【ネタバレ】「相棒」右京、静かな怒りに驚きの声 クズすぎる真犯人に「想像するがいい…」

連続ドラマ「相棒 season24」(テレビ朝日系・毎週水曜よる9時~)の第8話「梟は夜に飛ぶ」が10日、放送された。殺人事件の容疑者が、特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が出会った絵本作家の女性の自宅に押し入る展開から、意外な結末が描かれ「やべぇいい話すぎ」「泣けるぜ」「ラストめっちゃ切なかった」といった感動の声がSNS上にあがると同時に、「面白い話だったがあの犯人には想像を絶する罰がありますように」「今回もかなり心が痛む回だった」「なかなかに胸糞レベルの高い犯人だったな」と犯人への怒りがこもった書き込みも殺到した。(以下、第8話の内容に触れています)
右京は小手鞠(森口瑤子)とともに、薫と美和子(鈴木砂羽)が最近ボランティアをしている児童館を訪れた。薫と美和子は、「さすが元教師」と小手鞠が言う通り、春人や夏希ら子どもたちとすっかり顔なじみだ。オーナーの絵本作家・並木弥生(中田喜子)が自らの絵本を読み聞かせたりと穏やかであたたかい施設だったが、右京は何者かの侵入した形跡を見つけた。館長の村越絢子(原ふき子)によると失せ物はないとのことだが、職員の小塚悟(竹森千人)が、近所で起きた殺人事件の犯人がいまだ逃走中との電話を警察から受けていた。
被害者は澤村ひとみ(田中真琴)、現場から逃走した容疑者は交際中の佐野啓太(福山翔大)だった。現場の遺留品のメモには「いしや」「☆18」と暗号のようなものが書かれており、弥生の絵本のふくろうのイラストがプリントされていた。動機は痴情のもつれかと思われたが、防犯カメラから見つかった佐野らしき男は、誰かに電話している。拡大すると、児童館のスリッパを履き、弥生の自宅方面に逃走したようだ。児童館に侵入したのは佐野だった。
一方、弥生の家では佐野が弥生のナイフをつきつけていた。弥生がひとみと揉めていたのを目撃した佐野は、弥生がひとみを殺したと思いこんでいた。ちょうど訪れた特命係に、玄関口で脅されながら対応する弥生は、メモは販促用に作ったもので残りは自宅で使っていたと語ったが、右京と薫は様子がおかしいことを察していた。右京に弥生宅の見張りを命じられた薫は、たまたま近所に住んでいた春人と夏希の家で張り込みをさせてもらうことに。母・田辺真理子(徳留歌織)は、運営会社の不正で児童館が危機を迎えた5年前、弥生が存続させてくれたことに感謝していると語った。
ひとみは、仕事先の飲食店で佐野と揉めていたという。彼女は佐野が書いた妙なメモを持ってといい、佐野はスマホの読み上げ機能を使っていたという。右京は、彼はディスレクシア(=生まれつき文字の読みかきに困難を持つ学習障害)を抱えていたと指摘する。
ひとみはかつて児童館に通っており、弥生の息子・蓮(葛飾心)と親しい交流があったという。蓮もまたディスクレシアで、児童館で働いていたが5年前に自殺していた。弥生は彼を守ってあげられなかったと後悔し、彼のよりどころだった児童館を守るのがせめてもの罪滅ぼしと、児童館を買い取ったのだ。彼女は「人生は困難に満ちてるけど、たぶんひとりじゃない。そう伝えたくて」ふくろうの絵本を書いたのだという。蓮が悩んでいたのを突き放してしまったと、ひとみもまた彼の死に責任を感じていた。ふくろうのメモは、蓮がひとみにあげたものだろう。しかも遺留品のメモは蓮が書いたもののようだ。
かつて美和子が書いた記事によると、5年前に児童館の運営元の補助金不正受給が発覚したのは、匿名の内部告発がもとだった。詐欺の疑いで、同じような不正がいくつも行われていたようだが、首謀者の正体は不明だという。告発は蓮が死んだ前日。遺留品のメモは蓮が呼び出された際の場所と時間と相手を書いたもので、遺されていた遺書は彼の文字練習帳を使ったものだった。彼は自殺ではなく、他殺だった。
