NHKでジョージ秋山「浮浪雲」実写化 時代劇でホームドラマ描く狙い、P&演出が語る

ジョージ秋山の同名漫画を佐々木蔵之介主演でドラマ化したBS時代劇「浮浪雲」(BS、BSP4Kで2026年1月4日より毎週日曜午後6時45分~7時28分放送※第1回のみ7時~、全8回)の取材会が27日に都内で行われ、佐野元彦プロデューサー、演出の一色隆司が本作を時代劇でホームドラマとして見せる狙いを語った。
本作は、幕末の品川宿を舞台に、女物の着物をまとい、髪をおでこの前で結んだ風変わりな男、浮浪雲(佐々木)の飄々とした生きざまや、しっかり者の妻・かめ(倉科)や成長途中の息子・新之助との家族模様を描く。イベントには主演の佐々木のほか、雲の妻・かめを演じる倉科カナ、雲が営む問屋場「夢屋」の番頭・欲次郎役のイッセー尾形も登壇した。
佐野は「浮浪雲」の実写化に関して、「一歩前に進んだ時代劇を作りたかった」と思いを明かす。今の時代に時代劇を作る意義を考えさせられたとも述べ、「作っている時に現代劇だと思ってやろうよって言いました」と撮影前のやりとりを振り返る。「ホームドラマ感を出したいって。実はNHKでずっとやってきて、昔はホームドラマが人気だった時代もあったんです。でも、今は職業ものばかり。時代劇でホームドラマのようなものを作るというのが今回の一番の狙いになりました」
「うちの家庭では、家族3人顔を合わせてご飯を食べることは滅多にない」と佐野は自身の経験をふまえたうえで、「久しぶりに家族揃って食事をした時、娘が携帯をいじっていて、会話がつまらないなって思いました」と家族での会話について最近考える機会があったことを回顧。「昔のテレビのドラマでは、ちゃぶ台での家族の会話はいつも弾んでいた。それを現代劇のシチュエーションでやったら『家族で食事をしないよ』って話になるんでしょうね。一家団欒の場で会話が弾むというのは、時代劇なら無理なくできるのではと思いました。それが今回のドラマの魅力だと思っています」と続ける。
一色も佐野から「新しい時代劇を作れ」と背中を押されたといい、「今、時代劇をと言われても、昔からのまま伝統を出せばいいかといえばそうではない。時代劇であっても現代に伝えるテーマというのをきちんとふまえた上で作っていくべきだと思いました。今、プレゼンすべきなのはどんな時代劇だろうとみんなで議論をしました。結局は人なんです」といい、佐野の思いに共感したことを振り返っていた。(取材・文:名鹿祥史)


