌いたいわけではないんだろうなと感じます。だから英語を教えてと言われて教えるんですよね(第5週21回)。でも遊女に対しての偏見は強く持っているので、この先なみとサワがどんな関係になっていくのか興味深いです。
Q:撮影して印象的だったシーン
第3週15回のトキが取り乱すシーンです。トキの「取り乱したいんだけど、取り乱し方がわからんの」というセリフ、あれはちょっと本当に泣いちゃいました。サワとしては泣こうとしていなかったんですけど、勝手に涙があふれてしまって……。「上手に取り乱せちょるよ」なんて言うことも、普段ないじゃないですか。こういう慰め方もあるのかと、脚本を読むたびに人間勉強をしている感覚です。それに、撮影時にスタッフさんが感情の引き出しを待ってくれたのも印象的でした。段取りと本番が違うことになっても役者の出すものを否定せずに見守ってくれるので、すごくアクティブに試せるんです。出てきたものを引っ込めずに芝居できるいい現場です。
Q:「ばけばけ」の見どころ、視聴者へのメッセージ
脚本家のふじきみつ彦さんは「何も起きない」と言っていましたが、めっちゃ起きるやないか! となる作品です(笑)。日常さえもすごく笑えて泣けて、日常ってなんでこんなに面白いんだろうと思えるんですよね。これ本当に朝ドラなのか!? ちょっと見たことないんですけど! というシーンも出てくるので、視聴者の皆さんも絶対に流し見できないはず! いい意味で「どういうこと!?」となる物語をどうぞ楽しんでください。
おサワは人に寄り添うことや人への優しさを改めて感じ取れるような役どころでもあるので、そういう部分にも注目していただきたいなと思っています。「ばけばけ」を通して皆さんに「あなたはあなたのままで、とっくにすばらしい」と伝えられたらうれしいです。