ひとみを殺した真犯人がわかったら殺すという佐野を、弥生は「あなたには未来がある」と家に閉じ込めた。張り込んでいた薫を一芝居うってまき、自分が包丁を持って相手の元に乗り込んでいく。「青年を自宅に閉じ込め、亀山薫も騙すとは、あの絵本作家のおばあさん、できる…!!」「だまされてんの薫ちゃんらしくていいなあ」などと視聴者からの声もあがった。
弥生が対峙したのは、旧姓が「いしやま」でメモの「いしや」に近い館長の村越。だが、駆けつけた右京は、ディスクレシアの文字の見え方は個人差があり、練習帳から推測される蓮の見え方によると、メモには「こつか=小塚」と書かれているという。小塚には詐欺の前科があり、正体不明だった不正受給の首謀者だった。問い詰めてきた蓮ともみあって突き落とし、それに気づいて追及したひとみを尾行して自宅で殺害したのだ。「俺は誰にも迷惑かけずに金を稼いでいたんだよ。あいつらが余計なことをしなければ」とうそぶく小塚に、包丁を出す弥生。止める右京と薫。右京は「犯した罪と相応の罰があなたを待っています。それがどんな罰なのか、想像するがいい」と糾弾した。この右京の言い回しには「右京さんお怒り過ぎだな……」「相手のクズ度が極まりすぎてて逆にクールダウンしちゃう右京さん珍しいな」と、その新鮮さに驚きの声も集まっている。
連に何もしてあげられなかったと泣く弥生に、薫は夏希から聞いたことを伝えた。蓮は、親が離婚して不安になっていた彼女に寄り添って励まし、「この絵本を読むと前向きな気持ちになれる。一人じゃないって思えるんだ。あげるよ」と弥生の本を渡していた。「蓮くんは前向きに生きていたんです。それは絶対に弥生さんのおかげです」と薫、「弥生さんが絵本に込めた思い、ちゃんと届いてると思いますよ。子どもたちにも、蓮くんにも」と右京。弥生は、連行されていく佐野にも絵本を差し出す。「読めるかな」という彼に弥生は、「ゆっくりでいい。あなたにも、読んでほしくて」。「夜の孤独をこわがる孤独なふっくろうは、さまざまな出会いを通して、希望を見出していく。ええ、彼の物語はこれからです」と、右京は優しく口にした。
弥生の「亀山さんのご友人?」という問いにストレートに「同僚です」と返したものの、奥様かと聞かれてちょっと動揺しながら「ただの知り合いです」と答えた小手鞠と「ええ、ただの」と同意する右京。何やら含みのあるやりとりだ。また、小枝をたどってコミカルに子どもたちを誘導したり、「犯人て何の犯人ですか?」という薫に「まあ聞きなさい」と珍しい言い回りで答える右京も。薫が「(見張るのは)俺がですか?」に「ほかにだれがいるんですか?」とさらっと彼を使う右京は相変わらずだ。犯人の体に残る証拠を発見しようと「亀山くん、服、脱がせましょう」はなかなか聞けない台詞だろう。
また、薫と伊丹(川原和久)のやりとりは健在で「お邪魔しませんのでおかまいなく」の薫に、「いるだけで邪魔だ。亀は首ひっこめとけ」と伊丹の返しは楽しい。角田課長(山西惇)の「言っとくけど俺、おまえらほど暇じゃないからね」は、常套句「暇か」の発展形だろう。さらに、美和子は海外にいながらにして日本の記事も書いていたようで、「え、5年前日本にいた?」「美和子さんその頃サルウィンだったんじゃ」と突っ込まれているが、彼女がグローバルに活躍していたということだろう。
「危うく殺されかけた館長さんもフォローしてやってくれよぉお!」「ラスト、若者に希望あれ」というさりげない優しさを込めたSNSの書き込みも含め、切ないながらもあたたかみのある物語だった。次回は老人が読み聞かせ……? 今週の読み聞かせと関係があるのか? 現代によみがえるカフカの逸話を楽しみに待とう。(文・早川あゆみ)


