ジョニー・デップ、絵を描くことは逃避「なくなれば脳が爆発してしまう」

映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどで知られる俳優ジョニー・デップが8年半ぶりに来日し、27日に都内で行われた没入型アート展覧会「A Bunch of Stuff - Tokyo」の内覧会&来日記者会見に出席。1時間20分の遅刻があったものの、ジョニーは本展の見どころや、自身にとってのアートがいかなるものかを切々と語った。
「A Bunch of Stuff - Tokyo」は、ジョニーによる作品と創作プロセスを五感で体験できる没入型アート展覧会。ジョニーは俳優・アーティストとして社会的に知られているが、彼にとっての絵画は映画のキャリアよりも前から続く大切な表現手段。本展は、彼のスタジオや創作の世界、極めてプライベートな瞬間を再現した100点を超える作品や私物、没入型の空間によって造られており、東京は昨年初開催されたニューヨークに続く会場となる。
「長い人生を生きて来て、いろんなことをやって来たけど、みんなが知らないところで1人で取り組んできたこともある」と切り出すジョニーは、「絵を描くことは自分の人生において、ものすごく大きな位置を占めていたけど、描いた絵はガレージに閉まって誰にも見せていなかった」と振り返る。そんなある日、「自分は画家ではないけど、絵を描く人間だというところは人に見せてもいいんじゃないか」と思ったことが同展開催のきっかけになったそうで、「僕が描く絵は非常にパーソナルなことを抽象的な形で表現しています」と説明した。
「子供の頃から鉛筆などで絵を描いたり、塗り絵が大好きで、30歳になってから絵具を使った本格的な絵画を描くようになった」と話すジョニーは、絵を描く行為は「脳を目の前にあることから切り離すための逃避であり、非常に瞑想的な時間」だとも打ち明ける。人からレッスンを受けることはなかったが、多くの画家の作品を見たり、本を読むことでテクニックを学び、取り入れるようになったというジョニーは、「自分の頭の中に思い描いていたものがはっきり見えるようになりました。画を描くことで解放され、自由になれるし、意識せず、潜在意識や無意識の中で描いたものでも“表現”に変わりはないので、これは演技と同じ。描くことは自分にとってはなくてはならないもので、なくなれば脳が爆発してしまう」と吐露した。
同展には、有名人の肖像画も展示されている。ジョニーは「マーロン・ブランドは、あらゆる面で自分に影響を与えた人。私もそうですが、彼こそが誰もが認める“巨大な赤ちゃん”です。ヘディ・ラマーは美しい女優ですが、1人の女性としても大変優秀で、40年代に周波数を使って追跡できる技術を発明された方。非常に尊敬しています。そして、僕がこよなく尊敬するのがアントナン・アルトーです。常識破りな形での表現を体現された方で、“残酷劇”にも影響を受けています。他にもたくさん影響を受けた人がいます。彼らの肖像画をぜひ堪能してください」と呼びかけた。
ちなみに、東京が同展の開催地に選ばれた理由について、ジョニーは「何百年の間、一貫して美しく素晴らしいアートを輩出、発信してきた都市」であること、「日本人は感性が豊かで、それぞれの意見がはっきり分かれて、ロサンゼルスみたいに他の人の意見に合わせたり、“まぁまぁだったね”はなく、“全然わからない”か“刺激をもらった”のどっちかになると思った」と、各々の正直な意見を求めていることを明かし、「東京はチャレンジだったけど、展示してくれて光栄です」と喜んでいた。(錦怜那)
没入型アート展「A Bunch of Stuff - Tokyo」は11月28日(金)~2026年5月6日(水)まで高輪ゲートウェイ NEWoMan South 2F “+Base 0” にて開催


