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細田守監督、伊澤彩織は「凄まじくカッコいい」 日本アクション界のゴールデンコンビとタッグ

映画『果てしなきスカーレット』より
映画『果てしなきスカーレット』より - (C)2025 スタジオ地図

 細田守監督の4年ぶりの新作となるアニメーション映画『果てしなきスカーレット』(公開中)は、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ハムレット」をモチーフにした復讐劇が展開されるが、本作ではアクションシーンに映画『ベイビーわるきゅーれ』シリーズなどでアクション監督を務めた園村健介がスタントコーディネーターとして、同シリーズで主演を務めたスタントパフォーマーの伊澤彩織が主人公スカーレットのスタントアクターとして参加。細田作品史上、最も激しく生々しいアクションシーンが繰り広げられる。二人を起用した理由を、細田監督が語った。

【画像】スカーレットのアクションシーン

 本作では、父アムレット(声:市村正親)を叔父クローディアス(声:役所広司)に殺された19歳の王女スカーレット(声:芦田愛菜)が、その復讐を遂げようとする物語。しかし、復讐に失敗したスカーレットは“死者の国”に堕ち、そこで再びクローディアスを殺害すべく、彼がいるとされる“見果てぬ場所”を目指して旅に出る。

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 園村は、日本アクション界の第一線を走る下村勇二谷垣健治らを輩出した倉田プロモーションの出身で、映画『GANTZ』『図書館戦争』『マンハント』『最後まで行く』などでアクションコーディネーター、アクションコレオグラファー、スタントを担当。伊澤は映画『キングダム』『るろうに剣心 最終章 The Final / The Beginning』のほか『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』『ジョン・ウィック:コンセクエンス』などのハリウッド映画でスタントパフォーマー、スタントダブルを務めている。

 そんな二人を起用した理由について、細田監督は「園村さんは『バケモノの子』でモーションコーディネーターとして、冒頭のアバンの炎のアクションシーンを担当していただきました。今回もそのご縁でお願いしたんですけど、スタントマンが演じる参考用のビデオコンテを撮ってくださって、その映像で初めてスカーレットの動きを担当されているのが伊澤彩織さんだと気付いたんです。かねてから伊澤さんの演じるアクションシーンの大ファンだったので、すごく光栄でした」と振り返る。

 細田監督は、伊澤の才能にほれ込んでおり、「今回はモーションキャプチャで作っているわけではないのですが、伊澤さんの素晴らしいアクションが随分スカーレットの参考になっています」と話す。細田監督が特に注目したのが、伊澤の「前髪の動き」だという。

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 「伊澤さんの何がいいって、アクションのキレの良さだけじゃなく前髪がいいんですよね。伊澤さんは前髪が長くて、アクションするときにリアクションで前髪が戻ってくる感じがすさまじくカッコ良くて。そのような細部の表現が今回のアクションにも反映されていると思います。伊澤さんにはコーネリウスとの戦いまでを担当していただきました」

 劇中、クローディアスの姿を捜し求めるスカーレットの前に、クローディアスの側近ヴォルティマンド(声:吉田鋼太郎)、コーネリウス(声:松重豊)ら屈強な猛者が立ちはだかり、スカーレットは怯むことなく一人立ち向かっていく。こうしたアクションシーンに力を入れた背景について、細田監督はこう語る。

 「もちろんアクションが面白くないと復讐劇にならないので、すごく意識しました。手を変え、品を変え、シーンごとに全く違うアクションを作って見せ場を作り、盛り上げていくという試みでした。最初の戦闘シーンだとマーシャルアーツや剣での肉弾戦、物語中盤では馬に乗った騎馬戦パートや集団での戦闘シーンを描いたパート、終盤では精神的な葛藤……といったふうに戦い方にも変化をつけ、それぞれのアクションが際立つように考えたつもりです」

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 スカーレットが受ける拳の一つ一つにリアルな痛みを感じられるのは園村&伊澤の尽力も大きく、痛みが強ければ強いほどクローディアスへの憎しみも強くなり、復讐を止めようとする看護師・聖(声:岡田将生)に対する葛藤が増していく。そうしたことによって映像面の迫力のみならず、物語をエモーショナルに盛り上げている。細田監督の“全く新しいアニメーション表現に挑戦したかった”という思いから生み出されたアクションシーンの数々は、スクリーンで観てこそ伝わる醍醐味の一つだ。(取材・文:編集部 石井百合子)

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