「ばけばけ」シャーロット・ケイト・フォックス、「マッサン」堤真一と現場で再会 9年ぶり朝ドラ出演の裏側

高石あかり(高=はしごだか)主演の連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で、アメリカで活躍する新聞記者イライザ・ベルズランドを演じているシャーロット・ケイト・フォックス。史上初の外国人ヒロインとして主演を務めた2014年度後期放送の「マッサン」、2016年度後期放送の「べっぴんさん」に続き、9年ぶりの朝ドラ凱旋を果たしたシャーロットの起用と、約5年ぶりとなる彼女の演技について、制作統括の橋爪國臣と演出の村橋直樹が撮影現場の裏話を交えて語った。
連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
シャーロット演じるイライザは、ヒロイン・トキ(高石)の夫になるヘブン(トミー・バストウ)が勤務する新聞社の同僚。ヘブンに日本行きを勧めるきっかけを与えた人物でもある。23日放送の第13週・第62回では、イライザが来日し、松江に滞在するヘブンと再会を果たした。
イライザのキャラクター作りの参考にしたいるのは、1889年から世界一周レースを行ったことでも知られる米ジャーナリストのエリザベス・ビスランドだ。橋爪は、ビスランドを参考にしていることを認めつつ「史実とは変えたところが多い」とキャラクター像について明かす。「彼女はハーンの新聞社の同僚で、ハーンに憧れて記者になり、メキメキ頭角を現しました。日本にはハーンよりも前に来日していて、ハーンの死後にももう一度やって来る。ハーンが生きている時代に来たと言う記録はありません。そこが今回のオリジナルの要素となっています」
また橋爪は、キャスティングについて「イライザを演じる人は、演技力がないと無理だと思っていて、シャーロットさんの起用は、当初から想定していました。シャーロットさんは出産をしてから、表舞台にあまり出ていません。『どうしているのかな?』という視聴者の興味に応える狙いもありました」と振り返る。
撮影現場でのシャーロットについて、橋爪は「みんな知っている人なので、現場はウェルカムな空気になると思っていました。約5年ぶりに演技の世界へ復帰したわけで、『懐かしい』とおっしゃっていたのが印象的です」と紹介。「撮影が始まると、堂々とした感じで演技していました。きちんと演技の基礎を学んで来た人で、その基礎があるがゆえに朝ドラもやってこられた。言うまでもなくお芝居がうまい人です」と役者としての才能を絶賛する。
彼女が11年前に主演した「マッサン」の制作チームは、現在も大阪に残っているという。橋爪は「撮影中も『マッサン』チームと飲みに行ったりしていました」と来日時の過ごし方を振り返り、「子供を連れていろんな場所に遊びに行ったみたいで、日本を満喫していたようです」と笑顔で語っていた。
彼女の日本語の理解についても「言葉は聞くぶんには結構わかっている」と橋爪。「撮影現場でも通訳を交えながらですが、『わかる、わかる』っておっしゃっていたのが印象的でした。『ばけばけ』での共演シーンはなかったですが、『マッサン』の出演者である堤真一さんと同じ日に撮影現場にいたことがあって、再会を懐かしんだり、彼女にとっても思い出深い日本滞在になったと思います」
一方、演出の村橋はシャーロットの演技について「初めましての役者さんとして見させていただきましたが、こんなにいい役者さんだったのかと改めて気付かされました。緊張が解けてからは、毎回違ったお芝居を見せてくれて、橋爪に『本当にいい役者さんですね』と言いに行ったくらい。またご一緒したいと要望を出したので、今後も彼女は登場します。楽しみにしていてください」とイライザの第13週以降の登場も示唆する発言を残していた。(取材・文:名鹿祥史)


