綾瀬はるか×石井裕也監督、奇跡の実話を映画化 菅田将暉&妻夫木聡&佐藤浩市ら共演『人はなぜラブレターを書くのか』公開決定

俳優の綾瀬はるかが主演、『舟を編む』(2013)の石井裕也が監督・脚本・編集を務める新作映画『人はなぜラブレターを書くのか』が、2026年4月17日に劇場公開(配給:東宝)されることが決定した。2000年3月に起きた地下鉄脱線事故で亡くなった青年ボクサーへ、20年以上の時を経て届いたラブレターをめぐる奇跡の実話に基づく物語。綾瀬と石井監督は本作が初タッグで、共演には當真あみ、細田佳央太、菅田将暉、妻夫木聡、佐藤浩市らが名を連ねる。あわせて、本作のポスタービジュアル&予告映像&場面写真も公開された。
進学校に通いながら、日々ボクシングの練習に夢中になっていた正義感の強い少年・富久信介さん。そんな彼と毎朝同じ時間、同じ車両に乗り、想いを寄せていた少女がいた。SNSがそこまで発達していない時代。彼女は、通学電車の中だけで会える、名前も知らない彼に淡い恋心を募らせていた。2000年(平成12年)3月8日、いつもと違う時間の電車に乗り合わせてしまった信介さんは、地下鉄脱線事故に巻き込まれ、17歳(当時)という若さでこの世を去った。
ニュースで訃報を知った彼女は、初めて彼の名前を知ることに。それでも、“間違いであってほしい”という思いで、その後も電車で彼を探す日々を過ごしていた。20年後の2020年(令和2年)、信介さんが通っていた大橋ボクシングジムの会長の元へ、彼に想いを寄せていた少女からのメッセージが届いた。そこには、当時の彼への想いや通学時の思い出がつづられており、信介さんの家族は驚きと嬉しさ、同時にそれ以上の哀しさを噛み締めつつ、息子の知られざる青春の断片と成長を知ることになった。
この実話には感動の声が多く寄せられ、スポーツ誌やテレビ番組でも“奇跡の物語”として取り上げられた。この奇跡の実話に惹かれた石井監督は、スポーツ誌に掲載された記事を目にし、その動機に強く興味を持ち、映画のプロットをすぐに書き上げた。石井監督は「素晴らしいキャスト、信頼するスタッフたちと共にこの作品を作りました。みんなの思いや力が奇跡的に混ざり合って、結果的に凄い映画が完成しました」と語っている。
綾瀬が演じるのは、夫と娘と郊外で暮らし、いつも明るく定食屋を切り盛りする女性・寺田ナズナ。あることをきっかけに、青春時代を思い出し、手紙をしたためる。そんなナズナの24年前の学生時代を、映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』で長編映画初主演を果たした注目株・當真あみが瑞々しさたっぷりに演じる。
ナズナが想いを寄せる信介役には、石井監督がメガホンを取った『町田くんの世界』(2019)で主演に抜てきされた細田佳央太。実在の人物を演じるにあたり、ボクシングジムに通い、トレーナーと共に数か月、徹底した体づくりを行った。
さらに、菅田将暉は『あゝ、荒野』(2017)から7年ぶりにボクサー役に挑戦。信介さんが通うボクシングジムの先輩で、元WBC世界スーパーフライ級チャンピオン・川嶋勝重役を務める。また、ナズナの夫・寺田良一役を『ザ・マジックアワー』(2008)ぶりに綾瀬と共演する妻夫木聡が、信介さんの父・富久隆治役を石井監督作品に欠かせない佐藤浩市が務める。
キャスト、石井監督、プロデューサーを務める北島直明のコメントは以下の通り。(編集部・倉本拓弥)
綾瀬はるか(寺田ナズナ役)
脚本を読んだ時に涙が止まらなくて、心が揺さぶられました。
生きたい、もっと見てたい、家族を愛して、家族に愛されて、生きてきた証のような思いの中で、
初恋の人に24年越しのラブレターを書いたのかもしれません。
ナズナのラブレターに秘められた物語を是非観て頂きたいです。
當真あみ(寺田ナズナ/学生時代役)
脚本を読んで、初めてこの出来事が実際にあった事なのだと知りました。
友人と過ごしたり、何かに熱中したり、恋をしたりと当たり前に思っていた日常を、しっかりと見つめて大切にしたいと感じました。
