「べらぼう」徳川家斉役・城桧吏、「生田斗真さんのアドリブが凄い」 先輩俳優たちから学びの1年
横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」（毎週日曜NHK総合よる8時～ほか）で11代将軍・徳川家斉を演じる城桧吏（19）が、反響を呼んだ生田斗真との共演シーンや2度目の大河ドラマの収録を終えた心境を語った。
城演じる徳川家斉は、一橋治済（生田斗真）の嫡男として生まれ、15歳で第十一代将軍に就任。およそ50年にわたる長期政権を築き、歴代将軍の中で最長の在位年数を持つ。老中・松平定信（井上祐貴）とともに、財政再建や風紀の改善に取り組むが、時代の変化や内外の事情を背景に、次第に政務への姿勢に変化が現れていく。
城にとって大河ドラマへの出演は「西郷どん」（2018）以来、2度目。「西郷どん」では西郷隆盛（鈴木亮平）の長男・菊次郎の幼少期を演じた。それから7年後、「べらぼう」の収録を終えたときの心境を「今回も大河ドラマ独特の現場の空気感があり、少し緊張感がありました。「西郷どん」の時は方言があり、その方言に慣れるのに時間がかかったのを覚えています。今回は方言はないものの、べらぼうの物語の中で家斉は重要人物になってきますのでその分プレッシャーもありますし、将軍という今までやったことがない役柄で緊張がありました。演じ方も現代劇とは少し違うので、苦戦する部分がありましたが、その分自分にとって勉強になる部分もたくさんありました」と振り返る。
初めは父・治済と良好な関係を築いているように見えた家斉だが、やがて子作りにプレッシャーをかけられるように。目の上のたんこぶだった老中・松平定信が去ってからは治済のよからぬ噂を耳にするようになり、7日放送・第47回では治済が発したある一言をきっかけに、父の“正体”を確信することに。若くして重責を背負い、実父への疑惑に葛藤する難役だった。
「家斉はこれまで演じたことのない性格の役でした。現場ではもっと家斉は適当で良い、定信の話を全く聞いてなくてめんどくさそうにしてと、演出の方からのご指導がありました。どうしても演じている時に相手の言葉に自然と反応してしまうので、そういった部分は苦戦したところだと思います。収録を通して家斉と共に自分自身も成長できたのではないかなと思います」
劇中で対峙した“ラスボス”一橋治済役の生田に、大いに刺激を受けたという城。「生田さんとのシーンが多かったのですがお芝居の面で生田さんの目のお芝居に惹かれました。ただひたすら一点を見つめているだけなのにその瞳の奥には何かを企んでいるようにみえ、同じシーンの時は良い意味で怖かったのを覚えています。それに生田さんのアドリブがすごかったです。よく演出の方々と「こんな感じに動いても良い」と、どのシーンでもよくアドリブをやられていて、僕も生田さんのように演技の表現の幅を広げられたらと思いました」と語り、「また生田さんはたくさん話しかけてくださって、会話の中で、俺ら顔似てるよね、ほんとの親子みたいと言ってくださったこともありました。そして何より、名前を呼んでくださった事がとても嬉しかったです」と生田の人柄にも魅了された様子。
今年は人気ドラマの劇場版『映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか！』、主演ドラマ「終活シェアハウス」（NHK BSプレミアム4K・NHK BS）、Netflixシリーズ「イクサガミ」など出演が相次ぎ、「べらぼう」の生田と同様、数々の先輩俳優から多くを学んだという。
「「終活シェアハウス」では、声のお仕事をされている方もいるのでとても声が綺麗だなといつも思っていました。戸田（恵子）さんからは現場でナレーションのコツを丁寧に教えていただきました」
今は「僕の中で、明確に出てみたい作品ジャンルというのが見えてきました」と今後に思いを馳せる城。来年の抱負については「昔から言っているアクションや、是枝（裕和）監督の作品のような自然なお芝居で生活を覗き見しているような日常の小さな出来事、人間味が見える作品にも出演していきたいと思っています。僕自身がそう言った物語が淡々と進んでいき静かで繊細、自然な芝居や生活音を貴重とした作品が好きだからです。将来の俳優像として人の心に残るような俳優になりたいと思っています。映画を見るのが趣味でよく観に行くのですが、心に残る俳優さんや作品というのは、いつも自分の生活にも影響しているなと感じています。誰かの支えになれるように、来年も頑張りたいです」と意を新たにした。（編集部・石井百合子）