綾瀬さんが演じるナズナと、どう繋げられたらいいかを監督と話しながら、ナズナが経験し積み重ねた感情を作っていけるように演じました。
この作品を沢山の方に見ていただきたいです。映画を見た時、きっと自分の日常が愛おしく大切に思えるはずです。
細田佳央太(富久信介役)
石井監督ともう一度ご一緒することを目標にしていたので、自ずと気合いが入りました。ボクシング練習には約4か月という準備期間をいただいて、ボクシング未経験の僕に松浦さん(ボクシング指導者)をはじめとした多くの方々が指導してくださり向き合っていただきました。素敵過ぎるスタッフ・キャストの皆様に囲まれた撮影の日々は、映画と芝居にもう一段と深くのめり込むきっかけとなり、撮影の内外問わず役と同様に温かい距離を保ち続けてくださった菅田さんには感謝してもしきれません。
この作品が持つ記憶と、そこに生きた人々の熱が、現代に生きる皆様と未来に届くことを願ってやみません。
菅田将暉(川嶋勝重役)
第17代WBC世界スーパーフライ級チャンピオン川嶋勝重選手。を演じる? 即お断りしようと思いました。が、台本を読むと、早すぎる命と対話する真摯な青年の姿がありました。夢について語り合い、想いを背負って闘う。今日のために生きる。今の自分に必要な作品だったのか、使命感のようなものが湧いてきて、初の石井組に挑みました。ハードな撮影でしたが、一生に一度の経験をさせてもらいました。思いやりと少しシャイなところがこの映画の好きなところです。是非、観に来てください。
妻夫木聡(寺田良一役)
様々なテーマで挑戦し続ける石井監督の作品に呼んでもらえることはとても光栄なことです。そして、自分にとっても新しい一面を見せられるようにと身が引き締まる思いでしたが、少しずつほどけていく家族の形を、一日一日確かめながら撮影する日々は、どうしようなく不器用で、素直になれないけど、それがとても愛おしい時間でした。
過去を生きる人、今を生きる人、みんなの想いが溢れている。悲しみさえも糧にして、前を向き、それぞれが夢に向かって踏み出していく様に涙が止まりませんでした。
一つのラブレターによって、止まっていた時間が動きだしていく。悲しいことも、嬉しいことも、みんな手を繋いで生きていければ良いよねって思わせてくれる、そんな素敵な映画です。是非劇場でご覧ください。
佐藤浩市(富久隆治役)
突然の別れと、覚悟を持って向き合う別れ。
どちらにしても後悔なく大切な人を見送ることの出来る方はごく僅か……。
しかしその想いが、より深く故人との歴史を刻んでくれると信じたい。
北島直明(プロデューサー )
石井監督に教えてもらった、スポーツ報知に掲載された「富久信介さんへのラブレター」の記事を読んだとき、
胸が熱くなり、すぐに大橋会長に会いに行きました。そして、信介さんのお父さんを、手紙を書かれた女性の方をご紹介して頂きました。川嶋選手、徳山選手、東京メトロの職員の方々にもお会いしました。
信介さんのお父さんとの会話がこの映画の根幹にあります。信介さんは、少しヤンチャな、正義感の強い、
“どこにでもいる”高校生でした。彼が特別だから映画にしたわけではないんです。
信介さんの事を嬉しそうに教えてくれるお父さんの顔がこの映画を作る動機になったんです。
この映画では「人の存在の大切さ」を描いています。語彙力が無い表現ですが…そういう事なんです。
僕は、お父さんを介して信介さんの存在を感じたのです。
毎朝、通学・通勤している中で、僕も含めて皆さんの隣にいる人には、その人の人生があり、大切な誰かがいるはずです。この映画の主人公・ナズナは、“誰にでも当てはまる誰か”という存在として描きました。
なぜ、そうしたのか?突然の別れ、意図せぬ別れは、無念と後悔と悲しみを生みます。残念ながら、望んでいなくても“誰にでも起こりえる事”です。でも、悲しいだけじゃない、未来を生きる為に、今どうすべきか、という前向きな映画にする為です。
多くの方のご協力を得て、この映画は完成しました。ありがとうございました。この映画が、悲しみを少しでも減らして、希望に繋がる一助になれば幸いです。


